posted on 04/17/2002
last updated on 04/21/2002
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RC Car Trend モーター研究室

<その22:スポチュンを極めろ!〜その3>
使ったらどうなるよ?



<実際にレースで使ってみると>

「スポチュンを極めろ!」シリーズ第3回は、いよいよ実践編です。
今回は、「その21」で事前に調査した個体の中から、 ごくごく標準的なスペックの「0110C」を、 2002年3月24日に浅草・ROX3で開催されたタミヤGP・ラリークラスに投入し、 レース後に再度ダイノテストして変化を探ってみました。

今回のモーターの使用条件を簡単にメモしておきます。

(コース)ROX3特設カーペット路面(2分の走行で9〜10周=ラップタイムは13秒前後)
(参加クラス)ラリークラス<マシン重量とジャンプの関係でやや負荷が大きめ>
(シャシー)TB-01バスタブ・長足仕様
(シャシー重量)約1650g(超重いのはTB-01バスタブの宿命のようです)
(バッテリー)RC2400SP
(タイヤ)ラリーブロック
(ギヤ比)6.356=ピニオン36/スパー88(04モジュール)
(天気)曇り
(気温)18度前後
(その他)アルミモーターマウント、標準装備のヒートシンク装着

ざっとこんな状況で練習走行から予選〜決勝の4パック(計、約12分間)を走行しました。
各ヒート後に温度計測も行いましたが、マーシャル終了後に計測して予選・決勝通じて38〜40度だったので、 恐らく走行直後は最高50度くらいまで上がったと思われますが、思ったより熱くならず、 決勝はともかく、予選ではもう少しピニオンを上げても良かったかなあ、という感じでした。



さて、その「使用後」のブラシとコミュの様子をみたものが、右の写真です。
箱から下ろしてからまだ1度も洗浄をかけていませんが、測定条件が変わらないように、 軸受け用オイルもコミュドロップも一切使用していないので、 コミュ回りは非常に綺麗な状態を維持しています。

スポチュンはブラシが「W」の形になっているので、このような筋が両脇と真ん中に3本入っていると 考えてください。筋の幅は1mmくらいでしょうか。写真では色味が分かりずらいですが、 見たところ、コミュの焼けはほとんどありません。気温が低めだったのが良かったのかも。
また、よく見ると、ブラシの両端(回転方向の)はまだ完全にはコミュと接触していません。 通常のブラシ交換式モーターならば、「まだナラシ不完全」といわれそうな状態です。



(実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照))

<分析と考察>
ダイノデータで使用前と使用後を比較すると、「使用後」は最大トルクこそほとんど変わっていませんが (175.3Nmm→173.5Nmm)、ピークパワーは5.1%低下し(96.4W→91.5W)、無負荷回転数が伸び (20,790rpm→21,440rpm)、全体としてフラットな特性になっています。
これはスポチュンだけの傾向ではなくて、ブラシが交換できないタイプのモーターの典型的な傾向です。 ブラシの磨耗でスプリングテンションが下がっていくことと、ブラシの接触面積が広がることからくる 特性変化としては十分理解の範囲内の変化です。

ところで、このダイノデータ、ピークパワーだけを見ると、 なんだか「結局、実際の使用場面では0110Cも9812Aと同水準のパワーじゃん」と 思われそうです。確かにそうなんですが、「常用回転域」としてRCTが便宜的に設定している 「消費電流10〜30Aの平均値(グラフ下の表最下段)」でみると、 「使用前」75.9W→「使用後」75.3Wとほとんど変わっていません。

ピークパワーは、消費電流30A付近の中回転域で得られますが、この近辺は効率低下が顕著です。 しかし逆に、負荷(=消費電流)の低い高回転域では効率はアップしています。この一連の変化も、 コミュが減り、接触面積が変化したことの影響なのではないかと考えられます。
(いちばん下の、消費電流をヨコ軸に取ったグラフを見ると分かりやすいです)
なお、
9812Aのトルクは170.8Nmmでしたから、使用後においても0110Cのほうが太いトルクを維持しています。 ま、微々たる違いなので「同じ」といえば同じですけどね。
このへんは今後サンプル数を増やして検証を重ねたいと思います。タミヤF1グランプリでもスポチュンが 標準採用になって、今後もしばらくスポチュンのデータ取りにはこと欠かない状況が 続きそうですから・・・。



(実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照))





(実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照))


(おわり)

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