ホットショット4WD (Item 58047、1985年4月16日発送、定価2万1800円) タミヤ初の四駆バギーとして鳴り物入りで発売され、大成功を収めたモデルです。 四駆といえばミニチュアチェーン駆動が一般的だった当時、 あえて実車同様のシャフト駆動を採用、コンパクトな4WDシステムを実現。 タミヤ初のABS樹脂製フルモノコックシャシーと合わせ、 「スケールモデルのタミヤの真骨頂」と周囲を唸らせました。 走りの面でも、ロングスパンのサスアームと4WDシステムの採用により、 RCバギーの性能水準を大幅に塗り替える安定性と走破性を披露。 またたく間に大量のファンを獲得したのも無理はありません。 この大ヒットにより、一連の「ショット系」モデルのベースとなったほか、 「フォックス系(2WD)」「ホットショットII」「ドラゴン系」などへの展開も含め、 後継モデル「アバンテ」が1988年3月に登場するまで、 80年代中盤のバギーシーンの中心的存在として活躍したのです。 *** 祝・2007バージョン発売決定!!*** 静岡ホビーショー出品発表にて、 07年7月に再版がアナウンスされました。 遂にきました!めでたい!! さぁ〜'07年の夏はみんなでコイツをバンバン走らせちゃいましょう・・・ そして次はいよいよ、タムテックギア版に期待ですね・・・年末が待ち遠しい〜 |
再販版(Item58391)の新製品情報はコチラ 残念ながら、筆者はこのマシンの現役当時はちょうどRCから遠ざかっていた時期でした。 このため、当時の詳しいレースシーンは語れませんが、当時、たまに立ち読みした雑誌の記憶や手元にある資料などから得られた 情報、今回の写真撮影で発見した点などを踏まえて解説してみましょう。 |
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ちなみにこの車体は、さる知人から2000年頃に譲ってもらったもので、当時のバックパック式のタミヤRCバッグやプロポも
込み込み、しかも未走行、という非常に好条件で入手したものです。5年かかりましたが、まずはようやくネット上で
陽の目を見ることができました。バッグとかはまた別の機会にご紹介しますね。 やはりオールドモデルにはキット標準のボディカラーが似合いますよね。 |
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フロントにはかなり強いトーインが付いていますが、コレは気にしないでください。前のオーナーが取説どおりに素直に組み立てたまま、 未走行でロクに調整していないせいなので。逆に、イマドキの視点から見ると、リヤにトーインが付いていないのが新鮮です。 べつにこれは当時としては珍しいことではありません。当時はグラスホッパーやアタックバギーなどリジッドサスのクルマも多く、 従来のRCカーの主流であったオンロードのダイレクトドライブ(DD)仕様のシャシーももちろんリヤトーインなんて付けられませんから、 「リヤトーインなし」が普通だったのです。 | |
リヤにトーインを付けるとグリップを稼げる、というのが分かって
タミヤRCバギーに採用されたのは、1988年12月発売の「バンキッシュ」(Item 58076)およびop.38「アバンテカーボンロングシャーシ」から
です。「ラジコン技術」89年2月号などによれば、この時のトー角は「1.5度」だったそうです。フルアジャスト可能なアバンテの足回りが、
「リヤトーイン」を見い出したと。ちなみに京商がリヤトーインを採用したのは89年秋発売のレーザーZXからだったそうです。
(情報提供:nyao@下関さん)
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非常にスリムなシャシー構成ですが、実際、四駆にもかかわらず車体重量は2駆の「マイティ・フロッグ」と同水準の 1.2kgほどに抑えられています。 バッテリー、RCメカを含んだ全備重量でも1.7kg程度で収まったわけですから、2006年現在の水準から見ても、 車重の面だけから言えば、十分に戦闘力のある水準です。80年代初頭のバギーチャンプ/ ファイティングバギーは 2駆でありながら車体重量が1.75kg、全備で2.1〜2.2kgというキングタイガーっぷりでしたから、単純に400〜500g (およそ25%!)の軽量化を果たしただけでも圧倒的な性能アップが期待できたわけで、 当時のバギーファンに鮮烈なインパクトを与えたのも当然だったのでしょう。 | |
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「ファイティングバギー」から受け継いだモノショック方式に「減衰力調整式」という新機軸が盛り込まれた ダンパーユニット。実物を手にするまで仕組みが良く分からなかったのですが、内部ピストンの穴数を可変するといった 実車で考えてるレベルではなくて、単に「アウタースペーサーの厚みでバネのプリロードを3段階にワンタッチ調整できます」 というだけのものでした。コ、コレって「減衰力」って言っちゃっていいのでしょうか・・・。 いささか子供だましなギミックですが、当時は子供ユーザーが圧倒的に多かったですから、この程度のギミックにも目を輝かせて 想像力を膨らませていたに違いありません。もし自分が小中学生くらいだったら、間違いなくそうだったでしょう。 そういう意味では、コレはコレで、滝博士らしい「味のある仕掛け」だったという評価もできそうです。 | |
ダンパーのテンション調整は、この矢印に右側のアウタースペーサーの3段階の印をを回転させて合わせることで実現しています。 この頃はバネのopt設定なんてなかったですから、サードパーティー品が手に入らないユーザーにとってはこの「3段階」がすべて だったハズです。そう考えると貴重なセッティングポイントですよね。当時は、キットがメチャクチャ売れたのでoptを 供給するサードパーティーにはこと欠かなかったようですが、残念ながらほとんどみんな消えてしまいました。筆者は当時の サードパーティーをほとんど知りません。 | |
ダンパー自体は、結構しっかりした作りです。サスアームは薄手で、クラッシュするとすぐ破損したそうなのですが、 ダンパーは特に問題なかったのかなぁ・・・という気がします。標準のスプリングも、線径を見るからに結構硬そうですが、 実際にも、今のツーリングカー用のハードタイプくらいの硬さがあります。そりゃそうですよね、前後2本のバネだけで 全備1700g強の重量を受け止めてるんですものね。 | |
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モノショックなので、ダンパーはピッチングしか制御できません。ロール制御はすべてこのスタビライザーが担当しています。 ガタは意外に少なめですが、やはり、この構造では、どうしても水平を維持するのは困難です。まぁ常にフニャフニャ動いてる バギーだからいいんですけど・・・ってことなんでしょうねきっと。でなければ説明つきません!(苦笑) このキットを初めて見た時に筆者が非常に驚いたことのひとつは、このボールシート式のアップライト。 実はこの方式を電動RC(というかRCカー全般)で最初に採用したのは、 タミヤのバギー第2作目、あの「バギーチャンプ」なわけですが、チャンプ系のボールシートは構造的に強度 |
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のキャパが低く、
後で出た「ファイティングバギー」では取り説指定でナイロンストラップでサスアームを縛って補強していたほどです。
構造的には非常に合理的な発想で、滝博士もコダわりがあるメカニズムだったのでしょう、
抜本的に各部をサイズアップし、強度面を改善して再び採用したわけです。その代わり、サスアームが折れやすくなってしまったわけですけど・・・。 アップライトの寸法は、実はその後のマンタレイ〜TA-01〜TL-01〜TRF414(M)/TA-04/Evo3/TB02等と共通で、ここに現在のタミヤツーリングの アップライトのルーツがあります。ドライブシャフトは、中空アルミパイプの両端にスチール製のドッグボーンジョイント部を接合する、という、 軽量化を意識した非常に凝った作りになっています。素材選択が限られていた当時としては非常にナイスな設計だったのではないでしょうか。 |