シャシー研究室スペシャル
M−03製作記
M-03シャシー全景
なお、作例では、古いM-01をバラして、ベアリング、ユニバーサルシャフトを調達し、さらにチタンビス、アルミピロボール、 ステンレスサスシャフト(TAシリーズ、Mシリーズなどから転用しましたが、TL用だと無駄がありません)、 スーパーローフリクションダンパーなど オプションてんこ盛りで組んでありますが、これはひとえに後で組み直すのが面倒なため。 プラパーツは一度タッピングビスを立てると、使い捨てになってしまう (どうせネジ山が弱くなるので新品に換える)ので、一度組んだら極力バラしたくないのです。
ただし、デフはノーマルのギヤデフのまま。これは個人的なこだわりですが、
FF車にはスムーズなデフ動作を求めるので、あえてボールデフにはしない。
初期テストでは、フロントの入りがシビアでした(これはM-01も同じでした)が、
渋いボールデフでアンダーを出すくらいなら、タイヤやサスのセットで調整したほうが、
全速度域で安定した特性が出せる(注1)と考えます。しょせんFFですから、
いざという時には、ずーっとニギっていればスピンすることはないですし。
一般的には、ボールデフの方が走らせやすいでしょう。
でも、私は、ボールデフのメンテが大変で嫌なんです!
(6/25/99追記:実際、この1年でフレーム交換時の1回ぽっきりしかデフには手をつけていません)
パワーユニット周辺と配線レイアウト
どうです、アンプがどこにあるか、お分かりですか? サーボの後ろ、 ちょうどバッテリーの上あたりにある黒いやつがそれです。そう、キーエンス A-01をシュリンクラップしたやつを、シャシー上部に埋め込んであるのです。 横から見ると、ちょうど放熱部分だけが表面に出た格好になっています。 もともと、A-01は超軽量ですが、ケースを外してシャシー内に埋め込むことにより、 更なる軽量化と低重心化、重心部へのマス集中を促進し、 配線レイアウトの合理化で軽量化とロス軽減まで実現しました。ちなみに、モーター用、バッテリー用合わせて 使用したコードの総延長はわずか15センチ程度です。 また、当然のことですが、シャシー剛性の確保も十分配慮されています。シャシー左半分(手前側)は、 モーターマウント用のリブで補強されているので、上部をくり抜いても大丈夫なのです。 なお、メカ関係の配線も、実車F1のブレーキパイプなどの処理を参考に、極力シャシー内部を通すようにして 見た目すっきり、掃除も簡単、クラッシュによる断線などトラブルも防止、といったことを狙っています。 これを超えるスマートなレイアウト、ありますかね〜?
受信機
アンテナは、私のいつものテですが、束ねて後方へ伸ばす形でテープ止め。 タミヤ掛川サーキットのような広いところでなければ、これで十分。混信したことはまずありません。
ダンパー
そんなわけで、一体タミヤさんはオプションでどのダンパーを買わせるつもりなんだい・・・と思って取説を読むと、「(スーパーでない)ローフリ」だと(笑)。 今から組み立てる人には、悪いことは言いませんから、M-03のフロントにはTA-03R(S)用のCVAスーパーミニを使用されることをお勧めします。あっちのほうが、 1〜2mm程度(スーパー)ローフリよりシリンダーが短いので、組みやすいはずです。バネは当然、ショートタイプを使用します。FFはフロントサスが固いほど フロントのグリップが高まるので、Fバネは青(ハード)が基本。オイルはあまり考えることなく、ダブついているからという理由で400番を使用。 なお、私はスペーサーは極力使いたくない(脱落などトラブルの元になりがち)ので、作例ではリヤは標準サイズのバネを使用。こちらは極力柔らかくすべきなので、 オイルはアソシの100番、バネは当然、赤(ソフト)です。
専用設計が光るリヤ回り
しかし、出来はいいですよ。特にシャシーフレームは出色。ケチはいろいろあるけど。だいたい、なぜ銀色? メタリックなんて、強度は落ちるし、
ウェルドライン(樹脂の流れが合流してできる線・・・経年変化による劣化や油分の侵入で割れやすい)がハッキリ見えちゃって、走らせるのが恐くなります。テスト成形品
じゃなくて商品なんだから、「ここから割れますよー、もうヒビが入ってる
かも知れませんよー、よーく見てくださいねー」みたいなのはやめなさいって。
それはさておき、FF専用と割り切ったフレーム設計は大いに評価できます。フロントのボトムにはスラントが付き、スキッドガイドの役目も果たしそうです。 リヤは余計な贅肉が削ぎ落とされました。
ついでに気づいたのですが、リヤタイヤはTLのアップライトを流用した結果、トーインがゼロ設定となっています。
リヤのトー角ゼロというのは、ツーリング系シャシーではTL-01で初めて採用されました。
これはもっぱら組み立てやすさ(間違いが少ない)を狙った設定でしたが、これにより、TLは
TA系と比べても極めてシャープなハンドリングを実現し、540クラスのモーターを使う限りにおいては、
非常に操縦しがいのある(ドラテクさえあれば良く曲がり速い)マシンに仕上がっています
(ただし、パワーアップするとジャジャ馬になりますが・・・)。
ツーリングカーでは、リヤタイヤのトー角設定は非常に重要です。タミヤはFF第1号となった「出光無限シビック」で、
舵角の少なさを補うため、「リヤタイヤのトーアウト」という暴挙に出たことがあります。当時は、おかげで説明書通り
に組むと直進しないクルマが出来上がりました。さすがにタミヤもまずいと思ったらしく
(そんなこと発売前にキットを自分で組めばすぐ分かるでしょーに!)
シリーズ2作目以降はトーイン設定が標準になりました。
パーフェクトな製品って、なかなか難しい・・・
例えば、TA-01/02やM-01/02では、サスアームの剛性不足が問題になりました。それを直したつもりのTA-03では
サスアームのスパン(前後幅)を狭くしたばっかりに、ワン・クラッシュでシャフト穴にガタが出て即交換という、むしろTA-01/02より
耐久性に乏しいサスアームになってしまいました。M-01/02では、ステアリングのガタがどうしようもない欠陥でしたね。
私はアレでM-01を早々に放棄しました。せめて直進ぐらいしないとねえ。 さて、それではM-03はというと、全体的にみると、うん、これはなかなか良く出来ている。サスの剛性もTLゆずりで十分だし、 シャシーフレームもしっかりしている。バンパーも小型でナイス。ただ、惜しむらくはステアリングの舵角が少ない (増やすのが難しい)こと、ダンパーの設計に無理があることと(上述)と、この写真。なんだよー、 真ん中にサーボの出力軸が来てないじゃんかよう! (写真が斜めなのではありません。サーボの中心線がずれているのです。作例はサンワ・ERG-ZZを使用・・・ちとオーバースペックですが、TOPではこれしか売ってなかったし、FFはトルクが要るので) せっかくなら、もう少しサーボ位置の調整幅が欲しかった。
(6/27/99追加) (2)頻繁にクラッシュしてしまう向きからの指摘として、「フロントのダンパーステーが折れやすい」 という点がありました。最近、シャシーが改良されて、補強リブが追加されたので、多少は折れにくく なったようです。そういえばこの改良型シャシー、ちょっと金色が混ざるようになりました。 恐らく、FF02シャシー用のサブフレームとあまりに色が違いすぎたので、色を合わせるための 仕様変更と思われます。個人的には、そもそも、マテリアルそのものを見なおして欲しいんだけどなぁ・・・。
出来すぎているのも良し悪し?
そんなこともありますが、基本的に、「余計なお世話」は焼かないで欲しい。
舵角はユーザーに決めさせて欲しい。こんな設計はサイテーだあ・・・というのが、この写真。
組む前は、何となくカッコ付けのための冷却用っぽいフィン(モーター側面、写真では中央下部)
だと思っていたのですが、組んでびっくり、ステアリングがロックする角度にぴったり合わせて
出っ張っている。いつもなら、こんな時、迷わずリブを削りにかかるのですが、今回はボツ。
なぜなら、専用サーボセーバーとアップライトによって、どうあがいても舵角が規制されてしまうから。
しかも、トーインを強めにすると、今度はフロントダンパーがタイヤに当たる。
最大の謎?
それはそうと、この写真で最大の謎は、バルクヘッドの左右中央あたりにある四角い突起。
これ、どう見てもスタビ用の支点だと思いません?バンパーを取り付けると、ちょうどいい
感じなんですよね。でも、サスアームやアップライトのどこにも、そんな穴は空いてないのです。
もしかすると、M-01/02のように、ピロボール付きのサスシャフトを用意するのかも知れませんが・・・。
何はともあれ
(8/16/98追加)実走開始後のディベロップメントの様子はこちら
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