(posted on Aug 24, 2007)
(updated on Nov 6, 2007)
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ユーノス ロードスター(M-04M)
RCTチューン'07(2)




ギヤ比一覧表旧・M-04L製作記(99年7月〜)タミヤHP(M-04Lビートル)M-04Mユーノス取説

さてここからはシャシー後半セクション、パワーソース系とリヤサスペンション回りの解説です。

今回、最大の「予定外」アイテムがコレ。そう、アンプをTEU-302BKからKO・VFS-1に変更してしまいました・・・というか、変更を余儀なくされてしまいました。実は、今回、気合を入れてTEU-302BKを徹底的にチューンした「作例」をお見せしようとしていたのです。「コレが302BKですか!?」と言われそうなくらい、結構カッコ良く仕上がった「自信作」だったんですが、試しにバッテリーをつないだところ、「ブシュッ」という青白い閃光とともに、バッテリーコードのハンダが瞬時に溶け、コードが基板から脱落し・・・。そうです、どうやらコード交換時にハンダ付けか何かをミスってしまったようなんです(苦笑)。こんな大失敗は初めて。いかほどガックリ来たかはご想像にお任せします。で、レース2日前だったので、いまさら302BKを買い直す気力もなく、素直にM-03からVFS-1を引っぺがして配線だけやり直しました、という按配です。残念〜!
M-03から載せ替えにあたっては、最新スペックへのアップデートも行いました。 キャパシタは「オンライン頒布コーナー」でおなじみの「エクストリームキャパシタ1800」を装着し、軽量化と大容量を両立。また、モーターが540→ライトチューンに変わり発熱量が増える点を考慮して、以前から買い置きしてあったアレックス製VFS-1用ヒートシンクを装着。ホントは23ターンとか載せるシャシーに使うツモリでしたが、当面、使いそうもないので・・・。

Mシャシーやバッテリーをタテに置く最近のツーリングカーでは、アンプとモーターの距離が近いので、アンプがモーターエンドベルのヒートシンク機能を一部肩代わりする格好になります。そのままでは単にアンプが加熱して効率が落ちるだけですから、何らかの形で放熱対策を強化しておいたほうが得策でしょう。
VFS-1に変更した結果、ちょうどうまい具合にシャシー内側の空間部分の幅にケースが合ったので、 シャシー強度にほとんど寄与していない、バッテリー上のパネル部分を切り落として埋め込んでみました。 上の写真でチラリと見えるように、グラステープをシャシーフレーム間に渡して「土台」としています(バッテリー固定用のグラステープは別途その上に重ね張り)。当初はポリカ板を渡したりしてみたのですが、あんまり意味がないようなので、割り切ってグラステープで落ちないように支えるだけの構造としています。どっちみちバッテリーを突っ込んでしまえばそれ以上落ちる心配もないわけですし。
アンプは、コードを含めると30〜40gにもなる重量物ですから、どこにレイアウトするかは大問題です。通常はバッテリーの前・シャシー脇(=作例で受信機を取り付けている反対側)に貼り付けることが多いのですが、 これでは重心位置が前寄りになってしまいますし、モーターコードもバッテリーをまたぐ必要があるため長くなってしまいます。かといって「'07プロト」のようにシャシー後端にレイアウトしても、コードの取り回しが長くなるのは同じことで、あまり好ましくありません。重心位置とコード長(重量・抵抗)の最適解として落ち着いたのが今回のレイアウト、というわけです。302BKではここまで高さを落とすことは難しかったと思いますが、たまたまVFS-1になったことで、無駄のない、究極のレイアウトが実現しました。VFS-2でもケースサイズは同じですから、安価にマネしようと思ったらVFS-2でやってみるといいと思いますよ!








モーターコードはKOの12ゲージ(GA)を使用。 発売からかれこれ20年くらい経つロングセラー商品です。とはいえ銀メッキはしっかりしていますし、 撚(よ)り線の線径も適度ですし、何より12GA〜16GAまでコード径が豊富で、シリコン被覆の質も良いので気に入っています。 他社コードを評価する際のベンチマークにもしているくらいです。
1600/ライトチューンのパワーに12GAというのはややオーバースペックで、本来は13〜14GAあれば十分だと思うのですが、 コード長を詰めて浮いた重量をコード断面積の増加に回して、「全長短縮×線径アップ」という「掛け算の抵抗削減」を目論み、 あえて太いコードを使ってみました。モーターのチューニングによるパワーアップは極めて面倒だし再現性も乏しいですが、 こういう努力は「1回限り」で済むので、取っ掛かりは面倒でもトータルで見ればラクチンな話ですしね。

12GAにもなると、ハンダゴテの熱も逃げやすくなるし、バッテリーコネクターの取り回しも厳しくなるので、 アンプやキャパシタを痛めないように、手早く綺麗にハンダ付けするのはひと苦労でした。自分的には、 できれば極力やりたくない「面倒くさい作業」のひとつです。そういえばこのVFS-1に付いてた前のコネクターって、 04年にEvo4組んだときからずっと使い回してたヤツだったハズ(苦笑)。
ショッキーにはVFS-1/2に標準で付いてくるアルティメイトショッキーを装着。ここぞとばかりのホンキ仕様です。タミヤGPではエンドベル温度が耐熱グレードの電子部品の上限「105度」を超えるような状況は考えられないので、ショッキーは理想的な「エンドベル直付け」で間に合います。となると「ベストのなかのベスト」はこのショッキーをおいて他にありません。筆者はKOの回し者でも何でもありませんが、このショッキーだけはお奨めです。

単品で買うと定価2500円もしますから、同ショッキーが付いて実売1万円ちょっとのVFS-2というのは、かなりのお買い得アンプです。実はM-04にVFS-1じゃちょっともったいないからVFS-2に格下げしようか、などと画策しています。そろそろいい加減にVFS-1の使い回しはヤメてコンペ2買えよー、という話もありますが・・・。
リヤセクションのポイントはダンパーとデフ。デフは「'07プロト」を踏襲したギヤデフですが、 レース当日の状況として、コーナーへのターンインと立ち上がりでスロットルを開けた際の安定感が イマイチだったのでデフをメいっぱい固めようとしたところ、「できない」ことが判明し慌てました。 原因は「お腹いっぱい(苦笑)」。フタのネジの締め過ぎで3本のうち1本が既にバカになっていたのでした。 もともと2mmタッピングビスですからネジの締め付け強度は知れた話なんですが、コレは誤算でした。 ここでようやく、基本的に動かない(「逃げ」として動く程度)くらいに固める場合はボールデフが吉、ということを思い出しました(遅いって)。仕方がないので、レースはギヤデフをだましだまし使いましたが、 走りの安定感にやや欠ける結果となったことは否めません。次回からはボールデフも用意しようと思います。
「'07プロト」ではリヤタイヤのトラクションMAX化を狙ってアンプを リヤバンパー上に置きましたが、「'07本番」では、アンプ単体を約25gくらいの「重り」と捉え、アンプ自体はもっと効率的な場所に配置替えする代わりに、コード短縮やシャシー軽量化などで浮いた重量を重りとしてリヤオーバーハングに付けちゃえ、 というコンセプトに進化しました。実際には軽量化が間に合わず、10gをバンパー下に積むだけになりましたが(M-03作例と同じです)。

実は、モーターが「'07プロト」と同じ540のままだったら25g積めたんですが、 カンやマグネットが重いライトチューンに10〜15gくらい重量を食われてしまい、ウエイトが減ってしまいました。 全体の重量配分としては当初の狙い通りにまとまっているので操縦性に大きな影響は感じられませんでしたが、 もしかするとリヤのスタビリティが若干軽かったのは微妙にこのことが影響してたかもです。ちなみに全備重量は1204gくらいでした。
リヤダンパーは基本的に「'07プロト」のままで、3穴ピストン+900番オイル、ダンパー長56.0mmで車高5mm、 リバウンドストローク4mmくらい、という設定値です。 レース前の練習走行では op.633のショート白バネ(エクストラハード) を使っていたのですが、もう少しリヤのスタビリティが欲しかったので、 リヤグリップを稼ぐ方向でバネを強くしようと考えました・・・ところがここで問題発生。 op.635のスーパーハード(灰色) op.636ウルトラハード(紫色) 、どっちがどっちだか分からなくなってしまったのです(苦笑)。 仕方がないので、「手で触って比べて柔らかいほう」を選んだ結果、ご覧のとおり、灰色のスーパーハードを正しく選べていました(嬉)。やれやれ。 事前テストでは、白バネ以上の硬さになると、どれを付けても大差ない感じだったのですが、あんまりやり過ぎるとマズいと思っていたので、紫バネは使うツモリはありませんでした。 ショートのエクストラハード(白)からバネ長の長いスーパーハード(灰色)への変更は、ただでさえ バネ硬さの変動幅が大きめになるので、いくらなんでもその上のウルトラハードはちょっとヤリ過ぎでしょう。
op.440オンロード仕様ハードスプリングに比べると、op.630〜633のショートバネは5mm、op.635、636は1mmほど長さが 短くなっています。つまりop.630〜633とop.635/636は4mmの違い、ということになります。その分、アウタースペーサーを調整しないと 車高が変わってしまいますので注意しましょう。作例ではバネ用カラーまで全部外してなんとか帳尻が合いました。

ところで当日の気温は27〜29度(セミインドアで直射日光が差さないので比較的安定していました)と7月初めの東京としては普通だったんですが、 ちょっと特別だったのは湿度。実に74%もありました!ここはタイか?という感じの湿気です。 もっとも、カーペット路面にこの湿気は良い話で、グリップは高かったようです。 筆者はあんまり良く違いが分かりませんでしたが、一応、そういう状況を加味して、グリップバランスをリヤ寄りにして安定方向に振ろうと 上記のバネ変更を行ったのでした。念のため。

なお、これは過去の経験を踏まえたうえでの予想ですが、路面温度が「30度」を超えてくるようだと、 ファイバーモールドAが本格的な動作温度に入ってきてMグリップに勝つ状況が出てくると思います。 ツーリングカーより車重やタイヤ面圧が少ない関係で、タイヤの発熱が少ないため、ファイバーモールドAコンパウンドの動作には 高めの路面温度が必要です。 25度程度だと特にレース前半ではまだMグリップのほうが有利だということを昨06年の全日本予選で確認済みです。 ただ、ROXで路温が30度を超えるのは7月末〜8月半ばと「窓」が狭いです。 実際にこの時期にタミグラが開催されることも現在はないですし、そういう意味で、今はROXでAが必要になるケースはまずないと思います。 もしAを使うとしたら、基本的にはMグリと同じ、ソフトスポンジ(60D用の青いやつ)のほうが食いますから念のため! Aにハードスポンジ入れるくらいなら、減ったMグリップを素直に使ったほうがいいでしょう。
以上で「'07本番」チューンの説明はひととおりオシマイ、です。最後までお読みくださってありがとうございました! これだけポイントを押さえておけば、M-04のセッティングで迷宮入りすることはまずないでしょう。がんばって良いクルマに仕上げてくださいね!!

ところでユーノスの顔なんですが、どうも見ていると「カーズ」マックイーンか、はたまたパルシステムの「こんせんくん」 に見えてしまうのは筆者だけでしょうか・・・。ローアングルで見るとなかなか可愛いです
さて最後になりますが、お約束していたM-04Lとの違いについて簡単にご説明しておきます。

今回、優勝して代表権をもぎ取ったのは、ミニッツカップ・ファイナル戦でも常連の平城選手が駆るM-04LホンダS2000でした。 前回の6月のROXでは予選・決勝とも中団を走り、特別に速い、という感じではなかったのですが、今回は 予選時から安定して速く、決勝でもほとんどのクルマをラップ遅れにしてしまう段違いの速さでした。すごいすごい。世界戦でも 優勝候補の一角になること間違いなしです(プレッシャーかけちゃダメって? いやいやそんな・・・<笑>)。

とはいえ、クルマ的には特別なことは何もありませんでした。むしろ筆者の作例のほうが「カツカツ」な感じプンプンです(苦笑)。 搭載メカはS9550サーボにキャパシタなしのMC600C(フタバのミドルクラスアンプ、性能的にはタミヤ302BK並みレベル) しかもモーターとの接続は直結ではなくヨーロピアンコネクターを使用、 タイヤは前後Mグリップに前ハード、後ソフトのスポンジインナー(これはごく標準)。
シャシー中央補強板のビス止めを 上下前後4点止めから後部のみ上2点止めに変更して取り付け角度を起こし、空いたスペースに受信機を立てて装着して レイアウトをスッキリさせている点と、立ち上がり加速をマイルドにする意味で意図的にキャパシタを省略して立ち上がりのパンチを 軽減するチューニングをしている点が数少ない特徴となっていました。リヤバンパーに「お約束」のウエイトを積んでいたのは RCTチューン同様です。

キャパシタの有無は考え方が分かれるところです。筆者の場合は、ハードウェア的な性能(パンチ)は ありったけ稼いでおいて、あとは状況判断で運転手がスロットルの開け方(ウデ)で調整すればいいじゃん、という考え方なんですが、 平城選手の場合は、安心してガバっと開けられるよう、あえてハード性能を絞っている感じです。まぁ結果的に速い人がエラいんで、 どっちが優れているかは結果がすべて、なんですけどね、レースでは。

前後バネは、前がop.163オンロードスプリングセットの赤(ソフト)、リヤが黄でした。これではリヤに荷重がかかると 腰砕けして巻いてしまうはずですが、ロングホイールベースと彼のドライビングスタイルにはマッチしていたのでしょう。

デフはギヤデフで、筆者とは正反対に「スルスル」仕様でした。これもロングホイールベースということで、 Rのキツいコーナーで曲がらないことへの対策でしょう。普通に考えれば、立ち上がりの安定感では不利な仕様です。 ところが実際には、1コーナー出口の立ち上がりで決勝10名中1人だけリヤタイヤを毎回鳴かせて(つまり、ありったけフルスロットルで) 走っていたのです。この立ち上がり加速の差が積もり積もって圧倒的なレース結果になっていました。
レース後、どう対策したの?と聞いてみたところ、「立ち上がりで微妙にカウンター当ててました」とのこと。つまり「ウデ」です。 ステアをニュートラルにしてフルスロットル与えると スピンモードに陥ってしまうので、運転技術で対応していた、というのはさすがです。 まぁそれが「世界戦レベル」ということなんでしょうね。

なお、「平城チューン」ではリヤアップライトがoptのトーイン1.5度のアルミアップライトになっていました。ということは リヤグリップを樹脂製のトーイン付きアップライト(2度)よりも落としている格好です。樹脂製のトーイン付きアップライト (スイフト用軽量タイプ含む) を使う場合は、「平城チューン」よりもリヤが粘るはずなのでその分フロントを曲がるようセットする必要がありそうです。

その他、聞きそびれてしまった点で後から気が付いたのは、M-04Lだとリヤにワイドアクスルが使えるのでトレッドを左右6mmずつ計12mmも 拡大でき、ロングホイールベースと相まってリヤのスタビリティをかなり稼げる点です。M-04Mの場合は、RCTチューン作例を見ても 分かるとおり、ユーノスボディだと6mmの標準長ハブで既にボディサイドぎりぎりまでタイヤが来ていますからリヤトレッド拡大の余地は 全くありません。しかしM-04L系のボディはいずれもリヤトレッド拡大の余裕がかなりあります。

「平城チューン」がどうだったのかは不明ですが、 それなりにリヤトレッドは広げているのではと思います。フロントにソフトスポンジのMグリップを使えば、カーペット路面で 曲がらなくて困ることはあり得ないので、リヤトレッドを思い切って広げるのはいいかも知れません。筆者なら、せっかくの 立ち上がり加速の良さを生かす意味で、デフはある程度固めて、リヤトーインもメいっぱい付けて、リヤトレッドも広がるだけ広げたうえで、 フロントグリップを稼いで曲げるスタイルにコダわると思います。まぁそのへんは スタイルの問題もありますから好みで選べばいいと思いますが、リヤグリップの限界が低いクルマは走りの限界が低くなることだけは確かなので、 ハイサイドのリスクと相談しながら、最適値をよく考える必要があるでしょう。どうも、改めて考えてみると、 許容幅の広さという意味ではM-04Lのほうがあるような気がしてきました(苦笑)。ただ、 スペアボディが入手困難なのが痛いですね。S2000やBMWはもうカスタマーでも手に入らないそうです。実はそのへんが最大の問題かもですね。

(おわり)





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