リヤダンパーが硬すぎる?(サスアームのレバー比考察)
[2002/12/26 (Thu) 12:03:09]
[投稿者: ふぇら〜り伊藤]
- いまさらなんですが、TA-04で十分議論されていなかった部分なので。
簡単な計算をしてみました。
ホイールのトレッド中心線を便宜的に「前後アップライトの外側側面に近似」と仮定します。
すると、前後ホイールにかかるバネ圧、およびダンパーオイル粘度(=減衰力)は サスピン位置からの距離の比(レバー比)に比例します。
取説デフォルトのダンパーピボット位置(前後アームとも「外側」)および 上で定義した「トレッド中心線」からサスピンまでの距離を測ると、 それぞれ、
<フロント> ダンパーピボットまで 30mm トレッド中心線まで 60mm
<リヤ> ダンパーピボット(内側)まで 35mm ダンパーピボット(外)まで 40mm トレッド中心線まで 60mm でした。
この数値に基くフロントダンパーとタイヤのレバー比は1:2になります。 つまり、ダンパーの減衰力や反発力は1/2=0.50=50%となり、 タイヤ中央部では1/2の力として作用する、という意味です。 (同時に、ダンパーの動作量はタイヤ中央部の移動量としては2倍に増幅されます)
ではリヤはどうでしょうか。 ピボット外側で40:60=1:1.500、(←コレが取説デフォルト設定) ピボット内側では35:60=1:1.714 (参考) となっています。 ダンパーの減衰力・反発力は 外側ピボットでは1/1.500=0.6666=66.7% 内側ピボットでも1/1.714=0.5834=58.3% にしか減少しません。
ここで、前後に同じダンパーを使うことを想定すると、 フロントタイヤにはダンパーの50%の減衰力が働き、 リヤタイヤには同様にダンパーの66.7%(外側ピボット使用)の減衰力が働くわけですから、 前後タイヤに作用する減衰力そのものの大きさを比較すると、 F:R=50:66.7=1:1.334という比が得られます。
これは、取説どおりにダンパーピボットを設定し、同じ仕様のダンパーを前後に使った場合、 「リヤはフロントより1.334倍硬くなる」ということに他なりません。
#ちなみに、リヤのダンパーピボットを「内側」に移すと、 #F:R=50:58.3=1:1.166まで差が詰まります。ご参考まで。
原因は、サスアームにTA-04/TRF414系を採用したからに他なりません。 前後のダンパーピボット位置が大きくズレているので、前後ダンパーのレートを 事前に計算で合わせ込もうとすると、作業がことさらややこしくなるのです。 走りながらのトライ&エラーで時間を潰すヒマがないオジさんには困ります。 あらかじめ挙動が予測できて、2、3パックでセットアップ完了、というのが 手際よくて理想的なんですが・・・。何とかなりませんかねこのサスアーム?(わがまま)
#まあ、セッティングをトコトン詰めようと思ったら、という意味で #一般には、取説デフォルトのままでも不満なく走るとは思うのですが、 #コレに気がついてしまうと、リヤは一段柔らかくしておきたいですよね。
TB足やTL長足では、ダンパーピボットの位置がこんなに前後でズレていなくて、 リヤサスアームのピボット位置を内側にずらせば、ほぼ(完全?)フロントと同じレバー比が 得られたので、気にも留めていませんでした。 04足になったEvo3ではかなり「作法」が違う、ということですね。 414やってた人にはあまり問題ないのかも知れませんが。
以上の知見を踏まえて、自分のEvo3には以下のようなセットを施しました。
フロント・・・取説通り(ピボット外側、バネ=黄色、オイル=400番) ただし、ダイヤフラム内部はスポンジでなくOリング2個 スタビも取説通り(黄色)
リヤ・・・ピボット内側、バネ=赤、オイル=300番 ダイヤフラムにOリング1個 スタビは赤
FダンパーのOリングは、2個だとホントにパッツンパッツンになってしまったので (バネが作動する前からダイヤフラムで反発してるくらい・・・何じゃこりゃ) 1個で十分と感じました。せっかくなので、何度か走らせた後で直すつもりです。
ダンパー&スタビを組み付けてみると、 どうやら、前後ダンパースプリングの減衰力のアンバランスをスタビの効きでうまく相殺し、 ロールのバランスとしては一見、悪くないような効き方をしています。
しかし、もともとダンパーとスタビは別々の機能を果たすもの。 これではロールとピッチングを別々に制御するのは困難です。 機能を切り分けることが難しく、スタビとダンパーを「一体」でセッティングしないと いけないような設計では、私も含めて生半可なユーザーにはとてもじゃないですが 微妙なサジ加減はできません。
もともとのシャシーの素性がいいから、ダンパーがかなりいい加減でも良く走り、 十分に大概のユーザーを満足させられると思いますが、 実は、キチンとダンパー/スタビのセットを煮詰めようとすると、 とても複雑な方程式(比喩ですよ)を解かなければならないのかも知れません。
特にリヤダンパーに関しては、現状ではバネの選択肢がかなり苦しそうです。 ロールとピッチングの制御を切り分けてそれぞれ最適化するには、リヤに関しては スタビをせめて「黄」くらいにして、ダンパースプリングはもっと柔らかくしないと。 フロントは個人的な好みとしてはスタビを外したいところですが、 スタビを外すとリヤとは逆に黄バネでもダンパーが柔らかすぎ、現状ではムリっぽいです。
以上のコメントはリヤのダンパーピボットが「内側」という前提ですが、 ダンパーピボットが取説どおりの「外側」のままなら、もっと柔らかい TA-03用のスプリングを出してこないとまったくダメじゃないか?と感じます。 (タミヤGPで相当の「上」を狙うなら、という意味においてであって 通常はそこまで言いたくありませんが) ホビーショーの展示でついてたスプリングが「04赤」だった理由が分かったような気がします。
このあたり、実際に走ってみると、また季節や路面によっても かなりコメントは変わってくるのかも知れません。 あくまでファーストインプレ(でも大抵当たってるんだけど)、ということで お含みおきください。
------------------------------------------------------------------------- キットにオイルとバネが1種類しかついていないのは、 コストの問題から仕方ないことなのでしょう。 足回りがTB系だったときのイメージを引きずって、安易に、 「前後ダンパーは取説通りでOK」なんてコメントしてしまって、大失敗でした。 ここにお詫びして最新の率直な考察を掲載します。 ご意見があればどうぞ。
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