(posted on Feb 5, 2007)
(updated on Feb. 18, 2007)
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クラージュLC70(2)







ここからは例によって詳細の解説をしていきましょう。


まず何はともあれ「タイヤ」なんですが、 今回は最初から前後ともコンパウンドは「A」でキメ打ちでした。理由は簡単「一番食うから」。 問題は「タイヤ幅」と「インナー」の選択です。 MナローAだと、グリップの高いサーキットではフロントが引っかかるように食ってピーキーな反応を示す場合があり、 そうすると面圧の低いナローのファイバーモールドAにも出番があり得るんですが、 仮設コースは滑りがち。であれば、フロントが上滑りしてハンドリングは悪化するだろうと読み、 「ハンドリング重視」で面圧の高いMナローを選択。
F103GTの場合、重心の関係でフロントタイヤを深い舵角で押し出すように 路面に擦り付ける局面が多く、前後でインナーを変えると、インナー設定と走行中のタイヤ温度上昇の関係が分かりにくくなり、 セッティングが迷宮入りしそうだったので、今回は基本的に「前後同じインナー」でバランスを出しました。 硬さは、迷った末、ロングランでの安定度が高めの ソフト(op.434) を選択。「一発」ではハード(op.435) のほうが面圧が一段と上がって有利そうだったんですが、事前テスト ではソフトモールドで十分グリップしていたので、ハードモールドのリスクを警戒しました。

なお、現行レギュの解釈では、 sp.1023「Mナローレーシングラジアル」 などに付属のインナースポンジも使えることになってはいますが、事前テストができなかったので レース当日、練習走行で片側だけに装着して、様子を見ることにしました。事前予想では、面圧の関係でソフトモールドよりも若干 食わない、というか初期反応が悪いと見ていたので、コースに対してイン側(右回りに対して左前後)に装着してアウト側の ソフトモールドと比較しました。
フロントタイヤ(決勝レース後の摩滅状況) 練習走行の結果は、sp1023/1049用インナースポンジのほうがソフトモールドよりもごくわずか「食う」感触でした。 そこで、レースではリヤにスポンジを、フロントにソフトモールドで行こうとしたのですが、ここで2つの失敗が。

ひとつは、予選ヒートが第1ヒート(最初の最初)だったのに、珍しくコンクールデレガンスにクルマを出しちゃったものだから 準備ができず、練習走行のまま、左側にスポンジ仕様、右側にソフトモールドと「左右非対称」のままで走らざるを得なくなってしまった失敗。 本当にわずかなグリップ差しかなかったので、走行には支障ありませんでしたが、左右の曲がり方が違ったので、ターンインの見切りが ちょっと難しくなって攻め切れませんでした。

2つ目の失敗は、決勝レースのセッティングでタイヤのパーティングライン磨耗を軽く見過ぎていたこと。第2ヒート目から予定通り リヤに投入したスポンジインナーのMN-Aタイヤですが、決勝レース中にパーティングラインの磨耗で横方向のグリップが減り、 レース終盤には毎周のようにスピンする有り様でした。
リヤタイヤ(決勝レース後の摩滅状況) レースを終えて回収したクルマのリヤタイヤを見ると、パーティングラインが完全になくなり、丸ボウズ状態に(左写真)。 パーティングラインは確かに横方向のグリップに大きく寄与するんですが、 それにしても、濡れた路面であんなに響くとは思っていませんでした。ラインが残っていたレース序盤は、 抜群に速くて、ドライブしてても楽しかったんですけどね。

ちなみに上の写真はフロントタイヤなんですが、いずれもトレッド面の磨耗状況に着目すると、 外側ショルダー部からトレッド全体がキレイに減っていて、いい感じです。本当はもっとトレッド面が磨り減っているほうが、 タイヤの温まりが早くて良さそうなんですが、今回は事前の走行マイレージが稼げなかったので、そこは妥協しました。 わざわざタイヤセッターで削るほどカツってませんし・・・。
フロントバンパーは、ランナーの表記を見ると、Evo4からの金型流用であることが分かります。ということはEvo4のバンパー形状を 流用したTA-05にも付くってコトなんでしょうけど(余談)。

興味深いのは、ランナーに刻印された部品番号が、珍しく、Evo4とクラージュ用を併記して 成型されている部品の有無で「2通り」に分別されるようになっている点です。どういうことかというと、 Evo4用とクラージュ用では、「バンパー本体」の形状がまったく異なるのです。どうやらこの部分だけ、金型を 「入れ子」にして形状を変更できるようにしているようです。で、入れ子を入れ替えると、対応するバンパー本体の 部品番号が変わるので、それでEvo4用とクラージュ用を区別してね、という按配です。TA-05の金型はF103GTシャーシキット用の バンパー部品に化け、「元祖」のEvo4金型はクラージュ共用に? 良く分かりません。まぁどうでもいいんですけど。
クラージュ用のバンパー部品は、ボディマウントステー用の穴こそ2箇所設けられていますが、 スポンジ等を付ける余地はほとんどありません。「当てたらボディ割れるの覚悟してね」というのは イマドキのキットとしてはドウだかな〜、という気もしないでもありませんが、「ユーザーの工夫にお任せします」 ということで。私は何も工夫しませんけど(苦笑)。
トー角設定は若干でもトーアウトを確保しておかないと、ステアリングの初期反応がピクピクになってしまうので注意。

スポンジタイヤF1の時代と違って、トーアウト前提なので、大舵角時のアッカーマンを増やす必要は感じません。 舵角も'06年版と同様、キット指定と異なる「大きいほう」のサーボセーバーホーンを使っているので不満はありません。 このため、アップライトのピロボール位置は素直にキット指定どおりです。
サーボ搭載方法は'06年版のままです。 重心を前寄りにしたいのでトランスポンダー位置を'06より前進させ、 それに伴ってバランスウエイト(コイン)の位置を'06版とは左右逆にしました。
バランスウエイトは当初、バンパー部分に仕込もうかと思っていたのですが、タイヤの用意などが遅れ、 車重調整は当日の現場でドタバタとやっていたため、今回はバンパーに仕込むところまで行きませんでした。 このあたりは今後、走り込んで煮詰める余地がありますね。
「ボディに余計な穴を開けたくない」→「アンテナポストをキット標準の位置に立てないとダメ」→ 「RCメカ配置を見直し」、という結果、サーボやアンプの配線とアンプ用スイッチの取り回しはこんなことになっています。




アンテナホルダーは、タミヤで一番古いアルミ製の先割れタイプを ブラックアルマイト加工してもらったモノです。10年以上前に知り合いにやってもらったモノなので どこの業者さんなのか分からないのですが・・・。

ホルダー自体の挟む力でアンテナパイプを保持するのでアンテナキャップがなくてもパイプが立ち、コンパクトで安いので、 このホルダーは昔から筆者の大のお気に入りです。現在でも部品番号3455035「タムテックポルシェ962Cアンテナホルダー(120円!)」 として入手可能です。ホーネットなどでも使ってますからね。


アンプは、低重心化とは逆行するんですが、ボディ空間の都合で「タテ積み」になりました。 ただ、このほうが、バッテリーを固定するグラステープの取り回しはラクですね。フリクションプレートや ダンパーとの干渉も減りますし。

バッテリーからモーターへの「最短距離」の間にアンプを置いて 電気抵抗を極力排除し、安いアンプで十分な戦闘力を得る、というコンセプトを守りたいので、 絶対にアンプをメインシャシー上には置かないぞ、と。それじゃあ他の人と一緒、ですからね。
さらに今回は'06年版から一歩進んで、「頒布コーナー」で 「エクストリームキャパシタ1800」の愛称で取り扱いを開始した、 最新スペックの超低インピーダンス大容量キャパシタを実証テスト。取り回しの都合でコネクタに直接ハンダ付けしています。

このキャパシタ、耐電圧16Vと低く寿命も短めなのが難点ですが、こんなにコンパクトで容量は1800uFもあります。 540レースでは並列装備で見かけ上の耐電圧を上げる必要もなく、1個で十分のようです。寿命については、酷使しなければ アンプが壊れるまで使えるくらいの耐久性はありますし・・・。ちなみに筆者はこれまでまだキャパシタを 破裂させた経験はありません。普通に使ってる限り、破裂することなんてあるのかな〜?と思いますが、 実際のレース現場では、ときどき破裂させて薬臭いニオイを発している人がいたりしますので・・・。
モーターコードが太く、短くなると、柔軟性がなくなってTバー&モーターポッドの動きを妨げるので、 注意が必要ですね。作例ではそこまで配慮してはいませんが、本当はモーターコードの取り出しは Tバーのロール軸上(つまりシャシー中心)に寄せてするべきです。そうすればロールに対する コード剛性の影響は避けられます。でも、コードの取り回しが長くなっちゃいますしね。現状で、操縦性に 明らかな影響が出ているわけではないので、差し当たりこんな感じでも大丈夫かなと。
ダンパーは、バネ、オイル、ピストンは'06年版から一切変更していません。 op.163青バネ +デルリン3穴ピストン+400番オイルという「RCTチューンお約束セット」です。

リバウンドストロークがやや不足気味だったようなので、ダンパー長を1mmくらい伸ばし、アウタースペーサーを 3mm→4mmに増やしています。肝心のダンパー長ですが、これまで「現物合わせ」での対応でしたが、 ようやく測りました。ストロークを伸ばした後の現状で「61.5mm」でした。ご参考になれば。
フリクションパッド回りも'06版のまま。ドレスアップ目的でF103LM用の皿ネジ加工済みのカーボン製が欲しいのですが、 絶版から久しいので、ホント入手困難なんですよね〜。しばらくはこのままで行きそうです。
リヤのマウントは、F1用の樹脂製のものがキット指定なんですが、F103LM用のカーボンアッパーデッキは 3mmネジで止めるアルミマウント専用の設計になっているので、F103LMのアルミマウントにしちゃいました。 長さはボディによって短・長の2種類があったんですが、こちらはポルシェ911GT1などに付属していた、長いタイプです。 スペーサーの追加なしで、ボディがちょうどいい前傾姿勢になります。

Oリングはボディ装着時のガタ取りとマウント高さ調整のスペーサーを兼ねています。
現行のクラージュワンメイク規定は、「ウイング角度調整禁止」ですが、 ボディの「前傾」でウイング角はある程度調整できます。コレはツーリングカーでもよくやるテです。

一般的には、あまりリヤを高く掲げてしまうと ボディサイドから空気が入ってしまうのがデメリットになるんですが、クラージュは ボディサイドのカットラインがもともとかなり高く、普通に組んでも、サイドからはエア入りまくり。 ボディ内圧によるダウンフォースはほとんど期待しないほうがいいでしょう。 ボディを低くマウントしてしまうと、タイヤが当たるし、 ロール時にスパーギヤやモーターポッドがボディに干渉して走行の妨げになってしまいます。 見た目上は低くマウントしたいのが人情なんですが、実際の走行では、 このくらいマウント位置を高く掲げないと、リヤ回りがスムーズに動かず、走りに悪影響が出てしまいます。 ツイックスクリューでロールを規制しているのにコレですから、ノーマル状態だともっと影響は大きいはず。




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