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リヤサスペンションは、グラスホッパーが上下に動くだけの完全なリジッドサスでした。これに対し、 サスの回転軸を左右2点のみでの支持にして支持部に上下動する余地を設けることでロールを可能にしたのがホーネットの 「ローリングリジッド」機構です。簡単な仕組みですが「ナルホド!」と感心するアイデアです。 この仕組みは細かな手直しを受けながらグラホ2/スーパーホーネットを経てラビット系(DT-01)シャシーまで継承されています。 ちなみにDT-01では左右の2点支持に加えて中央部にユニバーサルジョイントを追加して耐久性強化とロール軸の明確化が図られています。 | |
DT-01では、センタージョイントの採用でスタビ機能もダンパーに集約されましたが、ホーネットではセンタージョイントがなく、左右の支持部に仕込まれたコイルバネがスタビの役割を果たしています。作動の状況は以下の2枚の写真を見てください。 |
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機構としてはなかなか優れたアイデアなのですが、残念なことに、バネが1種類しかなく、しかも柔らかすぎるので実際には全然ロールが制御できず、かえってマシンが暴れる原因を作っています。そこで実際のレース走行におけるチューニングでは、このロールをあえて封じることが当時流行したようです。詳しくは後述します。どうせならoptのバネを出して欲しいんですが、タミヤGPでホーネットのワンメイクレースが年間10回とか開催されるくらい盛り上がらないとそういう企画は実現しないでしょうねきっと。 | |
さて次にフロントサス回りです。ホーネットで特徴的なのはこのOリングを使ったフリクションダンパー機構です。上部のキャップ状のケースが2サイズあり、この内に1個または2個のOリングを仕込んで減衰量とバネの強さ(プリロード)を同時を調整できるようになっています。 筆者が試したところでは、Oリング2個だとバネも減衰力も強すぎて、公園のような一般の乾いた土の上では全然ロールしません。Oリング1個でもまだ相当固いですが、多少はサスが動作するので、通常はOリング1個がいいと思います。リヤサスもそうですが、バネやダンパーの効き方は現在のラビット系の足回りに比べてかなり固いです。結果、リバウンドストロークが全然ないサスなんですが、ラビット系よりもタイヤがかなり柔らかく設定されており、これでリバウンドを確保しています。足回りの仕組みは同じでも考え方は大きく異なるわけです。 |
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Oリングはこのように仕込みます。 オリジナル版の発売当時、まだCVAダンパーなんて存在せず、赤いシリコンリングもありませんでしたから、復刻版でもキット付属は当然に黒いタイプなんですが、筆者は魔が差して赤のシリコンリングを仕込んでみました。こちらのほうがシャフトの締め付けが緩くて作動がスムーズかな?と思ったので。もしかしたら逆かも知れないので交換しながら試してみる価値のあるチューニングポイントではあります。でも、個人的な感想では、このフリクションユニットは要らない気がします。このパーツが付いていると、バネのプリロードがかなりかかってしまいますから、取り去ったほうがサスがちゃんと仕事をしてくれそうです。とはいえ、フロントを柔らかくするとアンダーステアが一段と強くなるので悩ましいですが。もしOリングを使いたければ、バネを5mmくらいカットしてプリロードを調整するテもありますけどね。 |
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フロント周りの裏側。シャシー中央部の「フタ」のような1本のパーツで左右のサスアームを止めています。サスピンはありません。アームと一体化されています。この基本設計は「グラホ」以来タミヤの入門用バギーのDNAとなっている特徴です。 ナイロン製のアップライトは、本来は白なんですが、筆者の好みで染めています。詳しくは次ページで。 |
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シャシー裏面全景。 バッテリーは若干オフセットされたスペースに収納されます。オフセットで空けられた空間は、機械式スピードコントローラー用サーボを設置するスペースの名残です。シャシーとのすき間を作らないボディ造形の巧みさとフロントタイヤが砂塵を巻き上げない2駆バギーの特徴がうまくマッチして、ほとんどバッテリーボックスへの砂の侵入はありません。 ただ、走行して分かりましたが、コースのギャップなどで腹を強く擦ると、このバッテリーボックスのフタが脱落、バッテリーがボロリ・・・となる可能性があります。まぁ通常走行で問題になることはありませんが・・・。 |
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リヤダンパーピボット周辺。 ダンパーはグラホとはギヤボックス側のピボット位置が異なるので、位置調整用の延長部品を介して取り付けられます。グラホではプラ製「なんちゃってダンパー」をシャシーに直付けです。 延長部品はボディマウントも兼ねています。んでは初代グラホのボディマウントは・・・というと、実はコレがなんと、「ビスで直付け」なんです。そう、初代グラホはビス止めでシャシーとボディが完全にモノコック化する設計だったのです。考えてみるとなかなか前衛的な趣向です。このアイデアは後に「ソニックファイター」などでさらに先鋭化した設計に昇華したことは皆様ご存知のとおり。 |
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ギヤなんですが、90年代のツーリングカーやマンタレイ系バギーなどでおなじみだった不透明のナイロンギヤから一転、アップライトと同じ透明感の高いナイロンに戻りました。そういえば昔のナイロンギヤはみんなこんな感じ? たぶんこちらのほうが結晶性は低くて耐熱性は若干低いけど、摺動性が高くて磨耗はしにくいハズなんですよね。素材選択も「復刻」? 今回、あれこれ考証したところ、このギヤ、初代グラホより先に発売のウイリー系と共通であることが判明。当時のグラホやホーネットの取り説(パーツ一覧)にもあるんですが、「20Tアイドラーギヤは不要です」と。 何で??と謎だったのですが、カウンターギヤだけがグラホ開発時に後から作られたもので、デフとアイドラーはウイリー系からの流用だと。そういえば袋が別々ですよね。ちなみにこのギヤはグラホ2/スーパーホーネットでも使われています。隠れたベストセラーパーツかも(笑)。 |
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ちなみにギヤは、ウイリー系&グラホ系と同時期に販売されていたフロッグ系のギヤや、現在のラビット系とは互換性がないので念のため。 さて、念のためタイヤもチェック。ホーネットに付属のリブパターンのフロントタイヤは、「ワーゲンオフローダー」からの流用です。「ホリデー/デューンバギー」のタイヤはサイドウォールの刻印が異なる別モノです(ホイールは共通)。ホイールは小径タイプで型はチャンプ系共通(白)です。素材はABS樹脂なのでこのように塗装が可能です。塗装可能といえば、グラホ系のバスタブシャシーもABSなので塗装できるんですよね。やっている人を見たこともあります。石ハネで色が剥げるとみっともないですが。 |
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リヤは、チャンプ系共通のホイール(白)にファイティングバギー用に作られた「ラバースパイクタイヤ」の組み合わせ。ファイティングバギーやマイティフロッグと同じ。ちなみに前後タイヤともインナースポンジの設定はありません。この時期のタミヤのバギーはみんなそうです。 このタイヤ選択、砂地での走行を意識したものらしく、ちょうど放映が始まった「タミヤRCカーグランプリ」のCM映像も砂地の走行シーンでした。確かに、当時、走行場所としてポピュラーだったのは学校の校庭や公園だったはず。いずれも大きな石はなく、細かい砂が浮いた土ですから砂地みたいなもんです。面圧の低いバルーンタイヤが当時の路面事情にマッチしていたのでしょう。 |
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でも、現代のレベルで見ると、フロントのグリップが低すぎてすごいアンダーなんですけどー・・・ハッ、コレがかの有名なタミヤアンダーか!あっはっは。 もう10年近く忘れとったよ<爆> というわけで、走行1番のインプレは「曲がらん!!」でした。やれやれ。 ただ、あれやこれやの工夫で舵角を増やしたり、バネを調整すると、良く走るようになりました。 タイヤの関係もあって、芝生など草地では結構楽しく走ります。砂地も良い感触です。 逆に、いまどきのオフロードカー向けの固い土の上ではまるで曲がりません。要は走行場所を選べばいいのだと思います。 ギヤ比的には、540モーターがいつまでも熱くならないほどのローギヤードなのですが、クルマが軽いので結構速いです。昔の子供たちには鮮烈な速さだったことでしょう。何でしたら23Tストックに交換すればブッ飛ぶと思いますが、飛んでいって壊れそうです。オトナは540でまったり楽しむのがよろしいようで。 |