posted on 04/04/2002
last updated on 11/8/2006
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RC Car Trend モーター研究室

<その20:スポチュンを極めろ!〜その1>
経年変化ってどうよ?



<気がつけばスポチュン。>

タミヤGPに長年参加していると、時代ごとの移り変わりを感じるものですが、2000年頃から 目立ってきたのが、「マブチRS-540スポーツチューン」を 指定モーターとしたカテゴリーです。そういえば、ラリークラスが始まったのは2000年からですし、 タミヤ世界戦がツインメッセ静岡を舞台にするようになって、スポチュンを支給モーターにするように なったのも1999年からなのかな? 2000年以降は自分も取材に行ってるので確かなんですが。

それ以前にも、GT2クラスではスポチュンを使用していましたし、98年以降のLMシャシー発売で F1/LMクラスもそれまでのF1クラスの540/ジョンソンからスポチュンに変更されたので、気がついてみると、 思いのほか「スポチュンだらけ」の状態になっていたのでした。う〜ん恐るべしマブチ(笑)。

そんなわけで、ここらで一発、スポチュンを極めてみよう、と思い立ちました。 ちょうど、自分の手元には、過去5年程度の間に集まった各種スポチュンがダイノの計測を待っていたので、 ダイノの修理を待って、イッキにデータ取りを片付けてしまいました。これから4回にわたり、それらのデータを整理・分析していきます。

まず、第1回目の今回のテーマは、「経年変化」です。
具体的には、「マグネットの磁力抜け」です。
これは長らく懸案のテーマのひとつだったのですが、 実際に、ある程度ちゃんとした管理下で年月をかけて保管してみないことには 結果が得られないテーマであるため、手付かずでした。スポチュンに関しては、98年のTS020発売で 手に入れたモーターを、たまたま、初期のデータを取ったまま使用せず何となく保管していたので、 今回、非常に貴重なデータを取ることができた次第です。

早速、データを見てみましよう。
点線で示される「基準データ」は、<その2><その4>で使用されている「SportTuned9812-A」とコーディングされたモーターについて、今から3年2ヶ月前の1999年1月に取得したデータそのものです。これに対し、今回、同一のモーターを対象に新たに取得したダイノデータを実線で示しています。

データ取得に当たっては、コミュ表面のコンディション変化を避けるため、クリーナー等による 清掃はあえて行っていませんが、酸化被膜の影響を考慮し、1回目の計測値は捨て、2回目以降のデータが落ち着いたところを採用しています。都合3〜4回計測しましたが、2回目以降のバラつきはほとんどなかったので、計測2回目のデータを今回のレポート用に採用しました。



(実線は02年3月取得のデータ、点線は 98年12月取得の同一モーターのデータ(その2参照))


どうでしょう? マグネットの劣化を占う意味で重要な「トルク」「出力」いずれの数値も、 むしろごくわずかアップしていることに驚きを隠せません。今回の結果から得られる結論は、 「未使用モーターのマグネットが経年変化で磁力低下することはほとんどない」ということになります。 この見方が妥当かどうかはさらに検討を要しますが、現時点ではひとまずこのような結論を得ました。

ところで、後から取ったデータのほうが性能がアップしていることについては、 ひとつの可能性として、「99年のデータがまだナラシ不足だったかも」ということが挙げられます。 しかし、前回計測の時点で取得データが既に安定していたことからみると、もうナラシは十分入っている、と 捉えることもできそうです。ちなみに、当時はまだナラシの電源については 「モーター研究室標準」を模索している状況で、7.2Vバッテリー電源で5分のカラ回し、だったと 思います。

それじゃあ、現在「モーター研標準」としている、「3.6V電源による無負荷空転ナラシ」 を加えたら、どうなるだろう?・・・ということで、やってみたのが下のグラフです。
上のグラフで実線だったデータを、下のグラフでは点線で描き、「追加ナラシ後」のデータを 実線で描いてみました。なお、このデータ取得でも、モーター洗浄や軸受けへのオイル刺し等は 一切行っていません。ブラシ粉の影響が気にならないわけではありませんが、 ブラシと軸受けのコンディションを安定させた状態で計測することを優先しました。



(実線は02年3月に3.6V・5分無負荷空転ナラシを追加した後のデータ、点線はナラシ直前のデータ)


この結果から明らかなのは、「ナラシやり過ぎて美味しいところを過ぎちゃったかも」ということです。
99年に計測する際にかけた最初のナラシも5分間程度でしたが、 電源が7.2Vニッカドだった(らしい)ということからすると、 現行標準の3.6V電源で換算して考えると、実質的には累計15分程度に相当するナラシをかけた計算になります。
さすがにこれは長すぎるのかなあ、と。
以上をまとめると、スポチュンのナラシに関しては、最初から3.6Vのニッカド電源で無負荷通電ナラシをする場合、「5分〜10分の範囲で調整すべし」と言えそうです。

なお、実際のレースでは、走行中のブラシの消耗に伴うコンディション変化も考慮しなければなりません。モーター交換も考慮に入れながら、 走行中のどの時点でモーターをベストコンディションに持っていくかを考えるのも、 「頭脳ゲーム」としてはなかなか面白そうです。
実際、過去のタミヤ世界戦でも、2個しかない支給モーターのやり繰りの妙が、 時としてシビアに勝負の明暗に影を落としているだけに要注意です。

(おわり)

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