(posted on July 29, 2009)
(updated on May 12, 2024)
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超基本
スポンジタイヤパーフェクトガイド



ダイレクトドライブ(DD)シャシーといえばスポンジタイヤ(英語ではFoam Tyre)。
もともと、電動RCカーが登場する以前、エンジンRCカーの時代から、
良好なグリップが得やすいスポンジタイヤはホビーRCカー模型の「お約束」でした。
ですから、「スポンジタイヤの組み立てが分からない」なんて、
昔ならあり得なかったのですが、今は電動ツーリングカーしか知らない世代も増えて、
F104で初めてスポンジタイヤを触ることになった人も多いと思います。
ここでは、そんな方のために、「スポンジタイヤ一筋40年」のふぇら〜り伊藤が
スポンジタイヤの「作法」を伝授します。

「キット&シャシー紹介」コーナーのF10x系記事もご参照ください。



<1>組み立て方

RCカー黎明期の1970年代後半から80年代前半、スポンジタイヤの接着にはもっぱら「ゴム系接着剤」が 利用されていました。当時のタミヤのタイヤの取り説には、「タイヤをホイールに組み付けて、接合面に接着剤の 先端を突っ込み、接着剤を流し込みながらグルッと一周させて貼る」というような指示が出されていましたが、 これは初心者向けの説明。グリップが低いタミヤタイヤだからこそ問題が出なかっただけで、 サードパーティーやAYKなど他のレース志向が強いメーカーのハイグリップタイヤでこんなことをやっていては、 ホイールからタイヤ側面がめくれて大変なことになってしまいます。

タミヤ・カンナムローラ(レーシングマスターMk.1)組み立て説明書のタイヤ接着指示 1/8GPレーシングを含めて、一般的にレースをやっている人たちの間で行われていたのは、 ホイールとタイヤの接着面それぞれに接着剤を塗り、いったん乾かして、 貼る直前にシンナーをハケで塗り、生乾きの間に一気にホイールを押し込んで乾くまで放置する、というもの。 タイヤに含ませたシンナーが、徐々に接着剤を溶かしてしっかり接合する、という按配です。

塗装用シンナー(Mr.カラー薄め液など)は、タイヤ組み立て用溶剤として現在主流のモータークリーナーよりは 乾きが遅いので、ホイールの挿入で慌てることはあまりなかったように思います。 シンナーを塗られたゴム系接着剤は滑りやすいので挿入しやすかったですし。

ホイールがナイロン製ならば、この方法を使えば、使用後のタイヤをアセトンやシンナーに1〜2晩ドブ漬けして おくことで、簡単にホイールを再生できたので、ランニングコストも安く済んだのでした。電動DDカーのホイールは そんなに簡単に割れたり歪んだりしないので、ホイールの寿命は半永久的といってもいいくらいでした。 初期のタミヤのスポンジタイヤ用ホイールはシンナーに溶けてしまうABS製だったので、この技は使えなかったのですが、 カンナムローラやポルシェ956のホイールはナイロン製でしたからOKでした。

その後、世の中は進化して、薄手の「両面テープ」なるものが登場し、これが主流となりました。 接着の確かさ、という点では今でも接着剤貼りが絶対優位なのですが、いかんせん面倒くさいようです。 接着強度が十分ならば、両面テープのほうが簡単だし、ホイールを再生する際には両面方式のほうが圧倒的に簡単 (テープをはがすだけ:コレが非常にキレイに剥がれてくれるのでゴキゲン)なので、 現在では両面テープが主流です。
両面テープが密着するよう、ホイールのバリはちゃんと落としておきます。
タミヤキットでも、80年代末に発売されたCカー以降、両面テープ貼りになっています。しかし、タミヤの 同梱両面テープは、「とりあえず貼り付ける」という感じのモノで、ハイグリップタイヤをキッチリ貼るには 少々、役不足です。そこで筆者が昔から愛用しているのが、カワダから出ている1/12DDカー用のタイヤ接着テープ。 要は、紙ベースの薄型両面テープで、ニトムズとかから出てる業務用のモノを転用してるだけなんでしょうが、 価格も悪くないので、あえてホームセンターとかで代替品を探す必要はないでしょう。

両面テープによる接着方法は、ゴム系接着剤のときと基本的に同じで、両面テープをホイールに貼り、 タイヤとホイールにシンナーを塗ってタイヤにホイールを挿入、ということなんですが、 イマドキの作法としては、シンナーをハケで塗ることすら面倒になっており(人間、どこまでモノグサなのかしら<笑>)、 「モータークリーナーを吹けばいいじゃん」へと進化しています。もちろん筆者もこの方法です。 そうすると、先述のとおり、モータークリーナーは乾きが比較的早いもんですから、 ホイールを挿入しているうちにタイヤがくっつき始めてしまいます。そこで、挿入しながらクリーナーを吹き足してタイヤを滑らせていく、 というのが上手く仕上げるコツです。モタモタしてると接着強度に影響するので、手早くやる必要があります。

接着自体はそういうことなんですが、両面テープ方式独特のコツとして、「ホイールからハミ出た両面テープはあらかじめカッターでカットしておく」というのがあります。まぁホイールと並行にキチツとテープを貼り込むことは結構難しいので、ハミ出る前提で貼って、カッターで切り落としたほうが仕上がりはイイと思います。もちろん、テープをハミ出させるのはホイール外側です。タイヤの「内側」はめくれる力がかかりにくいので、多少接着が甘くても無視できますが、タイヤ外側はキッチリ貼っていてもめくれてくるくらい厳しいので、できる限りキチッと貼りたいのです。

でもやっぱり、走るとホイール外側の接着面は剥がれてきてしまいます。そこで筆者は最近、透明ゴム系の接着剤をタイヤ接合部に盛るようにして、それなりの効果を得ています。要は接合部分をサイドからも補強してやっているわけです。天然ゴム入りの接着剤だと、硬化後にカサカサになってしまうので、接着後も柔軟性が高い「透明(酢酸ビニル)系」のゴム系接着剤が吉です。

なお、この一連の様子、このたびYouTubeビデオとしてアップしました。筆者が長年やっている通りの様子ですので、ご覧いただければ参考になると思います。



※ 補足 ※(2018/5/25update)
電動カー分野では、1990年代半ば頃からJACOなど欧米ブランドが先行する形でホイール接着済みスポンジタイヤが登場しましたが、接着済みタイヤにはゴム系ではなく、シアノアクリレート系(瞬間接着剤)が使用されています。作業性や接着強度で有利だからでしょう。ちなみにエンジンカー分野では、両面テープやゴム系接着剤だと燃料に侵されてしまうという点もあるのかと思いますが、ホイールとタイヤの隙間に瞬間接着剤のノズルを突っ込んでぐるりと回し、接着する(冒頭に書いたゴム系接着剤の作法を瞬接でやる)方法が、1990年前後には既に定着していたようです。

なお、シアノアクリレートはアセトンに溶けますので、アセトンへのドブ漬けで接着済みタイヤのホイール再生は問題なくできます。ラッカーシンナーは使えません。

昨今は、電動カーでも瞬接で接着する人はいると思います。注意したいのは、電動カー(特に1/12)のホイールは小さいので、個人でやると接着剤が厚ぼったくなってムラも出やすく、タイヤハイトをペタペタに薄くするとトレッド面のスポンジ硬度に影響する場合がある点です。接着強度だけを上げても、次はスポンジの部分が切れて剥がれてくるので、実はあんまり意味がありません。それよりもサイドウォールを補強してスポンジが切れて剥がれてくるのを防止したほうが効果は高いです。

かつては、その目的でホイールステッカー(カッティングシートをサークルカッターで丸く抜いて、ホイールをカバーするようにタイヤ外側に貼り付ける)を貼っていた時期もありました。タミヤ青山GPなどRC・F1ブームが最高潮だった1992〜3年頃の話です。貼る時はデフ調整を済ませてから、中心部を抜いてない円盤状で貼り、貼った後にライターであぶるとフィルムが収縮して一段とサイドウォールの補強効果が高まる、といったノウハウもありました。もちろん使い捨てで、タイヤ外したりデフ調整で一度破ったら廃棄、です。

ただ、ライターの熱で収縮硬化したステッカーがクラッシュや接触で飛び散り、路面や他のクルマのタイヤに貼り付くことが問題となり、タミヤGPでは1994、5年頃に使用禁止になりました。他のカテゴリーの状況は把握していませんが、他車の走行の妨げになるとして禁止扱いが一般的ではないでしょうか。


<2>サイズ調整とギヤ比の問題

スポンジタイヤ特有の問題として、「タイヤ径」の設定とそれに伴うギヤ比の問題があります。

スポンジタイヤは、接着面まではすべて「タイヤ」ですから、タイヤ径の設定がゴムタイヤに比べてかなり柔軟です。 また、走行中の摩耗もゴムタイヤに比べてかなり激しく、場合によっては1パックで2〜3mm削れる場合もあります。

ですから、レースではこの摩耗を考慮したセッティングが必要になることがあります。タイヤの摩耗でギヤ比が 大きくなり過ぎてストレートが遅くなるとか、最低重量を割り込んで後車検で失格になる、なんて話もあるのです。 また、シャシー側の車高調整に制約がある場合には、タイヤ径を積極的に変えてロールセンターを変えることで、 かなり効果的にコーナリング特性を調整できます。シャシーを前傾にすればオーバーステア、逆に後ろ下がりにすれば アンダーステアになります。また、車高調整機能があってタイヤコンパウンドを変えられない場合には、 フロントタイヤ径を小さくすることで接地面積を減らしてアンダー、大きくしてオーバーステア方向に振る、という 手法もあります。こうしたタイヤ調整法は、1970年代から常識的に使われてきた非常に古典的なセッティング手法です。 知らなかった方は覚えておくといいと思います。

ところで、ギヤ比が無制限に設定できる前提だと、一般論としては、タイヤ径は小さいほうが望ましいことが多いです。 ホイール径が同じなら、タイヤ径が小さいほうが、車高や重心が低くできるのと同時に、軽量化にもなり、 タイヤショルダーのヨレも減って運動性がアップするからです。従って、JMRCAなどでは、スポンジの厚みが3〜5mmしか ないような「ペタペタ」のタイヤが主流になってきています。

ただ、タイヤ径を小さく(タイヤの厚みを薄く)すると、タイヤの変形によるサスペンション機能(の補完分)が低下するので、 メカニカルグリップ的には不利な方向に働くことを忘れてはいけません。 簡単に言えば、タイヤを薄くするのはタイヤ硬度を上げるのと同じ結果になります。 それでもJMRCAなどで極薄タイヤが流行るのは、グリップ剤でタイヤを自在に(程度問題ですが)柔らかくできるからです。 グリップ剤が禁止されているサーキットやイベントでは、むやみにタイヤを薄くするとグリップダウン、 なんてなことに陥る場合があるので要注意。タイヤ硬度やサスのバネレート調整などが必要です。

また、近年のタミヤGPのようなギヤ比固定レースの場合、タイヤ径の選択は逆になります。タイヤ径が大きいほうが小さい(高い) ギヤ比が取れるため、総じて有利です。タイヤがワンメイクであれば、グリップ的にも大径が有利になりますし。 要は新品タイヤに近い状態のほうが総じて有利、ということです。ゴムタイヤでも、 ギヤ比固定レースでタイヤが自由だと、径の大きいタイヤをよく使いますが、同じことです。

また、08年以降のタミヤGPでは、☆☆マークの刻印に削れが入ると失格(09年以降でしたか、 スポンジタイヤでは常識のショルダー部の整形削り(カド落とし)もNGになりましたね、 タミヤからタイヤセッター出てないから仕方ないか)ということになったので、 おのずとタイヤ径の下限が決まってきます。F104の場合は、タイヤの厚みがそもそも 薄いので大胆な削り込みはできませんし、シャシーの設計上、用意されているギヤのギヤ比も大きめ(低め)なので、事実上、 フォーミュラチューン指定ならピニオンは上限の29T以外、選択肢はないです(スパーは93T)。ROX3のような小さな コースならば25Tくらいまでピニオンを落とすケースもあり得ますが、基本は29Tでいいと思います。これは 540SH/540Jでも同様です。

ところで、DDシャシーに関連して、時に「指数」という言葉を耳にすることがあります。 これは、タイヤ径の変化による減速比の変化をギヤ比に反映するため、ギヤ比とタイヤ径の相関をマトリックスにした チャート表として表現されます。RCTでも、「シャシー研究室」トップページや各種DDシャシ−の紹介ページから リンクしている「DDカー用のギヤ比一覧表」に指数表を掲載しています。

Cカーシャシーのフロント車高調整機構の例 しかし、そんなややこしい事を考えなくても、話をタミヤのF1に絞る限り、話は極めて単純です。 04モジュールを使っている限り、「タイヤ径2mmにつきピニオン1枚相当」 と覚えておけばOKです。 実際、計算結果はコレとほぼ近似した値が得られます。なので、リヤタイヤが57mmから55mmに減ったら、 ピニオンを27Tから28Tに上げれば良いのです(例として)。タミグラでのF104のように、 タイヤ径60mmでピニオン29T(規定の上限)とメいっぱい上げてる場合には、指数もへったくれもなく、 ただタイヤを新品に交換して径を戻すしかありませんが・・・(苦笑)。


<3>コンパウンドと温度によるグリップレベルの変化

タイヤグリップは実車でも模型でもクルマの走行性能の7〜8割を支配する、極めて重要なファクターです。 どんなトップドライバーでも、タイヤをおろそかにしていては勝利はおぼつきません。逆に言うと、 レースで結果を残せる人というのは、常にタイヤにきめ細かく目を配っている人、と言えると思います。 DDカーの練習走行というのは、ほとんどタイヤテストに等しい、と個人的には思っているくらいです。

スポンジタイヤで注意したいのは、

  ・「柔らかいタイヤ=食う(グリップの良い)タイヤ」とは限らない
  ・夏用・冬用という使い分けは基本的にない

という点です。

もちろん、タイヤ硬度別にシリーズで発売されているタイヤもあるのですが、 じゃあ、硬度の高い(硬い)タイヤは食わないのか? というと、これが意外に食ったりします。 路面との相性次第なんです。その昔、AYKがRX-3000シリーズとともに出した「ハイグリップタイヤ」なるものを 通販で入手してみると、これがタミヤのスポンジタイヤよりよっぽどコチコチで、「??」と思ったのですが、 イザ走ってみると、タミヤタイヤがお話にならないくらいバリ食いで面食らったものです。 あの素材が何だったのか、いまだに分かりませんが・・・。今思うに、メラミンスポンジ (現在は、洗剤が要らない食器洗いスポンジとかとしてよく売られてますが、当時はそんなものは無く)だったのかも知れません。

タイヤ硬度計で硬さを測っても、実はあんまり意味がない 基本的には、同じコンパウンドならば、柔らかいほうが食うんですが、RC用のスポンジタイヤの 素材というのは、RC専用品ではなくて、単に産業用のスポンジシートから「コレは!」という素材を選んできて 型抜きしただけのケースが普通ですから、「硬度が違う」というのは、文字通りの「硬度(=発泡率)」だけではなくて、 原材料からして別モノであることも多いんですよね。だから、原料レベルからタイヤメーカーが管理している ゴムタイヤとは異なり、スポンジタイヤのグリップレベルを硬度で捉えようとするのは根本的に間違っています。 「使ってみなけりゃわからない」という実に保守的な心構えがないとまず間違いなく痛い目にあう世界なのです。
そもそも、「硬度」という尺度自体が極めて曖昧ですからね。統一された計測器で測られてない、相対的な尺度ですから。 同一タイヤメーカー内なら整合性取れてるハズですが、それすらも怪しいです。 スポンジシート供給元の品質表示を鵜呑みにしてるとしたら。

使用するタイヤ銘柄が「季節に関係なく同じ」というのも、 ソリッドゴムタイヤしかやってなかった人には面食らう点かも知れません。 スポンジタイヤのトレッド面にはトレッドパターンに相当するランダムな気泡がいっぱい スポンジは、ソリッドゴムに比べて熱容量が少ないので、温まりやすく、冷めやすい素材です。 もちろんタイヤウォーマーをかければそれなりに効くんですが、タイヤ温度に依存するヒステリシス摩擦力の問題よりも、 グリップ剤(タミグラでは禁止ですが)の効果とか、スポンジ表面の路面との「引っかかり」による 摩擦力のほうが、スポンジタイヤでははるかに影響力が大きいのです。 結果的に、スポンジタイヤにとって温度はグリップに影響する要素にはあまりなりません。 食うタイヤはどんな温度でも常に食いますし、逆もまた真です。「温度」がタイヤの銘柄別の グリップレベルの評価や摩耗レベルの序列を変えることは、まずありません。だから夏でも冬でも、 基本的には特定の路面にマッチするタイヤ銘柄は変わりません。

とはいえ、スポンジタイヤが温度によって硬度が変化する素材を使っている以上、温度変化による 絶対的な摩擦量の変化は当然あります。どんな温度でも、食うタイヤは食う、食わないものは食わない、というのは 変わらなくても、摩擦力の絶対量は、路面温度が低ければ下がります。特に、路面温度が10℃を割り込んでくると 急激に食わなくなり始め、5℃を割り込むと、どんなに食うタイヤでも、もうどう〜しようもなくなることが 多いです。なのでよっぽどの好き者でなければ、真冬に屋外でDDカーを走らせても面白くないと思います。 まぁそこまで寒いと雪が積もるでしょうけどね、普通は(笑)。でも東京だと真冬でも雪が積もらないので・・・。

そこまで低温にならなくても、スポンジの材質によっては、温度変化に対する感応度が高いモノがあります。 一番有名? なのはタミヤのノーマルスポンジです。F101〜103系(103L含む)やそれ以前のタミヤDD車、さらに F104の「Aコンパウンド(キット標準)」のフロントに採用されているコンパウンドですが、このスポンジ、 ゴム分が少ないのが特徴で、そのせいなんでしょうけど、とにかく路面が冷えるとツルツルになります。 目安としては、路面温度25℃前後です。それより下がるとグリップは極端に落ちます。逆に、路面温度が 35℃以上あれば、一般的なハイグリップタイヤと遜色ない結構なグリップを示します。なので、このことを知らずに 夏にキット買って遊び始めた人は、秋になると急にツルツルになって「れれれ?」となります。 春から始めた人も、調子が出始めたころにタイヤグリップも最高潮にちょうどなるのでゴキゲン→涼しくなって 奈落に転落、となるはずです。それまでに純正optなりサードパーティーのハイグリップタイヤを 入手していればいいんですが。

タミヤのノーマルスポンジは、タイヤセッターにかけると恐ろしいほどサクサク削れます。それはイイんですが、 ・・・ってことは摩耗も早いってコトで、実際、高グリップ路面だとNi-Cd2400パックで1回走ると簡単に3〜4mm削れて 帰ってきます(笑)。そう、走ってるうちにシャシーが路面に擦れて曲がらなくなったり、クルマが傾いて トリムがズレまくったりするわけです。走行中にストレートで毎回トリムチェック&修正しながら走るのはDDカーの 「お約束」とはいえ、ここまで極端に摩耗が早いと場合によっては1周しないうちにトリム修正が必要になるので不健康です。 セッティングもまるで安定しないし。 そういう理由でタミヤのノーマルスポンジはあくまで「飾り用&お試し用」と割り切り、 夏の間に楽しく使って早いところ終わらせちゃいましょう。「お楽しみ」はF101〜103系やCカーならoptのブチルタイヤで、 F104ならBコンパウンドで、ということで。ゴム分の多いタイヤのほうが、摩耗が遅いのでセッティングは安定しますし、 タイヤ管理もラクチンです。特にF104のリヤのBタイヤ(op.1168)は全然減らないので、定価は1400円とかなり高いですが 結構楽しめて、悪くはないです。

タミヤのスポンジタイヤでも、Cカーに採用されたタイヤコンパウンドはF1用とは違っていて、若干ゴム分の多いものでしたし、 F103アニバーサリーの前後タイヤやF104用キット同梱品のリヤ用でも新しいコンパウンドが採用されています。こういうタイヤは F1用ノーマルスポンジよりは温度変化への感応度が鈍いですが、グリップが特別高いわけではありません。 F1用ノーマルに比べればグリップはマシなので、春〜秋ならば許せるかな? というレベルです。

なお、本格的なレース走行におけるタイヤチョイスとしては、まずF104の場合、基本的には今はまだタミヤのA/Bしかないので、 フロントはBで固定、リヤにカーペットならA、アスファルトならBを選ぶしかないのが現状です。 フロントにAというチョイスはグリップレベルや摩耗レベルを考えると、あり得ないという感じです。

これに対して、F101〜103系&Cカーならば、リヤはZENの25度(スーパーソフト)もしくはカワダ・Lラバーがお勧めです。 コレはアスファルトでもカーペットでも共通です。グリップレベルは両者とも優劣つきませんので、入手しやすさで 決まると思います。率直なところ、他の銘柄はグリップレベルが一段落ちるので、特に理由がない限り使わないほうがいいです。 かつてはハイグリップで評価が高かったタミヤ・ブチルソフトも、06〜07年頃?に素材変更を受けて、 当初のブチルミディアム並みに硬くなり、グリップしなくなりました。08年に入ってコンパウンド記号が丸囲みされた 新ロットに切り替わってからは再び少し柔らかくなったようですが、☆☆マーク入りの最新ロットを試してみても、 昔のようなカーペット/アスファルトを問わない良好なグリップ感からは程遠い感じです。 ZENの25度があればとりあえず何の問題もないわけですから、素直にZEN25度を使うのが吉です。 一般に、クルマのコーナリング性能の限界はリヤグリップで決まりますが、DDカーでは加速性能にも影響しますので、 リヤに食わないタイヤを使ってロクなことはないのです。

次に、このリヤグリップをベースとしてフロント用を選んでバランスを作るわけですが、 モーターを540ないしフォーミュラチューン前提とすると、ややフロントグリップの高めのチョイスを選んだほうがいいので、 フロントにはタミヤ・ブチルソフトやZENの35度ミディアムがベストです。もしコレでマキマキになるようでしたら、 クルマの組み方やスロットルワークに問題がある可能性が高いです。モーターがGTチューンや23ターンならば、 ニュートラルブレーキが強くなるので、もう少しフロントグリップを落として、タミヤ・ブチルミディアムやZENのハイラバー、 TRGのソフトなどを使うといいです。

なお、F103のタミヤGP限定Tipsとして、カーペット走行の場合に特にお勧めなのは、F103の紹介ページでもご説明のとおり、 フロント、リヤとも「F103 15thアニバサリーキット」同梱品互換の「接着済みタイヤ」です。 spのタイヤのみバラ売り品でも同じことです。ただし、このアニバーサリーキット同梱 タイヤもゴム分が少なくて摩耗が早いコンパウンドなので、一般のサーキット走行にはあまりにもライフが短いので お勧めしません。グリップレベルはそこそこあるけど「最高」ではないですから。 Cカーのようにもともとアンダーステア傾向のシャシーに付けるとバランスが良くなる効能はあるんで、「使いかた次第」 なんですが、もともと値段も高いですから、不必要に使う理由もないですし。
なお、optの☆☆マーク入りブチルタイヤは、カーペットではむしろアニバーサリーキット同梱タイヤよりも リヤが食いませんのでダメですが、アスファルトならバランスが取れて良いかも知れません。あのタイヤでアスファルトでの チェックをしてないのであくまで推測ですが・・・。


<4>タイヤセッター

「ご飯に味噌汁」「カレーに福神漬」と同じくらい、スポンジタイヤに付き物なのが「タイヤセッター」。 (セッターというのは和製英語で、海外では「タイヤトゥルーアー」と呼ぶのが一般的なようです)
スポンジタイヤでは、新品タイヤの面取りをしたり、タイヤ径を調整したり、スポンジタイヤに必須の「カド落とし」をしたりするので、 持っていると非常に便利なアイテムです。08年のF103アニバーサリー発売以降くらいから、DD・F1ブームの再燃が 本格化して、イーグルなどから出ていたスポンジタイヤ用タイヤセッターは軒並み在庫切れしちゃっていますが、 最近のタイヤセッターは自動処理してくれるものやら、カッターの寿命が長いものやら、テーパーカット (タミヤGPではNGですがエンジンカーでは必須の、タイヤトレッド面を斜めに削る手法)ができちゃうものやら イロイロあって、しかも価格もこなれているのでイイですよね。

ちなみに筆者は、70〜80年代にはシャシー直付け状態でタイヤを削り(当時はギヤデフだったので問題なかった)、 社会人になってからはクロス製のセッターを買い、 愛用しています。買ったのは93年頃かな? 自動車スターター用だか卓上ボール盤用だかのモーターを転用したモノですが、 RC用の7.2Vバッテリーで運用できるのがウリで、仮設コースの多いタミグラで重宝しています。 重たいのがタマに傷で、もっと軽いのがあれば欲しいような・・・。一度買えば、ほぼ一生モノですから、 吟味して気に入ったものを買うといいと思いますよ〜!

なお、タイヤセッターには、ホイールを組み付けるための「ハブ」が必須ですので注意してください。 ハブは車種によって異なります。多くはタミヤホイールに合わせて作られていますので、アソシやカワダやHBの1/12シャシーに 使いたいなら、専用ハブを入手する必要があります。通常はタイヤセッターのメーカーがoptとして供給しています。

ただ、ことタミヤGPに関しては、昔ほどタイヤセッターの必要性はなくなっています。セッターを使わない前提で 車検が厳しくなっているからです。タイヤのカド落としすら禁止になってしまったくらいですし、バラ売りタイヤを組んで、 仮にホイールからタイヤがハミ出てしまっても、セッターで切り落としてしまうと「タイヤ幅を変えた (横をカットするとスポンジ面が出てくるので一目でバレる)」とNGになってしまいますから、 積極的にセッターを使うとかえって車検が危うくなるのが現状です。仮に今後、タミヤ純正セッターが出たとしても、 タイヤウォーマーのような扱いになって、タミグラでの使用は事実上禁止されるのではないかと個人的には感じています。 従って、スポンジタイヤをタミグラ限定で使う限りは、現状ではタイヤセッターは必要ないと言えます。


(おわり)



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