Re: なんで?
[2001/11/03 (Sat) 04:35:52]
[投稿者: ふぇら〜り伊藤]
- ROXでのセットアップは「ふぇら〜り伊藤コラム」のほうで上げようと思っていたのですが、
まだ書きかけでストップしています。レースレポートと合わせて、書き出したらキリが なくなっちゃいました。できるだけ早くアップしたいと思っていますが、どっちみち 皆さんの役に立つのは年明け以降ですよね・・・。 結果出てない人間のデータでどの程度参考になるか分かりませんが (結局、予選は1回目9位→2回目15位でBメイン陥落。自分の予選ベストが9秒60、 予選10位のタイムが9秒56だったので、まあ順位でみるほど悪くはありませんでしたが)、 自分自身も書いておかないと忘れちゃうので、備忘録として載せておきたいと思ってます。
前置きが長くなりましたが、過去のスレッドにあまりこれといった発言が残ってない ようなので、改めて私の考えを書いておきます。
まず、タイヤ性能はサスペンションのセッティングやジオメトリーと深い関係があるので、 どんなサスを使っているのか、あらかじめ考えておく必要があります。
TA-04やTBエボ2、TL長足のようなロングスパンサスを採用し、 ロールしにくい性格のクルマでは、基本的にサスを柔らかくして路面や縁石のショックを 和らげ、メカニカルグリップを稼いだり転倒を防いだりするのが定石です。 あまりバネを柔らかくしすぎると、スロットルオフ時にノーズダイブして フロントシャシーが擦れ、いわゆる「シャシーアンダー」 (減速しながらコーナーに入っていこうとするとアンダーが出る) が出やすくなりますが、設計上ロールしにくい、という利点を最大限に生かすには、 ギリギリまでバネは柔らかくする、というのがこの種のシャシーの「鉄則」です。
最高速でぶっ飛ばすあの矢田部アリーナでさえ、TRF414Mのバネは皆さん「黄色」でしたから 平均速度のもっと遅い150m前後の通常の広さのコースなら、バネは「赤」で十分です。 場合によっては前に「黄」を入れるかな〜、という感じで。
逆に、旧来のTA-03までのタミヤ車では、ロール/キャンバー変化が多い設計でしたので、 ロールを抑えるためにバネは硬くしておかないとダメでした。そうすると縁石に弱くなるので ロール量と縁石への乗り上げ強さのバランス取りがいつも難しかったですよね〜。 結局のところ、積極的にロールさせるセットアップに振ったほうが安定して速く走れる、と 「割り切り」のできた人がタイム的にも速かったように感じます。
「ロールするマシンからロールしないマシンへ」。 実はここに、従来型ナロータイヤとミディアムナロータイヤの根本的な使い方の違いが 凝縮されています。
そもそも、従来型ナロータイヤ、特にファイバーモールドタイヤは、 TA-03に合わせて設計されたものです。ロールするシャシーでのグリップを最適化するため、 タイヤのショルダーを立てて、「エッジで食う」形にしてあります。 シャシーロールが多いので磨耗する面がいつも変動し、減り方は不均等でしたね。
これに対し、ミディアムナローでは、ロールしにくいマシンに装着する前提で タイヤショルダーに傾斜をつけ、エッジではなく、常に「面」でグリップするように 設計されています。「面接触」することによって、面圧の急激な変化を抑え、 タイヤ表面の温度変化やコーナリング特性のナーバスさを緩和する、というメリットを 獲得しています。
さて、ここでようやくインナーの話になります。 従来型ナローでは、ガチガチのサスペンションで失われたロードホールディングを助ける 意味もあって、柔らかいインナーが有利でした。柔らかいほどグリップする、というわけです。
ところが、 ミディアムナローでは、必ずしもそうはなりません。
サスを固めている場合は、ソフトインナーが良い場合もあり得ますが、 ダンパーバネが本来の適正な柔らかさになっているのであれば、インナーを柔らかくして 必要以上にサスペンションシステム全体を「フニャフニャ」にしてしまうと、 コーナーへの突っ込みでアンダーが強くなります。 いわゆる「腰砕け」というやつです。 タイヤショルダーがクタってトレッド面が路面から剥離した状態です。
つまり、サスの柔らかいマシンには、ある程度、インナーの硬さが必要だ、ということです。 これが、当初TA-04PROに従来より「硬い」インナーが標準装備された理由です。 (硬い、といっても、初期ロット品のハードインナーは現在市販されているアフター品の ハードインナーより柔らかく、一部で「ミディアム」と呼ばれているようですが・・・ 先週、たまたまタイヤ硬度計を投げ売りでゲットできたので、おいおい事実のほどを 調べてみようと思ってます、乞うご期待)
実際、私も当初は、TA-03時代の経験上、反射的にすぐさまソフトインナーを買い込み、 ソフト主体でやっていましたが、昨年の世界戦でツーリングEXクラスの超エキスパートが 気温18度前後、湿度60%前後という、決して良くはない条件のなかで、 そろいも揃ってみんなミディアムナローA+「ハードインナー」という組み合わせを チョイスしたのを知ってから、完全に頭が変わりました。 それ以前にも複数のエキスパートから指摘はされていたのですが、もう完全に 踏ん切りがついた、という感じです。
ただし、ミディアムナローでも柔らかいインナーのほうが良い場合もありそうです。 ひとつには、先に書いた、「バネが硬すぎる」場合。 TA-04で「黄色」より硬いバネを使っていたら、要注意です。標準スタビを入れているなら、 青・白バネはよほどのことがない限り、不要です。使うとバランスが崩れちゃいますよ。
もうひとつは、路面が非常にバンピーな場合です。駐車場とか。 一般的な専用サーキット、仮設でもカーペット敷きのフラット路面なら、 ハードインナーのほうが好結果を生むはずです。特に、高速コーナーでのハンドリングは 明らかによくなります。
このような知見を踏まえて、先週末のROXタミヤGPでは、 前後とも「ミディアムナローA+モールドインナー黒(ハード)) (ただしインナーは初期ロット(これしかなかったので無作為)) を360モデナ2mmオフセットホイールに装着して、 朝の練習から決勝までまったく同じ1セットのみを使用しました。 (ただしインナーは初期ロット(これしかなかったので無作為))
以上で、私の考えとその実践結果をご報告しました。 この伝で行くと、 多分、桜井さんのマシンはバネが若干固すぎたのではないでしょうか?違うかな? では!
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