(posted on Mar 19, 2002)
(updated on Dec 7, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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フェラーリF2001
(F-201シャシー)

<組み立てガイド編・その1>

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ついに発売されました!F2001。
2月1日ニュルンベルク・トイフェアで公式発表されて3月13日発送、という電撃的なデビューだったので、「待ち遠しい」というよりは、むしろ、まだ発売されてることすら知らない人もいたりするんじゃないだろうか、なんて思うくらいですが、とにもかくにも、まだこのマシンが現役で走ってる間に発売にこぎ着けたのはウレしい! さてさて、いったいどんな「仕掛け」があるのでしょう・・・? ワクワクしてきます。
組み立てをはじめようと、取り説を取り出してみると、 「シャシーとボディの取り説が分離されている」ことに気がつきました。 新シャシーをまとって出てきたタミヤのボディ付きキットとしては初めてのことです。
既にシャシー研究室「F1/LM分会BBS」でも指摘がありましたが、これは近いうちにシャシーキットが別売される前提で 用意されたもののようです。いくらなんでも「ギヤ比固定」というのは走行条件やモーターなどパワーソースの条件を あまりに限定しすぎてしまいますから、上級者向けのオプションてんこ盛り、カーボンないしFRPダブルデッキでTBよろしく ギヤも選び放題、というバージョンと、今回のキットの延長線上のエントリーモデル、さらにはもしかしたら 今回のキットのメインシャシーをカーボン樹脂にしたタミヤGP専用スペシャルエディション、といった バリエーション展開があり得るのではないでしょうか。あくまで勝手な観測ですが。
なんと言っても、全国には、年1回しかないタミグラ(世界戦の予選大会)のために わざわざキットを買うユーザーも結構いると聞きます。 しかも、F201クラスは、イコールコンディションを従来より一段と徹底させるために、 「ギヤ比固定」というのがウリです(いつまで続くか分かりませんが・・・)。
ならば、タミグラに必要十分な装備だけに絞った「タミヤF1GP専用シャシー」というのが売り出されても ちっともおかしくありません。本当に実現するかどうかはF201の売れ行きや、今年の「タミヤF1GP」の 人気次第だと思いますが・・・。
ところで、
「え、ダブルデッキシャシー?」と思った方、この一連のメインシャシー写真をよーく見てください。
どう見ても、フロアパネルはペラペラの1枚板にしか見えません。
最初から、ダブルデッキ仕様を意識した設計になっているのでしょう。
なにも今回に始まった話ではありません。「お約束」ですお約束!
F-101/2/3系シャシーとフロントバンパー(ウイング部品)を互換させるため、フロントセクションはこのような形状になっています。
写真では見えにくいかも知れませんが、シャシー最先端の、皿ビス形状になっている3mm穴には、ご丁寧にも全部、 穴からシャシー前方(写真では左側)に向かってウェルドライン(樹脂が流れて合流した部分にできる継ぎ目)ができてしまっています。 ウェルドラインはクラックそのものですから、「そこから割れます」と暗に言っているようなものです。
穴の付け根からラインが走っている、ということは・・・。
TA-04カーボンバスタブの金型変更の件があったばかりで、樹脂の流れは十分検討しているハズですが・・・どうしちゃったんでしょう?
もっとも、念のため申し添えておきますが、クラッシュしたときの応力は、穴の「後方」にかかるので、どうせウェルドラインが入るんなら 、穴の「前方」に入れたほうが問題が少ない、と考えてのことだったのかも知れません。それならそれで賢明な判断です。 でも、そもそもウェルドラインがこんなところに入るのは望ましくないですよね。 問題あるかないかの結論は、間もなくユーザーがどんどん「クラッシュテスト」を経験して明らかになるわけですが。私も人身御供(ひとみごくう)の1人に間もなく・・・(笑)

左の写真はリヤエンド。ディフューザーがちゃんと造形されてます。
話が長くなりましたが、ウェルドラインの件を除けば、この金型は大変よくできていると思います。 ウォーターラインシリーズ「空母信濃」かと思いました(笑)が、目立ったヒケもなく、しかもスライド金型ではなく、 コストの安い単純なオス/メス型でありながらちゃんとした立体的な造形を実現するために、 ダンパー用ロッカーアームの取り付けビス穴の抜き方など、実に工夫の跡が読み取れます。文句なく芸術品!

こんなに長細いインジェクション部品は、タミヤ製品のなかでも珍しいんじゃないでしょうか?
さて、いよいよ組み立てに入っていきます。
まず最初に、組み立て説明書にない「お約束の前処理」があります。 ベアリングです。
F201シャシーは「フルベアリング同梱」がウリのひとつとなっています。写真が、そのベアリング一式です。 確かに、こんなにいろんな種類のベアリングを使うとなると、バラで買い揃えるのは大変。どっちみちまず最初に 買うのはベアリングなんだし、資源のムダを少なくするにも、商売的に販売単価をアップさせるにも、 最初からフルベア、というのは悪くないと思います。キット1万台生産するとして、キット1個に20個以上のオイルレスメタル、 それが50%廃棄されるとしても、ざっと10万個のメタルがゴミ、というわけですからね。資源を大切に!
さて、「フルベア」を謳っているハズのF201なのに、ナゼか850のオイルレスメタルが2個、入っています。
クイズみたいですが、実はコレ、ステアリングワイパー用のメタル。
確かに、駆動系は「フルベア」なので文句ないのですが、なんだかちょっとセコいぞ(笑)。まあいいんですが。

というわけで、このページを読んだ方は、組む前に850ベアリングを2個、用意しておきましょう。 ステアリングワイパーはバラすの面倒なので、最初からベアリングを組み込むほうが良いです。

さて、その「前処理」なんですが、ここ十年来、流行っているのが、未使用のベアリングをいきなり灯油などで洗浄してしまう いわゆる「グリス抜き洗浄」。しかし私は、コレがどうも具合が良くなく、極端な寿命悪化を何度か経験しました。 たまたま、その時のベアリングが「ハズレ」だったのかも知れません。しかし、もともとマシンの組み立てに関しては 保守的なタイプですし、専門家に言わせても「グリス抜き」は百害あって一利なし、という感じなので、自分としては 70年代から実績豊富な自分流のやり方に、もうかれこれ4〜5年前から戻しています。

そのやり方がコレ、ビニール袋にベアリングを入れ、そこにベアリングが軽く浸るくらいの高分子化学配合剤スプレーをまぶす、というもの。 写真では、70年代から知られているCRC6-66を使っていますが、タミヤ・オイルスプレーでもWD-40でも5-56でも、似たようなものなら何でもOK。 私は、5-56のニオイがイヤなのと、子供時代に入手が難しかったマニアックな品というコンプレックスもあり(笑)6-66を愛用しています。

6-66をまぶした後、しばらく放置しておくと、グリスに6-66が浸透し、グリスがふやけてきます。 6-66がグリスに浸透するのには時間がかかるので、組み立ての一番最初にやっておくといいのです。

ふやけたグリスは、走行とともに、徐々に染み出してきます。メンテするたびに、アルコール系クリーナーではなく、 6-66でベアリングを洗浄してやることで、この流れが持続します。最終的には、中のグリスが溶け出して、結局、灯油で洗ったように なるのですが、その過程でベアリング内部のボールとリテーナー(ボールを支持する部品)がグリスと混ざりながら擦れることで 適度な「ナラシ」が行われ、バリが金属紛としてグリスに取り込まれ、流れ出します。コレが実に具合がイイんです!最終的には「シャーーー」といつまでも回り続ける超軽いベアリングになります。走り込みとメンテが不可欠なので、走行回数の限られているオジさんには逆にハードル高いかも、ですけどね・・・。

ベアリング前処理の話はこれくらいにして、ベアリングついでに、ちょっとチューンアップのヒント。
コーセーから出ている「ベアリングアダプター」というのがあります。850ベアリングを1150や1050サイズに変更できる、という モノです。「だから何なのよ?」というアナタは甘い。このほうが軽くなるし(1個につき約0.8g)、 ベアリングサイズが小さくなる分、転がり抵抗が減ります。ただし、当然のことながら、この部品はタミヤGPでは認められません。 あくまでローカルレースなどで清く正しく使ってね。タミグラで使うような不遜なヤツはRCT立ち入り厳禁だー!
(タミヤから正式発売してくれりゃあいいのに・・・という気もするんですが)
さて、取り説どおりに組み立ていこうとすると、まずデフギヤの組み立てから始まります。
F201のデフベベルは、TB系と似たデザインで、部品の共通化が得意のタミヤのことだから、 てっきりTBと共通かと思っていたのですが、比べてびっくり、こんなにサイズが違います(実は歯数は同じで15T/39T)。
デフリング(デフプレート)は互換性があるかな〜?と当初感じたのですが、実際に比べてみると やっぱり違います。残念(左がF201用、右がTB用)。もしかして、ツーリングで「エボ3」を出すとしたら、 このF201用デフベベルを使うのかな?そうなると一段と車軸が下がりますからねえ。
(12/25/2002update)やっぱりそうでした。ホビーショー発表半年前の予言的中!
で、このテのボールデフで「お約束」なのが、「ボールの数を減らす」細工。
様子見がてら、さっそくやってみたところ、上下左右が非対称になってしまいます。
それでもいいや・・・と、写真のとおりのボール配置で組んでみたところ、どうも回転ムラが発生し、うまく行きません。
実は、TBのときとは組み方が違ってたことに後で気付きました。穴を一個ずつ飛ばして「五角形」になるようにボールを挿入すれば良かったのでした。このほうがデフはスムーズになるはずです。上の写真は、恥さらしの「失敗例」としてあえてアップを続けます。マネしないように!(笑)
とりあえず、今回は全部にボールを入れて組んでみました。
写真の通り、全部の穴にボールを入れて組みなおしたところ、デフリングの研磨もしていない素組み状態でも、 十分にスムーズ。ボール数を減らしてデフプレート研磨すれば鬼デフ間違いなし。
加工精度の高いデフハウジングも、スムーズなデフ作動にひと役買っています。 ちなみに、デフハウジングは、17Sジュラと思われた414用より比重が重いのですが、アルマイトかかってるし、 銅系の合金より軽いので、たぶん75Sジュラ製だと思われます。 そんな贅沢な素材使ってるとしたら、スペアパーツの価格が怖いですね。1セット1500円くらいになるか? ・・・と思っていたら、既に「F201 ボールデフジョイントカップ(A、B各1個入)」(Item:50940) なるものが1,200円とアナウンスされていました。思ったより安いのは量産効果?
ちなみに、前後デフハウジング(2セット)+ベアリング+ドライブシャフト+ホイールアクスルの 「駆動部品袋詰」(Item 9415885)はカスタマーサービス扱いで5300円!この金額にはたまげましたが、内容で納得。
ついでの話ですが、今後F1ブームでいきなりF201からRCを始める方を対象にメモしておきます。
ツーリングやそれ以前のバギー、F1といったボールデフ装備モデルをやってた人には常識ですが、 デフプレートには「表と裏」があります。 写真では分かりずらいですが、左が「表」で右が「裏」です。
見分けるポイントは、「プレスの向き」です。プレス機で上から下へデフプレートを打ち抜くと、 最初に抜き型が当たる「表」の切り口は丸くなり、最後に抜かれる「裏」の切り口は鋭利になります。 つまり、「角が丸いほうが表、尖っているほうが裏」というわけです。
一般には、表のほうが、平滑度が高く、デフの作動がスムーズ、と考えられています。しかし、これは あくまで経験的・感覚的な結論です。 そもそも、耐水ペーパーで水研ぎしてしまえば、はるかにスムーズになるので、表も裏もあったもんじゃない、 というのが正直なところですが、ものぐさな私は、なるべく水研ぎしたくないので、水研ぎせずにレース用のデフを組む場合は、 必ず「表」を使うようにしています。練習用に「裏」を使えば1セットで2倍使えます。

てなわけで、なんだかんだ言ってデフ完成! んん〜黒がシブい。
取り説では少々説明不足だったのでアドバイス。
このデフ、バネとスラストベアリングを入れて2×15mmキャップスクリューで締め込んだ後、 反対側に2×8mmキャップスクリューをネジ込んで、ネジ同士を押し付ける格好でカシメるのですが、 このように2本の六角レンチを同時に回す格好でやらないとちゃんと締めこむことは不可能です。注意! 2×8mmの方だけ、一生懸命回していても、空回りしてダメです!締めた気になっていてもすぐ緩みますので念のため。
さて次はいよいよ前後バルクヘッドとサスアームの組み立てです。
ここでいきなり、各種ビス・ピロボールの重量チェック!
まずは電動キットでは初のパーツとなる、
6mm先割れボールエンド(ボールカラー)。
16個で11g! ん〜思ったより軽いぞ!?
TGR用で6mmアルミピロボール(Item:9805688、5個400円)というのがあります。 未確認ですが互換性あるらしいので注目のアイテムです。 サスアームに挿入したが最後、事実上、使い捨てになることを考えると、 アルミに換えるほどのメリットは見い出しにくいなあ、という感じもしますが、 5g削るのに2000円くらい捨ててもいいという金銭的余裕のある方はどぞ。


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