(posted on Jan 7, 2005)
(updated on Apr.18, 2006)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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ホーネット復刻版
(Item 58336、2004年12月)


1984年5月発売の「グラスホッパー」のホットバージョンとして
「グラホ」発売後わずか半年の1984年10月に発売されたモデルです。
モーターを380S→540Sに、標準バッテリーを6V→7.2Vストレートパックに
リヤダンパーをオイル封入タイプにグレードアップ
さらにボディをポリカ製に変更して軽量化、リヤタイヤをスパイクタイプに変更、
リヤサスペンションにもロール機構を追加、とグラホからの変更点は多岐にわたっています。

シャシー単体重量はわずか930g。
当時の標準的なRCメカ/バッテリーと機械式スピードコントローラーを搭載しても全備重量
1400gを切る軽さは、それだけで当時のバギー車としては大変な魅力でした。
9800円という低価格や2WDならではの高い信頼性・耐久性と相まって
子供たちに大人気を博し、実に累計100万台という
とんでもないセールスを記録したのです。



往年のバギーブーム世代の皆さんお待ちかねのホーネットのレポートがいよいよアップ開始です。

この「復刻版」の企画、もともとは、焼酎「トライアングル」を販売しているキッコーマンが20周年のタイアップキャンペーンとして同じく発売後20年になるホーネットに目をつけ、金型の修正費用を提供してくれたことで日の目を見た、と風の便りに聞きましたが、定かではありません。ともあれ、バギーブームの火付け役となった大ベストセラーが現代に甦り、しかも限定ではなく「定番モデル」として再販されたことは素直に喜ぶべきでしょう。「オトーサンが子供の頃はコレに夢中だったんだぞー」とか言って息子に買い与える図が目に浮かびそうです。
ホーネット(Item58045)の誕生以前、タミヤでは「バギーチャンプ(58015)」の最終進化形となった 「ファイティングバギー(58034)」(82年12月)が、また入門用として 「ホリデーバギー(58023)/デューンバギー(58024)」や「ワイルドウィリス」(82年11月)系の各種モデルが展開されていました。ただ、チャンプ系シャシーはダイキャスト部品が重かったし、「ホリデー/デューンバギー」はシンプル過ぎて走りがチープでした。ボディも重かったし。

そのあたりの解消と82年11月発売の「7.2Vストレートパック」の導入を狙って、83年7〜12月に相次いで投入されたのが 「スバル・ブラット/ランチア・ラリー/マイティ・フロッグ」の3車種でした。なかでも、 シリーズ唯一の540パワー+バギーモデル初のポリカボディをまとった「フロッグ」は、 ファイティングバギー譲りの後輪ラバースパイクタイヤの強力なグリップと相まって、かなりの走りを披露し、良く売れたようです。
ただ、この「フロッグ」にも、ドライブシャフトに使われた六角形の「ヘキサゴジョイント」が磨耗しやすい、 という痛い欠点があり、また価格も1万4800円とちょっと高め、ということがあり、 バギーブームの盛り上がりにつれユーザーの低年齢化が進むなかで、もっと安価で丈夫なホットモデルの登場が 待ち望まれていたわけです。そこで、新たなベーシックモデルとして「必要最小限」のコンセプトで 再設計されたのがグラスホッパーでありホーネットであった、と理解しています。 筆者は当時の状況をよく知らないのですが、発売時期が6ヶ月しかズレていないことや、 グラスホッパーの取り説にoptとして7.2V仕様の「ホーネットスピードコントローラー」 が掲載されていることなどから、ホーネットは「グラホの改良品」というより、 当初から「姉妹品」という扱いだったようです(実はグラホのみスピコンが6Vコネクター仕様になっています)
ホーネットの全長、全幅、全高はそれぞれ400mm、230mm、150mmなんですが、 実はコレ、わずか10ヵ月前の83年12月に発売されていた「マイティ・フロッグ」とまったく同じ寸法です。ちなみに 「ホリデーバギー」は410×202×155mmでした。RCメカ&バッテリーレスの車体重量 (当時は全備重量ではなくRCメカ&バッテリーなしの「車体重量」でカタログ表記されていました)も 930gまで軽量化されました。バギーチャンプ/ファイティングバギーは同条件で 1750g前後(!)全備2.1kgもありましたから、「革命的」というくらいの軽量化を達成したわけです。 この軽量化が大幅な運動性能のアップに寄与したことは言うまでもありません。特に「フロッグ」に続くポリカボディの採用は、走りの向上に大きく寄与しています。 さらに、310gと従来のラクダパックから外装の変更で40g程度も軽くなった「7.2Vレーシングパック」が搭載可能となったことも、ますます走りを良くする方向に働いたわけです。安くて組み立て簡単、しかも速い、となればベストセラーにのし上がったのも当然でしょう。滝博士バンザイ!(笑)
さて、グラスホッパー/ホーネットのシャシーサイズは、04年末現在、入門用2WDバギーの主力モデルだった 「マッドファイター/マッドブル」より一回り小さいです。 マッドファイター/ブルはいずれも91年12月発売の「ルーキーラビット(57501)」(DT-01シャシー)がベースです。 ルーキーラビットのカタログ上の外寸は390×236×138mmです。あれ?と思った方は写真を見てください。実は「全長」というのはバンパーとボディーの張り出しを含めた分なのです。ホイールベースでみると、フロントバンパーが長いホーネットのほうが随分短いことが分かります。同様に、トレッドについても、ホイールハブやアップライトの位置関係を見る限りではDT-01シャシーのほうが明らかに広いんですが、ホイールのオフセットとタイヤ幅で帳尻を合わせています。なお、ホイールリムやハブの形状も異なるので両者にタイヤの互換性はありません。
というわけで、スペック上は同じように見える両シャシーなんですが、見た目にも実際にも、ラビット系(DT-01)シャシーは ありとあらゆるパーツがひと回りもふた回りも大型化しており、走りのほうも、安定性が高いといえば聞こえはいいのですが、「大味」な感じで、モーターをパワーアップするとか、ダンパー回りとかをいじってやらないと、ちっとも面白くありません。これに対し、ホーネットのベースであるグラスホッパーはもともと380モーターを前提にしており、380でもそこそこ走るようにするため、シャシー全体として小型軽量化に留意されています。

20年前の2サーボ時代ならいざ知らず、今はこんなに大きなRCメカ搭載スペースは不要です。最近の1/18スケール・ビッグフットの人気に見られるとおり、いまどきの小型RCメカ搭載を前提にすれば、もっとコンパクトで良く走るクルマが作れるはずなのです。こうした流れを反映したベーシックモデルがそろそろ新登場してもいいような気がします。「あ、だからホーネットなの?」という気もしないでもないですが、それは考えすぎのようですしね。
DT-01のリヤセクションはグラホ系と非常に似ていますが、パーツ互換性は皆無です。ホイールもハブの形状も異なります。フロント回りも互換性は不完全です。グラスホッパー/ホーネットのフロントアップライトは第2世代F1の「競技用スペシャル」キットから採用されたインラインタイプ(白いヤツ)の流用です。

これに対しDT-01では、アップライトが再設計され、ピロボールが装着済みとなり、ボールサイズも4mm→5mmにアップされました。 実はこのDT-01/02のアップライトには、85年9月発売の「ワイルドワン(58050)」同10月の「フォックス(58051)」以後、現在まで2WDバギーの標準サイズになった大径ホイール+ローハイトタイヤしか付きません。ホーネットのタイヤは、タイヤ径やプロファイルが違い、見た目も悪いですし、DT-01に付けようとするとタイロッド取り付け部がホイールに当たり、ロックナットを無理に閉め込むと壊してしまいます。
ベアリングのサイズや配置間隔はチャンプ系ホイールもワイルドワン系も同じなので、現行の2駆用ローハイトタイヤはホーネットにも一応付くのですが、そうするとフロントだけ大径になりバランスが悪いです。ともあれ、タミヤのオフロード系タイヤはリム形状で1回、ホイール形状で3回くらい大きくモデルチェンジしているので互換性には要注意です。


ところで今回発売されたホーネットは「58336」というItem番号が割り振られています。オリジナルのホーネットは「58045」なんですが、これは今回、「定番商品」として新たに商品化された、という位置付けになるようです。
変更点は、(1)当時の機械式3段変速スピードコントローラーを廃止してアンプ専用モデルに、(2)版権処理に伴うデカールの作り直し、(3)7.2Vラクダパックの絶版を反映したシャシー金型の修正、(4)ボディ板材を保護フィルムつきに変更し金型の品番変更、(5)以上の変更に伴う箱絵や取り説の書き直し、(6)リサイクル規制対応と社内管理上の都合による金型修正、といったところ。他にもあるかも知れませんが気のついたところは以上です。

・・・とサラっと書くと、「あ、そうなの」で終わってしまいますが、実はこれらの作業、ヘタな新製品より大変なくらいの大仕事です。特に取り説は、オリジナル版と照合したところ「ほとんど全部書き直し」でした。そりゃそうですよね、スピコンの絵が出ているところは全部NGだし、サーボも1サーボだし、スピコンの組み立てやリンケージの部分はいらないわけだし。バッテリーも6Vやラクダパックなんてないわけだし。パーツ表も違うし。
Item58048というのは初代グラスホッパーのことです。ラクダパック用の穴を塞ぐ金型改修があったので復刻版の番号が入りそうなものですが、一応、グラスホッパーの番号のままです。

オリジナル金型は写真右側のように「MADE IN JAPAN」となっていたのですが、近年は古い金型をフィリピン工場に移して保管・生産しているので、産地表記は邪魔なのでしょう。80年代後半から運用が始まったItem番号&個別部品番号による管理システムへの対応と2004年から始まったリサイクル法対応の素材表示のため、金型が修正されているので、オリジナルと復刻版の区別は簡単です。こうした細かな修正はほぼ全ての樹脂パーツに施されています。
ただ、確かサイドバンパー部品だったか、サーボセーバー部品についてはなぜか個別部品番号の表示が ありませんでした。また、素材表示のほうはかなりまちまちで、バスタブやボディ部品にはなかったり、他のパーツにはあったりという感じです。モデラーにはそんなコトどうでもいいんですけど(笑)。




さて復刻版とオリジナルの仕様の違いはこれくらいにして、次にグラスホッパーとホーネットの違いを見ていきましょう。外見的に目立つのはボディとタイヤ、そしてオイルダンパーくらいなんですが、細かくみると結構違いがあります。


まずリヤセクションなんですが、オリジナル版ではギヤボックス回りのパーツは実はグラホと共通で、グラホは最初から380モーター用のスペーサー併用が前提となっていました。逆に言うと540へのアップグレードが可能だったわけです。専用ピニオンの入手が別途必要でしたが。逆に、ホーネットを380化するにしても、ピニオン付きの専用モーターが必要だったので、おいそれとできたわけではありません。意外にコンバートは面倒です。

この380用スペーサーは復刻版には付いてきません。復刻版のギヤボックスは87年6月の「ランチボックス(58063)」用に新造された金型だからです。オリジナル版のギヤボックスは、グラホ共通の証である中央部のリジッドマウント(爪のような突起)があります(写真はレストア目的で以前に取得済みだった当時モノ)。
この「爪」には貫通穴が2つあるんですが、グラホの取説を見たところ、特に追加パーツはなくてそのままメインシャシーの穴に突っ込む格好でギヤボックスの位置決めに利用されていました。 ホーネットでは、メインシャシー両端のサブメンバーを延長しホイールベースを若干伸ばすことでこの機能をキャンセルしているわけです。

ランチボックスのギヤボックスを流用した復刻版ホーネットでは、ご覧のとおり先端が厚めに丸く縁取りされています。取り説をみると、ランチボックスのギヤボックス部品はパーツ配置がグラホとは全く異なっています。 余談ですが、実はランチボックスは驚くほどグラホと設計が共通しています。まさしく「バスタブ違いの兄弟」という内容です。
謎なのは、グラホ発売から丸3年も経って、何でギヤボックスだけ作り直したか、ってこと。結果、サスアームは初代グラホと同じでグラホ2とは別モノなのに、ギヤボックスはグラホ2にも流用する、という、ある意味ねじれた形になってます。ただ、ランチボックス系って超ロングセラーのキットで、姉妹モデルの「ミッドナイトパンプキン(58070)」は2004年版の総合カタログにもちゃんと載ってるんです!これまで「何でこんなモデルが」と思ってたんですが、実はギヤはウイリー系からグラホ系、それも初代から93年12月の「スーパーホーネット(58124)」まで共通とか、いろいろシガラミがあったようです。スペアパーツの長期供給という観点からはありがたい存在だったわけです。

ランチボックス用ギヤボックスの特徴はもうひとつ、補強リブの大きさの違いです。基本的な形状は同じなんですが、グラホ/ホーネット用(写真左)に比べ、補強リブがサイズアップしています。





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