(posted on Mar 11, 2008)
(updated on Mar 19, 2008)>
タミヤRC製品・即買いカタログ
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TA05・ユーロGT('07)仕様(2)





実は今回、一番面倒だったのが車重規定への対応です。カスタムパックないし1600SP指定なので、事実上、パワー的に有利な1600SPでの ワンメイクなわけですが、そうするとバッテリー重量が3700HVと比べて100gくらい軽くなってしまいます。 加えて、車重規定が、通常の1500gに対して1600gと100g重くなっています。いくらボディが通常の軽量タイプより 50gくらい重くなると言っても、都合120〜150gくらいのバラストを追加しないといけない!・・・コレは結構、難儀です。 もともとTA05はムダなスペースが皆無ですから・・・。

これもバラスト(約25g)。釣り用の薄板状の鉛を束ねて収縮チューブでパックしたもの。 場所がない<苦笑>から、両面テープでバッテリーパックに貼り付けました
いつもトランスポンダーの場所にしている部分も、今回は釣り用のオモリで一杯です。 トランスポンダーはひっくり返してポリカ板製の自作ステーの上に載せる形で取り付けて対応。
バッテリーは1600SP しか選択の余地はありません。しかもメいっぱいを狙うなら新品に限ります。 容量は同水準でも「ハイエンドセル」だった昔と違い、今のこの水準のセルは、 電極素材自体は最新スペックのものを使っているので、当時のものよりも 少ない材料で同程度の容量を確保できている反面、耐久性には疑問があります。 保存特性も今のハイエンドセル並みに悪いようです。油断するとすぐに過放電してしまい、セルが死にます。 最低でも2〜4週間毎のマメな電圧チェックは欠かせません。

こちら でデータを紹介したテスト用サンプルは、保存中に油断して過放電させてしまったこともあり、 累計わずか20サイクル程度で放電容量が1400mAh程度に減ってしまいました。 ニッカドだからとレースで3C(4.8A)とかいったムチャな運用を2回程度行って、 予想外にセルが傷んだことも影響したかも・・・。安物パックにありがちな、 セルのマッチング精度が悪いせいで弱いセルへ負荷が猛烈にかかったのかも。
保存特性や耐久性の悪いセルは、ナラシとか言ってむやみに充放電するのは愚の骨頂。 回転を早くして短期で使い切るのが合理的です。 ・・・というわけで、自分は、1600SPは2〜3レース毎に1本だけ買って、 1シーズンで「おいしいところ」を使い切るようにしています。 1600SPは、タミグラ以外の場面では練習走行に使おうにも重量バランスが崩れてしまうし、 パワー不足で豪快さに欠けるので、 仮設サーキットでの各種電源やビデオカメラ(いまは7.2V駆動が主流)の外部電源として余命を過ごすようにしています。 もっとも、1本目は速攻でパックが死んでしまったので余生らしい余生を過ごさぬままリサイクル行きになってしまいましたけど・・・。

さて次はモーター側の説明です。ユーロGTではギヤ比無制限なのでメいっぱい上げてモーターに負荷をかける 使い方が重要になります。
ROX3でナロータイヤ主流+ギヤ比自由だった2002年頃まで、当時のバッテリーは1700SCRC〜2400RCでしたが、 540パワーでギヤ比は5.6〜5.8程度、23Tストックでも6.0〜6.2くらいだったと記憶しています。このため、 今回は04モジュール105Tスパーに41Tピニオンで 最終原則比5.762をチョイス。 予選ペースは好調で加速も直線の伸びも悪くなく、まだまだ攻めが甘いところが多々あってタイムアップの余地が大きかったので、 ギヤ比に関しては決勝まで同じで通しました。直線スピードに関しては予選でも決勝でも後ろから突付かれることはなかったので、 今回はこのへんで良かったようです。加速を重視し、逆に予選2ヒート目や決勝で6.5くらいに落とす人も散見されましたが、 加速力はタイヤグリップでキャップがかかってしまう(グリップ限界を超えたら空転するだけ)のに、 タイヤの限界を無視してむやみにギヤ比を大きくしても、 アベレージスピードが落ちて逆効果です。実際に走ってみないと納得できないのは分かりますが・・・。
ギヤ比を小さくした場合の注意点としては、「ガバガバとアクセルをあおらないこと」です。 過負荷は過大な電流を招き、バッテリーの消耗とモーターの加熱でパワーダウンを早めます。 負荷のピークをなだらかにする必要がありますが、それにはスムーズに丁寧な(なるべくメいっぱい踏みたいけど) アクセルワークが重要です。もちろんステアリングも失速しないような スムーズかつ大きなRを描くような走りが望ましいと。

ところで、ギヤのバックラッシュについてRCTで具体例を示したことがありませんでした。今回、たまたまピニオン歯数を示す意味で 撮った写真がバックラッシュの実例に使えそうなので、 こちらにアップしておきました。ご参考になれば。例はピッチが最も細かくて調整が微妙な04モジュールのケースで示しているので、 TA05キット標準の06モジュールなど、もっと大雑把で大丈夫な場合にはもっとラフ(すき間ガバガバ)でもOKでしょう。
アンプは、従来どおりのKO・VFS-2000という、かなり年季モノになってきたアンプのまま。 走行マイレージが積みあがってないのでFETの劣化は少ないし、VFS-2000以降、パワーソース中の アンプの影響度はかなり薄まった(アンプを最新製品に換えてもラップタイム的にほとんど寄与しない) という認識があるので、あえてそのまま。さすがに配線はやり直したいですが、これも次回にお預け。

現在のタミヤGPルールでは、ギヤ比+回転数規制でモーター自体は高回転を追及できませんから、 一番影響度が大きい要素は「バッテリー」です。だから劣化や使用回数にことさら気を配っているわけです。10回充放電して 例えば2%内部抵抗が増加(=パワーダウン)するとしたら、これをアンプや他の要素で取り返すのは並大抵のことではありません、 て言うかムリ。カツカツ度が上がれば、みんな最新アンプをおごって来ますからね。


サスアーム類は、自分の好みで、ロール剛性を上げる方向に振っています。つまりアーム類をほぼ水平になるよう 位置関係をセット、さらにシャシー側とタイヤ側のピボット上下間隔もほぼ同じにしてロールセンターを重心に近づけるとともに ロールセンターの移動量自体も抑えています。これが良いとか悪いとかは一概には言えません。考え方の問題です。
リヤに関しても同様です。

このようなジオメトリを採ると、クルマはピークの幅が狭くなり、ナーバスな挙動を示す方向性になります (F103やオンロードDDの挙動に比べたらダルダルですが)。 自分はセッティングの簡略化を狙って、バネにロール制御を集約したいと考え、 意図的にこうしています(=あれこれ考えたくない)。 前後サスブロックのアンチノーズダイブ/スクォートの設定もそうですが、ジオメトリのロール剛性はメいっぱい上げて、 柔らかいダンパーで帳尻を合わせようと。その代わり、ダンパーバネは上から下まで各種の固さを細かく揃えて対応しています。 決して純粋ハイエンドユーザーの思考ではありません。もっと上を目指すなら、手間はかかっても、 もっと多元的な方法論が必要ですが、自分には「バネを考えるだけでOK」の現状はなかなかラクチンで心地よいです。
実は、タミヤのシャシー設計でもTRF415やTB-Evo3等で似たようなアプローチがトライされ、放棄された経緯があります。 「高剛性シャシーをダンパーセッティングでセットアップする」というアプローチです。当時のオープンレースは6セル規定、 コースに最もマッチしたタイヤを1パックで使い捨て、メいっぱいグリップさせて・・・という条件だったせいもありますが、 セッティングのピーキーさは確かにあったようで、アッパーデッキ形状の変更や取り付けビス外しなどでしのいでいました。 そういう意味では、自分のサスジオメトリのアプローチも「パーフェクト」だとは思っていません。 要は、「自分がカッコいいと思えるクルマで、気分良く速く走れりゃあイイ」んですよね! それが「RCカー遊び」の基本でしょ?
リヤセクションは、サスブロックが前:1XD、後:1XAで1.5度、これに、トーイン1度の「TA04のノーマルリヤアップライト」(sp.869) で計2.5度。IFS仕様ではないオリジナル版TA05のキット標準リヤアップライトは、 op.472「TA04トーインリヤアップライト」のデチューン版 (型はそのまま、素材をPA-CFから軟質PAに落としたもの)であり、トーイン設定は2度です。 これでセッティングを出してもイイんですが、TB-Evo3の実戦経験を通じて、せっかくTRFがおススメのセッティング理論として 「トー角はアップライト側ではなくサスブロック側で設定すると( サスアームの軌跡の違いが奏功して)コーナー脱出速度が改善する」という知見を得ているので (Evo4以降の最近のシャシーはすべてこのトレンドを反映したパーツ選択になってます)コレを実践しないテはないよね、 ということで、アップライトのトーインを敢えて1度に減らしていると。TA04足だと0度のアップライトというのがないので、 1度でガマンです。
ただ、ノーマルアップライトの軟質ナイロン素材はあまりにもヤワ過ぎて、アッパーアームのピロボールが付け根からモゲるので、 クラッシュが気になる方はop.428「TA04ハードリヤアップライト」(PA-CF<カーボン繊維混ナイロン>製、トー角1度)を使うといいでしょう。 自分はTA04が出た当時に買い過ぎて余りまくってるという不純な動機から敢えてノーマルを使ってるだけ。 決してオススメではないです、ノーマルは・・・。

実は、次ページ以降でご紹介する08年1月のROX3で出走したGT3700クラス仕様では、 同じM2ラジアル仕様ながら、リヤグリップ不足を感じて後側のサスブロックを1Aまでアップ、実に3.5度のトーインを付けて 好感触でした(寒くてグリップが低かったせいもあると思いますが)。ただし、この時は トーインで稼いだグリップをリヤバネをop.440赤に落とすことで前後バランスを整えるアプローチでした。 これに対して、GT3700に先立って組んだ今回の作例では、540パワーということでわずかでも駆動ロスを減らそうと、 リヤトーインを抑えるのが最優先テーマでした。
ただ、経験上、ROX3のようなタイトなコースでは、極端にリヤトーインを減らしてもコーナーが遅くなってラップタイム が上がらないので、0度とかはあまり意味がなく、2度くらいは欲しいところです。でも3度にはしたくなかったと。そういうレベルの葛藤です。 今回の作例では、リヤトーインを抑えた分、バネをop.440黄としてリヤを踏ん張らせて前後のバランスを取りました。 グリップをトーインで稼いでバネを柔らかく(面圧ピークを抑えるのでグリップ的には不利)するのか、トーインを減らして バネを硬くするのか。どちらが良いかはコースレイアウト(ストレート重視かコーナー重視か)やパワーソース (アンダーパワーだとその分曲がるセットにする必要がある)との兼ね合いもあるので一概には言えませんが、毎回、よく検討したい 重要なセッティング箇所です・・・ていうか、普段の自分はリヤトーインとバネしかイジらないし(苦笑)。
今回の仕様は、タイヤがデカいせいで車高がかなり上がってます! 確か7〜8mmはあったはず。バネを特別柔らかくした わけではないのにこの車高は、単に手抜きのせいです(苦笑)。ただ、おかげで、上手でないコース設営作業のせいで あちこちに轍(わだち)よろしく「うねり」があった当日のカーペットを難なく走れていました。ラッキー。
というわけでユーロGT仕様の解説を終わります!

最近のタミグラは、ルールが不安定でコロコロとタイヤやボディ、パワーソース規定を変えたカテゴリーを設定する傾向が強く、 「旬」を過ぎたボディは一生使い道がなくなりそうなのでホトホト困っていましたが、DTMベンツ君にはようやく「ご苦労さん」と 引導を渡せそうです。とはいえ、せっかく手間かけて塗ったボディ1セットを1レースでポイするのはいかにも忍びない (遊びでサーキット走るヒマがないのでボディがいつまでたっても痛まないのです)。 コイツでせめてもう1回くらいはタミグラに出たいところですが・・・。





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