ニュールンベルク・トイショーのプレビューでドイツ・ディッキー社が公表していた写真を一目見た時から「イケル!」と思っていましたが、実際の完成品をタミヤGP会場で見て、キットを手にして、ますますその思いを強くしています。
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ボディがABS樹脂製の成型品なので、侮っている人が多いのではないかと思いますが、その中身は 「ダイナストーム直系」と言っていいモノです。剛性の高いバスタブシャシーの設計も、2WDレーシングバギーの最新のノウハウを反映したもので、裏から見たらアソシB3〜B4かと思ってしまうような、ロール時の左右の張り出しの路面干渉を避ける形状です。もちろん、価格設定の都合上、スリッパークラッチは省略されていますし、入門者向けを意識したのでしょう、ボールデフではなくてギヤデフです。ただ、まぁ、このへんは今後いくらでも展開の余地はあるでしょう。大事なことは「売れること」です。売れさえすれば、メーカーも喜んでoptを出してくれるでしょう。さぁ〜、みんなで買いまくるのだぁ〜〜〜!(笑) | |
まぁ、でも、確かにポリカ製に比べればABS製ボディというのは重いです。特にこのリヤウイングは・・・(苦笑)。 たぶん、いつもの「お約束」で、第2弾も予定されているでしょうから、 ポリカボディはそれまでの「お預け」なのかも知れませんね。コスト的にはポリカ用よりもABS用の型のほうが 高価なハズなので、わざわざABSでボディを作ったところにも、このモデルに対するタミヤの意気込みを感じます。 |
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さて新設計のシャシー「DT-02(DTとは恐らくDirt Two wheelの略でしょ)」の特徴ですが、
ホイールベースは短め、トレッドは広めでほとんどスクエアなタイヤ配置になっています。
厳密な計測はまだしていませんが、ホイールベースはホーネットと並べて同程度なので、
DT-01(ルーキーラビット系)よりも10mmは詰まっている感じです。それでいて、全幅はホーネットの
1.5倍はあろうかという感じですから、圧倒的な安定性を確保していることは容易に察せられます。 特に、フロントトレッドが「やり過ぎじゃない?」と思うくらい非常にワイドなので、 コーナー進入時の初期反応や安定性は非常に良好です。フロントのワイドトレッドはDT-01もそうでしたが、 DT-01のフロントサスはホーネットと同形式のスイングアーム式だったので、キャンバー変化が大きく、 お世辞にもマトモな性能は期待できませんでした。 |
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DT-02のサスアームは「上下ともサスピン支持」とタミヤキットとしては
珍しい非常に支持剛性の高い構造のダブルウィッシュボーン式で、ほぼ文句なしのデキです。 ボディをめくると、中はこんな感じです。ダイナストームと違うのは、ステアリングサーボのリンケージを 左右対称化するためのクランクが省略され、アップライトとのダイレクト接続になった程度で、 バッテリーをセンターにタテ置きし、受信機&アンプを左右に振り分けるレイアウトは同じです。 |
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シャシー裏面に目を向けると、ロール時の路面との干渉を避けるために左右の張り出しに上半角をつけた
台形状のバスタブ形状が特徴的です。入門用とは言いながら、非常にレーシー、というか「現実的」な作りに
なっていて実にイイ感じです。 なお、シャシー前方左端にボコっと開いている「穴」は受信機用スイッチの取り付け部です。ただ、最近の アンプはスイッチが各社独特の形状になってきているので、まったく使えないです。あくまでも入門用の 伝統的なサイズの大きいスライドスイッチ用なので、レース向けには非現実的です。まぁしょうがないですけど。 |
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フロント部のクローズアップ。ステアリングサーボはアッパーデッキ(バッテリーホルダー)へつながる
クロスメンバーを兼ねるカバーで覆われ、通常は見えません。別に砂塵からサーボを保護してくれるわけじゃないんですが、
一般に2駆バギーのフロント周りのシャシー断面積は狭いので、十分な剛性を確保する意味でクロスメンバーで
閉断面を作っているわけです。おかげでABS樹脂製のシャシーでありながら非常に高い剛性を確保しています。 サーボは「お約束」のアルミサーボステーで固定。キット標準の樹脂製とは比べ物にならないくらい格段に 直進性が向上します。もちろんステアリングレスポンスも改善します。ただしサーボへのキックバックトルクも その分大きくなるので、トルク4kg以上、できれば5〜6kg以上のサーボを使用しましょう。ミドルクラス以上なら問題ないです。 |
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そもそも2駆モデルなのでフロントに大きな荷重はかかりませんから、
トルク10kgとかいったオーバースペックのサーボを積んでも意味ないです。 なお、今回搭載したサーボは、KOが90年代半ばに発売した業界初のFETトランジスタ内臓式サーボ「PS-712FET」です。 KOが先駆した、いわゆる「FETサーボ」の第2世代モデルです。 定価6500円、0.12sec/60度、トルク4.4kgcmというミドルクラスのスペック。今回、店頭で見切り品として3300円で 販売していたので、あえて「10年前」のモデルに手を出してみた次第です。実際、使ってみると、 「ホーネット復刻版」に 搭載した現行の同等モデル「PDS-763 ICS」に比べても、スピード的には明らかに勝っています。 この記事を書いた後に見つけたのですが、これからサーボの購入を検討されるなら、もっといい候補として、あんなの とかこんなのが ありますから、そちらをチョイスしたほうがいいと思います。 |
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フロントサスアームのスキッド角は標準的な20度(たぶん)に設定されています。Cハブの部分で特に設定をヒネるような 細工はされていませんから、キャスター角もスキッド角と同じ値になっています。ちょっと多過ぎですけど、タイヤ幅が細いので 実際には2駆バギーではあんまりキャスターはハンドリングには影響しないです。 | |
アップライトはDT-01からの流用で共通パーツです。バギーはF1同様のオープンホイールなので、
いざレースとなると、フェンスにヒットして結構、壊しちゃいますから、
補修用パーツの入手にこと欠かないのは頼もしいです。DT-01ユーザーも、当分、安心ですね。 なおダイナストーム用やワイルドウイリー用は形状が異なりますので要注意。特にワイルドウイリー用は ベアリング支持スパン(間隔)がまったく異なるので2駆バギー用タイヤは不適です。 |
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アップライトの取り付けは、キットではスクリューシャフトによるネジ留めですが、作例では スクリューシャフトの重量とネジ緩みによる脱落を嫌って、ツーリングカー用3mmステンレスサスシャフトによる Eリング留め式に変更済みです。性能に直接影響するものではないので、本稿を書いた時点では 特にタミヤGPでも問題とはみなされませんでした。軽量化といっても劇的に軽くなるわけじゃないですしね。 | |
ご覧のとおり、サーボセーバー回りとタイロッド、サスペンションアッパーアームの関係は かなりタイトです。タイロッドの長さ調節などの際に多少取り扱いが厄介な感じはします。 ただ、まぁ、問題になるような話ではまったくありません。なおサーボセーバーはサーボのトルクアップに対応して sp.1000のハイトルクサーボセーバー(黒)に交換しています。サーボホーンは短いほうを使っています。長いほうは サーボ上部のカバーに干渉するため、使えません。 | |
サーボのリード線は、キットではバスタブの仕切りの上をまたがせるようになっていますが、
取り回しが美しくないので、コネクタが通る穴をバスタブの仕切りに開け、ここにリード線を通しています。
ちょっとしたことなんですが、配線が自然になり、見た目がずいぶんスッキリしますよ。 ダンパーはキット取説で指定されているCVAダンパー(II)ミニを使用。ピストン2穴、オイル400番、 スプリングはDF-02用optのソフト(レースではDF-02アルミダンパー付属の黄=ミディアムも使用)。 インナースペーサーは基本的に入れないで組みますが、 今回は最初からレース用、しかも走行場所が運動場、ということで、車高を落とすため、ダンパー付属の短いほうのスペーサー(4mm)を 入れ、さらにダンパーエンドも短いタイプを使用しています(キットでは長いほうを指定)。これでも車高は20mmくらいありますから フラットダート走行には十分な車高です。 |
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実際のレース走行では、路面グリップが非常に低く、ソフトなバネを使用したこともあり、
大きいジャンプ台の着地後に尻打ちして一瞬動きが止まっていました。
ダンパーエンドは長いタイプにしてもう少し車高を稼いでおいたほうが良かったかも。
それから、写真にも見えるとおり、ダンパーシャフトの底つき防止用にOリングを入れています。
リバウンドストロークは測ってませんが5〜8mmくらいとツーリングカーの2倍程度です(前後とも)。
なおop.701のDF-02アルミダンパー(5500円)もCVAミニ(フロント用)およびショート(リヤ用)とほぼ同寸法なので もちろん装着可能です。タミヤGPでも使用OKなんですが、キット価格とのバランスがあまりに悪く、ふさわしくありません。 そんな場所におカネ使うなら、アンプやサーボにおカネをかけたほうがいいです。そういう意味でタミヤも あえて取説のoptパーツリストに入れてないのでしょう。 |