(posted on Jan 14, 2005)
(updated on Jan 19, 2005)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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TA-04 ユーロスポーツ仕様(2)






ところで、冒頭から「フルタイム四駆」という言葉を何度も使っていますが、RCで言う「フルタイム」というのは実車とは定義が違います。実車では、自動制御でトルク配分を4輪ないし2輪に切り替えるものも含めて、手動切り替え式でないものはすべて「フルタイム四駆」と言っているはずですが、RCカーでは、ワンウェイクラッチを使って前輪へのトルク分配を制御する仕組みを持つものは「フルタイム」とは言いません。センターワンウェイだけでなくフロントワンウェイが入っていても同じ結果ですからフルタイムとは言いません。あくまで、前後ともにボールデフまたはギヤデフで、モーターからの駆動を途中で切るクラッチが一切入っていないものだけを「フルタイム」と言っています。このシステムでは、常にブレーキトルクが四輪に分散されますから、早く安全に減速することができ、コントロールが楽になります。滑る路面で有効な方法です。
スパーホルダーにはoptのアルミホルダーとカーボンバックプレートを使い、回転ブレの抑制を図っています。さらに、04Rで追加された「TA-04Rバルクヘッドビーム」(240円)をカスタマーサービスから取り寄せ、バルク剛性を強化(下に写真あり)。モーターマウントはoptのアルミ。TA-04はモーター直付けヒートシンクが使えませんが、やはり少しでも放熱を良くしたいですから。でもヒダが控えめでノーマルのアルミ板と熱容量もあまり変わらないし、モーター取り付け精度が変わるわけでもないので、無理して交換する必要はないかな。

特に強くお奨めするのはバルクヘッドビームの追加です。コレを付けたら04モジュールギヤでも歯飛びしなくなります。以前はクラッシュ1発でギヤ交換してたのがウソみたい。たった240円でギヤの破損が激減しますから非常におトクな投資です。というか付けてなきゃ論外。
さて次に、TA-04のベルトテンション調整について説明しておきましょう。 最近はシャフトドライブ車にハイエンドユーザーの大多数がシフトしてしまった関係もあり、適切なベルトテンションについて良く分かっていないTA-04ユーザーが増えているようです。04年のタミヤ世界戦に参加するほどの上級ドライバーでも、パンパンのベルトで「スピードが出ない〜」とか悩んでいる人がいたくらいです。

確かに、TA-04のカーボンアッパーデッキは、シャシーに対して若干突っ張るようなカットになっており、このままポン付けで使ってしまうと、まず間違いなくベルトテンションが過大になってしまいます。 ベルトというのは「なるべくユルユル」なのが望ましいわけです。写真のように、アッパーデッキにベルトがペタンとついてしまうくらい緩いのがベストです。
こういうことを言うと、「そんなバカなー」という方も多いと思います。でも間違いなく駆動はこの方がスルスルになりますよ! 実は、ベルトテンションについては、多くの入門ユーザーにひどく歪んだ情報が刷り込まれているように感じます。雑誌はモディファイドモーターと最先端バッテリーを使うワークスマシンしか紹介しないからです。言っときますがアレは物理法則と格闘する異常な世界です! ベルトテンションを高く取ってベルトの共振や暴れの対策が必須です。ターン数無制限のモーターパワーで強引に帳尻を合わせればいいので、駆動効率は2の次です。 こんな世界のコンセプトをモーター規制のあるタミヤGPに持ち込んでも話になりません。 そもそも走行中の540の回転数はモディファイドの1/4〜1/3程度です。ベルトが暴れてロスるなんてことはないのです。ベルトテンショナーなんて駆動ロスになりますから不要です! 確かに540でも、無負荷で空転させると「ベルト暴れるじゃないか」とおっしゃる方がいるかも知れません。でも、実走行の回転数を考えてみて欲しいのです。無負荷時の状況から判断するのはナンセンスです。
「ユルユル」の基準ですが、筆者は「ベルトが歯飛びする直前」が540ではベストだと思っています。ベルトの歯飛びは通常センタープーリーで起こりますから、メいっぱいベルトをセンタープーリー側に寄せて引っ張ったときにセンタープーリーの山からベルトが完全に外れない限りはOK、というわけです(どこかの山に引っかかってれば駆動が抜けることはないですから)。かなりベロベロに緩めない限りこうはなりませんよ。

ではどうしたらベルトを緩められるか? ですが、まずはアッパーデッキの前後のバルクヘッドの切り欠きと当たる部分をヤスリで0.5〜1mm程度削りましょう。特に2点止めになっているリヤ側のほうが削りの効果が大きいと思います。これだけでも、個体によってはすぐにベルトが緩む場合があります。筆者の場合はまさにそうでした。
しかし、それでもあまり効果がない場合ももちろんあります。人によっては、バルクとアッパーデッキの間に見て分かるほどのスキ間があるのにベルトの張りが変わらない、という人もいました。 そういう場合は、アッパーデッキのネジを緩めて、ベルトを写真のように「エイヤッ」と引っ張り上げるのです。

ベルトが切れる心配はありません。 鉄より引っ張り強度の強いアラミド繊維入りですから、先に手が切れます。 安心してメいっぱいバキバキと引っ張ってください(写真は手ぬるいです。アッパーデッキの上5cmくらいまで引っ張ってみましょう)。そして、引っ張った状態のまま、アッパーデッキのネジを締めればいいのです。たったこれだけのことであなたのマシンも激変します。もちろん、ベルトに適当な浸透性の高いオイルを塗布して柔らかくしておくのは当然の「お約束」ですよ!
写真に写っているバルクヘッドカバー、フロントもそうですがキッチリネジ込んでしまうとベアリングを圧迫して駆動抵抗になる場合があります。Evo3/TB-02のように意図的な設計ではなく、樹脂成型のバラツキによるものなのでほとんど問題にはならないはずなんですが、ネジはロックから1/4くらい戻しておいたほうがいいでしょう。

映りが悪いですが、ツイックスクリューのねじ込み量も参考にしていただければ。これでMナローラジアル使用でリバウンド3.5mmを得ています。ちなみに車高は5mm、フロント側のリバウンドは3mmにしたそうです。
リヤのサスブロックは、筆者が組んだ時点ではノーマルの樹脂製サスブロックだったのですが、77大塚選手の判断でoptのアルミサスブロックに変更。

アルミサスブロックには0.5度と1度があり、アップライトにoptの2度のタイプを付ければ計3度まで増やせることになっています。ここまであれば大抵困ることはありません。今回はとにかく滑るということで1度のブロックを使いリヤトーインを最大値の3度に設定、グリップ確保に腐心した様子が伺えます。

こんな状況ですから当然リヤスタビも外しています。リヤスタビは、ヘタに固めるとタイトコーナーで尻を振りやすくなるので、普段も赤(ソフト)くらいで止めておいたほうがいいです。

モーターの後ろ、リヤベルトの中に見えるのが上述の「TA-04Rバルクヘッドビーム」(240円)です。バルクには最初から取り付け穴が開いていますから3×10mmビスとかで適当に止めればOKです。ウソのようにセンターシャフト回りのバルク剛性が上がりますよ!TA-04Rには標準装備ですが04Sやそれ以前の04PROなどからステップアップした人には付いてませんので、「必ず」カスタマーから取り寄せましょう。

TA-04のリヤサスアームにはスキッド角が付いています。414やEvo系などに比べて重心が高いので、アンチスクォート(加速時にリヤの沈み込みを迎える)の特性を確保するには不可欠です。これはoptのアルミサスブロックにした恩恵かと思ったらそうではなく、ノーマルの樹脂製サスブロックでもやっぱり同じでした。設計時点から重心の高さを意識していたことが伺えます。

ダンパーですが、使用したスプリングはなんとTA-03時代のop.163「オンロード仕様スプリングセット」(800円)の黄(ミディアム)です。とにかくロール量を増やしてタイヤ面圧の急激な上昇を緩和し、滑り出しを抑えようというわけです。 ダンパーのボトムエンドがアルミ製になっていますが、これは77大塚選手のコダわりで、この程度の硬さのバネなら樹脂製でも全く機能的な問題はありません。
ロールを積極的に稼ごう、という意図のもとでアッパーアーム取り付け位置を変更していますがコレは77大塚選手のアレンジです。 筆者はアライメントについては余程のことがない限り理想状態からいじらないポリシーの人なので、ロールを増やしたければダンパースプリングの変更だけで対処しようと考えるのですが、アッパーアームを短く取り、さらに角度も傾ける方向性はロールを積極的に増やす狙いとしては正しいものです。

実はTA-04というクルマは意外にアーム取付け位置の選択の余地が少ないです。穴は5つも開いてますが理想的な位置は上の真ん中です。それ以外はどこもバランスが崩れてしまいます。というかアッパーアームが妙な角度に取り付いてしまいます。なんでこんな中途半端な設計になってるのか不可解です。個人的には全体的に実に良くできているTA-04にあって唯一残念な点です。
リヤもドライブシャフトはノーマルのドッグボーンです。こんな遅い仕様のクルマで「回転部のレスポンスがー」なんて言ってもほとんど意味ないですから。安く楽しむに越したことはありません。



さて、最後にボディのフィッティングについて。 今回、77大塚選手が選んだのは、筆者も好きなオペルV8だったのですが、なななななんと、タイヤがフェンダーに擦れてしまい、クルマの妙な挙動に悩まされたそうです。 他の参加者の状況を取材すると、DTMベンツとかBMW・M3だと問題なかったそうですが。


これはユーロスポーツの指定タイヤが径の大きいラジアルだったとか、ホイールオフセットの関係もあるのでしょう。オペルボディならホイールはオフセット0を使えば良さそうです。 また、フェンダーの擦れる部分をライターであぶってちょっと内側から筆塗り用塗料のビンか何かを押し当て、プレスしてやるのも良いかも。この程度の問題ならちょっとした工夫で対策できそうです。
以上、駆け足でご紹介しました。

このマシン、近日開始予定の「RCTチューンロデオ」企画の貸し出し車輌に加える予定です。どうぞお楽しみに!




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