ギヤ比を変えたら
[2005/01/08 (Sat) 01:25:38]
[投稿者: ふぇら〜り伊藤]
- そりゃ、もちろん、立ちあがりの加速は悪くなりますよ。
23Tストックよりトルクの小さい540でギヤ比をうんと上げて使えば。 ただ、実際にコースを走れば分かるんですが、 ラップタイムの差というのは、立ち上がり区間ではほとんどつかないんです。 実際の加速も、よほど極端に高いギヤ比にしない限りはあまり変わりません。
どういうことかというと、結局、低いギヤ比で使うというのは、立上り区間でモーターを 「甘やかす」ことになってるんですよ。フルに性能を発揮し切れてないと。 そのモーターが消費できる最大限の電流を流してないわけです。 だから、そのモーターが流せる限界まで電流を増やせる範囲においては、ギヤ比は 上げて使ったほうが、加速は変わらず、最高速が伸びる、というわけです。
加速という現象をよく観察すると、大きく2つの「足かせ」があることに気付きます。 ひとつはタイヤ。加速という仕事はタイヤのグリップ限界の範囲内でしかあり得ません。 ですからクルマの加速度はタイヤグリップに依存します。 グリップを超えるパワーが加わってもただタイヤが空転するだけです。 だからむやみにギヤ比を落としても意味がありません。 クルマの加速度は一定水準以上にはならない、ということです。
もうひとつはモーターの出力です。 これは単位時間あたりのモーターの消費電流(電力投入量)と その電力を仕事に変換するためのマグネットの磁力の大きさに依存します。 ここでは「ギヤ比」は結果的にほとんど無関係ですからとりあえず無視してください。
ここで言いたいのは、マグネットの磁力が一定なら、 あとは電流が多ければ多いほど単位時間あたりの出力が増え、加速度は増す、という点です。 もちろん出力と抵抗の均衡するポイントもシフトしますから最高速度もアップしますが それは結果論です。まずは加速度の問題です。
では、この消費電流の上限を決定しているのは何でしょうか? バッテリーの起電力とアンプ〜モーター間の配線の内部抵抗(アンプやモーターも含む)ですよね。 ちなみに540にパックバッテリーだとだいたい35〜45Aというのが限度です。
では、このモーターに流れる電流量を決定する要素は何でしょうか? 負荷です。ギヤ比設定も含めたトータルでモーターのピニオンにかかる負荷(トルク)です。 「ギヤ比は関係ない」と言ったのは、結果的にモーターのピニオンにかかるトルクが その手前でどのくらいの減速比で減速されてるのかなんて、どうでもいい話だからです。 要するに、あるモーターが10A、20A、30Aを流すときにピニオンが受けられる最大トルクは ***gだよ、というわけです。それがどのようなギヤ比で減速されるかは次の問題ですが、 先ほど書いたとおり、タイヤグリップの限界で加速度の上限は規制されますから、 グリップ限界のなかで消費電流の範囲内、という幅のなかで自ずと得られる加速度は 決まってしまうのです。で、結果的にあまりギヤ比には関係しないんです。
加速が鈍ってくるのは、タイヤグリップの限界よりもかなり低い加速トルクしか タイヤに与えられないほどに「度を越した」高いギヤ比を設定したときだけです。 こういうギヤ比を設定した場合は、 コースのほとんどの区間でモーターの最大消費電流が流れますから、 モーターに休むヒマがありません。したがってあっという間にモーターが焼けます。 モーターのライフや熱ダレによる性能低下を考慮する必要が出てきます。 加速が極端に悪いと最高速の面でもかえって悪影響が出るかも知れません。
ギヤ比無制限のカテゴリーでは、 こういう試行錯誤を経てギヤ比の最適バランスを探っていくのが通例です。
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