<はじめに:測定方法について> <測定方法の公開> 当研究室では、単に測定結果を公表するだけではなく、その結果に至った前提としての計測方法、さらには使用機材についても積極的に公開します。これは、RCTの理念である「情報の共有化」を高次元で実現するためには「計測結果の再現性」の確保が不可欠であり、再現性を確保するためには、計測結果を左右する主な条件を洗い出すとともに最適値をあらかじめ決定しておく必要があるためです。使用する機材についても、できる限り標準的ないし地方のユーザーでも供給が安定しており入手しやすい機材のなかから、性能面も十分に吟味したうえで選定しています。一度選んだら5年10年単位で使い続ける覚悟がなければ計測結果の連続性(比較可能性)を得るのが困難になりますから、機材の選定には必要以上に神経を遣いました。 RCTがウェブサイトをオープンしたのは1998年で、当研究室がオープンするまで、実に6年の歳月が流れています。こんなに時間がかかった理由のひとつは「最適な計測条件」がなかなか見切れなかったことにあります。でも、もう大丈夫。これから当研究室でアップしていく計測結果は、基本的にすべて、以下にご紹介する「RCT標準条件」にて計測していきます。 何しろ、RCレース用バッテリーの実使用条件に即した性能測定方法なんて、JISとはまったく無縁の領域です。現状をありていに言えば、「測定者ごとにバラバラな条件で、まったく互換性のないデータを気の向くままに取っている」わけです。誰かが条件を決めてくれればいいんですが、残念ながら、過去の電動RCの歴史において、このような取り組みは見られませんでした。確かにサンヨーなどセルメーカーは一定の測定基準をもってデータを公表しています。しかし、それは「研究所」という特殊な環境であり、条件が厳密すぎて一般家庭では再現困難ですし、測定条件についてもあいまいな点が多々あります。明らかになっているのは気温くらいです。放電中のバッテリーの表面温度の変化すら分かりません。そもそも、充電や計測に使っている機材がRCユーザーのそれとは全く異なっている(良くも悪くも)ハズで、それだけ考えても、カタログ通りの計測データ再現なんてユーザーレベルではあり得ない、と言えるでしょう。だからこそ、面倒臭いなぁと思いつつも、RCTが自ら進んで乗り出さざるを得なかったわけです。 「計測条件?そんなもんどうだっていいヨ、レースで速けりゃいいじゃんかー」確かにそのとおり。部屋にこもってデータ取りに精を出すのはバッテリーを損耗するだけで愚の骨頂・・・だったんです、確かにこれまでは。しかし、もはや時代は変わりました。いまや電動RCレースもすっかり「ID」の時代です。各種の正確なデータを計測できるデジタル機器、データロガーとPCによる実測データの検証とシミュレーション、といった技術が大幅に小型化・価格低下し、ポケットマネーで誰でも量産された機材を入手できる時代になりました。環境がそのように変わった以上、今までのような「大ざっぱな取り組み」のままでは「コンマ1秒に泣く」ケースが増えるであろうことは容易に想像できます。どういう条件を与えるとバッテリーがどのように振る舞うのか、客観的なデータを所持しているのと「なんとなく知っている」のとでは、まさに鉄砲と竹槍の差があります。もちろん、鉄砲も所有者が持ち腐れさせてしまっては「ただの鉄」ですが・・・。 しかし、そうはいっても誰もが計測器を取り揃えて時間をかけてデータ収集をするなんていうのは社会的にも損失が大きいですし、意味がありません。だからこそ、RCTが信頼に足るデータを取得し、RCユーザーの「共有財産」として提供する意味がある、と信じるわけです。自己満足で測るだけなら誰でもできます。しかし、「同条件で計測すれば世界中どこでもほぼ同じ結果が得られる保証つきのデータ」を提供するのは、ことバッテリーに関しては並大抵のことではないのです。そこんところに価値を見出して当研究室の成果を有意義にご活用いただければと思います。気が向くようでしたら「ざぶとん1枚」の代わりに「RCTバザー」でショッピングでもしてやってくださいな(バザーの収益金はすべてRCTのコンテンツ制作・運営費に充当されます)。 <RCT標準バッテリー計測条件(2007年12月21日現在)> RCTが独自に策定した標準的な電動RCカーレース用バッテリーの計測条件と指定機材は以下のとおりです。 ハイエンドユーザーを中心に、既に同一機材をお持ちの方も多いハズですが、測定方法だけ揃えていただければ、かなり互換性の高いデータが取得できるはずです。
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