<その6:タミヤ1600SPをチェック!> <なぜ今さらニッカド1600?> ![]() ニッケル水素(Ni-MH)セルは定格容量に対する充放電レートの 許容幅が依然として小さい(1.5Cがせいぜい)うえ、過放電や熱によるセルの劣化も早く、動作保証温度の範囲も狭く (氷点下では使用不可)、 「タフネス」という点ではNi-Cdにまだまだ及びません。 入門用バッテリーは、対象ユーザーのバッテリーに対する理解が不十分という前提があるはずで、 時として非常に過酷な状況で使われる可能性を想定して、できる限り安全マージンを取る必要があります。 バッテリー容量が増えればなおさらです。またコスト面からも、Ni-MHより有利なのかも知れません。今や原料の 純カドミウムは、リサイクルの進展とNi-Cd電池市場の縮小でダブついているでしょうからね。何しろ、 容量100mAh当たり価格が3700HVの243円に対して1600SPが156円と、1.56倍もの開きがあります。 発売時点で既に世間的には2世代分も遅れている(だから事実上タミヤGPしか使い道がない) 3700HVに対して、「性能差」のプレミアムだけで これほどの差がつくとは思えません。 定価2500円(税別)、実売価格1700円前後というこの商品、一体どのような内容なのでしょうか? レース用としては通常、使うことは考えられないパックではありますが、レース向けのハイエンド商品との比較も 「実力を知る」という意味では重要ですから、サンプルを1本に絞ってテストを実施することにしました。 なお、本テストのサンプル購入代金の一部は、RCTのDVDやオンライン頒布による収益金で賄われています。この場をお借りして、ご援助いただいた皆様にお礼申し上げます。 (10/26/2006update) 06年11月以降に開催されるタミヤGPのミニスポーツクラスで、 指定バッテリーが「1600SPまたは1300カスタムパック」に変更されました。事実上、1600SPでのワンメイクになる レギュ改訂ですので、当ページがお役に立てば幸いです。 (3/28/2007update) Mシャシーでの実走インプレを 「シャシー研究室・その他分会BBS」にポストしました ![]() 計測前にまず外観調査です。 公称スペックはNi-Cdセルとしてはごく標準的なものです(3/17/2008update: 主要緒元で放電温度が+20℃〜となってますが、これは誤植。正しくは「−20℃〜+50℃」)。 06年11月以降に開催されるタミヤGPのミニスポーツクラスで、 。重量は「310g」が公称値ですが、実測306gでした。今回はサンプル が1本ですから、「偶然に軽い」という可能性がないとは言い切れませんが、過去の実例との比較でみても、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() <テスト条件> テスト条件は基本的にRCT標準条件を踏まえていますが、今回は夏場ということもあり、雰囲気温度が27〜29度台と高めでした。 またニッカドパックなので充電レートは2C(今回のケースでは3.2Aに相当)です。ニッカドだと2Cなんて 全然心配なくサクサクと充電できる範囲なので作業もはかどっていいですね〜。これがNi-MHだと、1.5Cでもいつ液漏れやら破裂やらするかと ハラハラドキドキで・・・(苦笑)。時間もメチャかかりますし。そういう点ではニッカドっていいですよね。容量は少ないけど・・・。 今回はサンプルが1個だったので複数パックの平均データは取れませんでしたが、20A放電については、5回の放電を行ない、 うち、最初の1回目のデータのみを除外して計4回分の平均を取りました。統計データ処理の原則からすると、 一番良いデータも除外すべきなんでしょうが、 データの取れ方を見ていると、充放電を繰り返すたびに、若干、放電容量が伸びてきていたので(セル間のマッチングが取れてきたせいでしょう)、 集計結果の妥当性を考えて、最も良いデータはあえて残しました。 タミヤの1700SCRCや2400SPパック(ノンザップド)での経験からは、 マッチドされていないニッカドパック(Ni-MHは別の話)の場合、 内部抵抗は新品が最も低くてパンチがあり、充放電を繰り返していくごとに 徐々に内部抵抗がアップして100〜150サイクル程度で寿命を迎えるわけですけれども、放電容量については、 10〜20サイクル目くらいまで向上する傾向があり、30〜50サイクル頃にピークを迎え、その後徐々に低下していく、という ズレがありました。これがいわゆる「ノンマッチドパックのコンディショニング効果」なわけですが、注意したいのは、 内部抵抗の上昇でパンチが落ちたところでいくら容量が増えても「使わない(通常は)領域が増える」ということなので 意味がない、という点です。「容量をメいっぱいに使っての燃費競争」を考える必要がない限りは、やはり ある程度新しいパックじゃないとパフォーマンス的には不利、というわけです。 参考までにニッケル水素の場合は、繰り返し充放電によるセルの劣化ペースがニッカドより速いですし、 ザッピング処理やマッチング作業が施されていると、使い込みによるコンディショニング効果も小さいですから、最初の5〜10回くらいで性能はピークアウトしてしまいます。特にザップド物は「最初がベスト」と言って良いくらい、使い込むほどに性能が低下していきます。「ノンザップのニッカドパックとはまったく別世界」と考えましょう。 <測定結果と考察> ![]() また、参考として35A放電データも取ったのですが、わずか40秒で所定電圧を割り込み放電終了してしまいました。このときの 放電容量はわずか427mAh。これほど極端な特性悪化は珍しいですが、このことは1600SPの特性を端的に物語っています。つまり、大放電にめっぽう弱いので540モーター以外との組み合わせには適さない、ということです。もちろん、23ターンモーターなどと組み合わせて「動かない」ということはないんですが、定格容量から期待されるような走行時間は得られず、ごく単時間で走行できなくなってしまいます。場合によっては、「バッテリーの寿命」とカン違いされるケースも出てきそうです。放電容量を計測できる充放電器を持っていれば、20A放電でキチンと容量が出ることを確認できるハズですが、100V充電器しかないようなケースですと、そのままゴミ箱行き・・・にもなりかねませんので注意してください。 「大電流放電ができない」ということは「加速が悪い」ということなので、大電流を要求するモーターや内部抵抗の低いアンプにこのバッテリーを組み合わせると、ギヤ比が適正なら「ダラダラ走る」という印象を受けるはずです。そう感じないとしたら、ギヤ比が低すぎる(減速比が大きすぎる)か、タイヤグリップが低いか、何らかの理由でモーターやアンプが持てる性能をフルに発揮できていない可能性が高いです。使用条件が厳しくなればなるほど、上位商品との性能差は歴然と出てきます。 こうしたバッテリー特性には、大容量キャパシタの追加が有効です。車体重量は重くなりますが、2000〜3000uF級の超特大キャパシタをバッテリーとアンプの間に並列接続で追加することで、バッテリーの急激な負荷変動を緩和し、上位バッテリーのパフォーマンスに近づけることができます。何よりも、こうした条件下でのキャパシタ追加は、パンチアップやランタイム延長の効果を最も感じることができるものです。サードパーティーやKOなどアンプ発売元からも出ていますが、RCTでも最近、各種サイズの取り扱いを始めましたのでご都合に合わせてご利用ください。 最後に、データとして採用した4回分の実際の計測値を下表にまとめておきました。 ![]() グラフからは読み取りにくい、もう一方の側面が読み取れます。20Aという中程度の負荷領域なら、意外に放電容量は大きい、という点です。定格を大幅に超える1700mAhオーバーの値を繰り返しマークしています。また、毎回間違いなく1600はクリアしています。最近のRC向けバッテリーは「サバ」を読み過ぎている傾向が強くて、今回と全く同条件(RCT標準条件)で計測しても定格容量に達しないケースが多いので、ちょっと嬉しかったです。つまり、1600SPは、余裕のあるギヤ比で、モーターも540のままで、グリップの低いタイヤで、ノンビリと走っている限りは良いバッテリー、と言えそうです。まぁ考えてみれば「価格相応」ってコトですよね。過度の期待をしなければ十分価格なりに楽しめるバッテリーのようですから、その点をわきまえて上手に使いこなしましょう! (おわり) ![]() ![]() |