posted on Apr 2, 2003
updated on Augr 26, 2014
タミヤRC製品・即買いカタログ
<モバイル版> <PC版>
powered by Amazon


ダイナストーム2WD(その2)





実は、キット素組みでは、このセンター部分の樹脂パーツはバッテリーをすっぽり包むようなバスタブ状になっているんですが、ハッキリ言ってネジれ方向の強度にはまったく貢献していません。ただ、前後方向には挫屈強度のアップに寄与しているので、完全に取り去るわけにもいきません。取り付け用の支柱と必要最低限のリブだけ残してリューターで大胆にカットしちゃいました。コレで5g以上は軽量化したはずです。
リューターで加工した部分をクローズアップ
リヤバルクヘッド周辺部のクローズアップ。
実は、バッテリー後端の上部には5g程度あるアルミ製の小さな「メカデッキ」を取り付けるよう指示されているのですが、これはタミヤ純正RCメカ、つまりCPRユニットの設置スペースを確保するためのものであり、一般的なRCメカの搭載では不要なので、軽量化を考え、取り付けませんでした。その代わり、受信機とアンプはバッテリーの左右に振り分けて搭載しています。CPRユニットはデカいのでこうした搭載方法ができないのです。
振り分け搭載、とはいっても、RCメカはできるだけセンターに寄せて低重心・マス集中を心がけるのはオンロードカーとまったく同じです。2WDバギーは性能差がつきにくいので、メカ積みの細かいところまで気を配ってこそはじめて高性能が得られます。・・・と言ってもそんなにカツカツのマシンを組んでるわけじゃないですけどね。あくまで「気構え」ということで。

搭載メカは、別にレースに出るわけでもなし、オフロードでドロドロになることを覚悟・・・ということで、あえて古い型落ち品を採用。受信機は見てのとおり、フタバFP-R113Fです。現行の133Fより感度が悪いのでアンテナが長いです。とはいえ、97、8年頃まで10年近くの長期にわたって販売された超ロングセラーであり、感度や信頼性は当時の水準としては圧倒的でした。
アンプはキーエンスの初代A-01を使用。受信機ともどもマッドブル→バハキングとたらい回し(笑)。懐かしのパンチアップ用のキャパシタ「パンチ君(by ストレート)」も付けたまま。

復刻キットにはスーパーストック系のストック缶にダブル14ターンを入れた特製モーターが付属していますが、作例ではもったいないのでとりあえず23Tストックのエコー・アルティメイトSを搭載してみました。実は11ターンのヨコモ・プロストックも用意していたのですが、ギヤ比を吟味した結果、23Tで十分なスピードが出たのでこれで満足しています。アンプに十分な余裕があるので、14ターンでも11ターンでも全然メカ的には問題ないんですが、乾燥したフラットダートでは23Tですらスリッパークラッチをいくら調整しても結構ホイールスピンしてなかなかスリリングなドライブを強いられる状況なので、これ以上ハイパワーなモーターを積んでも意味なさそうです。
モーター回りの配線含め、メカ積みの具合がよく分かるカットです。

モーターコードはもっと短くできますが、どうせまたこのアンプは他のキットにドサ回りに向かうでしょう(笑)から、あえて長いままにしてあります。
通常のタミヤキットと異なり、このキットには「RCメカスイッチの取り付け場所」が特に設定されていません。通常、バスタブシャシーなどではそのための専用穴があるわけですが、ないんです。

そこで、利便性を考えてリヤダンパーステーにアンプのスイッチを貼り付けています。 ここならドロもかぶりにくいし、すぐ指もとどきますしね。
ギヤボックス回り。
2WDモデル、レースモデルらしく、非常にコンパクトなデザインで好印象です。
リヤダンパーは、基本的にフロントと同じですが、スプリングはかなり固さが違います。リヤに荷重が集中する2WDモデルらしく、リヤは固いバネになっています。説明図はタミヤらしく、細かいパーツの違いまで良く描写されていて、良く見ればパーツの使い分けもすべて判別つくようになっていますから、前後のバネの違いも取り説を見れば一目瞭然なんですが、実際に組み立てる際には最も間違いやすい箇所かも知れません。
リヤのアップライトも純レースマシンならではのコンパクトな設計でムダがありません。
ただ、タミヤのキットに限りませんが、アップライトに対するアッパーアームの取り付け方が気に入りません。 「アップライトの中心線上にアッパーアームのピボットを持って来る」のがエンジニアリング的には正しいあり方だからです。 そのあたり、将来のニューモデルで「進化」してほしいなあ、と願っています。開発陣はいつ気がつくんだろ・・・。 TRF414M以降、フロントについてはようやくキングピンからアッパーアームを支持するようになったけど、 リヤの処理についてはまだまだ完成度低いなあ、と。

(・・・と書いていたら、HPIがPro4で実現してくれました。やはり考える人は考えているようですね。タミヤでも TB-Evo4からようやく実現。めでたし!)
六角ハブはピン止めタイプではなく、サーボの出力軸と同様のスプライン(ギザギザ)で位置決めするタイプ。
意外にホイールにくっついてしまうトラブルがあり、メンテナンス性には問題アリです。スプライン部にゴム系接着剤塗ればいいだけの話ですけどね(笑)。

六角ハブの厚みも不十分で、そのままだとアクスルのネジ頭部がロックナットからかなりハミ出てしまいます。筆者は1.5mm程度のスペーサーを六角ハブとホイールの間に挟んでトレッドを拡大し、ネジ頭の出っ張りを解消しました。どうでもいいけどやっぱ気になるので(苦笑)。
駆動はユニバーサルシャフトを介しています。このシャフトに使われている素材や構造は、4WDバギーやツーリングカーでの実績も豊富で、耐久性に優れています。ほとんど一生モノです。
フロントと同様、高い強度と軽量さを兼ね備え、タミヤらしからぬエルゴノミックなデザインが特徴のサスアームが美しいです。

シャフトの左端に見えるのがスパーギヤ&MDC(マルチディスククラッチ)ユニットです。
そのMDCですが、レース中にも簡単に効きを調節できるよう、調整バネの部分がOリングの防塵機構つきのダストカバーで開閉できるようになっています。こりゃスゴいわ。
カバーを外すと、このようになっています。ただしデフが滑ってるとてんで調整できません(笑)。
あ、そういえば、ダイナストームのデフはTG-01/TB-01/TRF414/TA-04用デフの原型をなす構造になっていて、マンタレイ系のデフから大幅に進化しています。TB系/TA-04用デフとの違いは加圧用のバネがコイルスプリングでなく皿バネだった、という点ですが、その枚数はマンタレイ系の3倍くらいあって、圧倒的に調整幅が広がり、安定性も増しました。しかも、TB系/TA-04と同様、左右のジョイントカップを連結するキャップスクリューで効きを調節できるので、アッパーアームのネジ2本を外してユニバをどけるだけで素早く調整が行えます。非常に実戦的でメンテもラクです。こんなデフが1992年にもう存在してたなんて、オンロード中心の当時のユーザーにはほとんど知られてなかったハズ。もっと早くツーリングカーに応用してたらタミヤの評価も上がってただろうに・・・(惜)。
クローズアップするとこんな感じです。
MDCを収納するアルミダイキャストのハウジングは思いのほか軽く、7枚ディスクという「複雑な作りにしては」ユニットは軽量です。とはいっても手で持ってみると15gはありそうで、こんな「重り」をブンブン回してたら、レースでは思いっきりレスポンスの悪さに不満噴出しそうです。本気でレースに使うなら、もっとシンプルにすべきです。どうせデフのほうがトルク容量が少なくて先に滑っちゃうんだから、クラッチなんて1枚でいいんですよ!(ダイナストームのボールデフはすごく小さいです) 7枚にしたのは、一般ユーザー向けに耐久性を考慮した結果なのかな。こういうところに大メーカーゆえの悩みというか、中途ハンパさを感じてしまいます。惜しいなあ。

そうそう、このMDCユニットのせいで、スパーギヤがキット純正しか使えないんです!コレはマシンのメンテやセッティングにとって 大問題です。専用スパーがなくなった瞬間に走行不能になっちまいますし、ギヤ比の選択の幅が狭くなります。 「奥の手」としては、スパーが付くシャフトをモーターのコミュ研磨機で5mm径に削り加工すれば、
TRF414用のスパーホルダーが付くので、そうするとMDCが死にますが汎用スパーは使えるようになります。後日、実際に作ってみましたが シャフト削りが実に大変だったのであまり薦められませんが・・・。

なお、スパーギヤは、モーターマウントの取り付けビス穴を広げて、04モジュールの36Tアルミピニオンを装着しています。コレでギヤ比は7.00くらいになっていますが、乾燥したフラットダートでは23Tストックでホイールスピンやドリフトをするほどのパワーが出ます。なかなかイケてますよ。



ウイングですが、これ、実は表裏両面を塗ってしまいました。「翼端板」の処理で迷ってしまったのです(笑)。裏塗りしたつもりが、翼端板だけ表塗りになっちまったりして・・・。
ウイングのマウント方法は、タミヤらしくありません(笑)。
まぁ同時期のキットであるF101/102でも採用されてた方法ですが。
アルミ製のブラケットでダンパーステーに取り付けますが、実はこのダンパーステー側のブラケットの固定が微妙で、ちょっとネジるとウイングがすぐ斜めになってしまいます。固定用ネジを締め上げる前に、ウイングが斜めになってないか、よーく見ておく必要がありますのでオーナー諸氏は注意。
いかがです? イチャモンもいろいろ付けましたが、結構良さそうなクルマでしょ??
写真撮影後、さっそく走らせてみましたが、キット素組みだと切り始めの初期反応が鈍いようです。プッシュアンダーも目立ちます。でも、入門者を意識した一般的なタミヤキットよりはずっと素直(というかレーシー)なハンドリングです。
TRFサトシ選手が、RCワールド誌の「セッティングアドバイス」で回頭性アップのためにフロントバンパー部にウエイト積んでいた事情がよく分かりました。カツカツレースにダイナストームを使うなら必須でしょう。筆者は、その前に、とりあえずリヤアップライトの位置調整用スペーサーを動かし、アップライトを後ろにズラして相対的に重心を前寄りにセットしてみましたが、わずか2mm程度のアクスル位置変更では目立った効果はなかったようです。

とはいえ、とりあえずサンデードライブ風にスポーツ走行を楽しむ程度ならキットのままで十分。何よりも、ツーリングシャシー系のラリーカーにはない、しなやかな足回りで、大きなギャップもモノともせず、まったりと、それでいて軽快に、しかも非常に静かにオフロードを疾走するのは2WDオフローダーならでは。ロードクリアランスも大きく、これから草が生えてくるような芝生の公園でも全然問題なく走れそうです。ん〜コリャ一家に一台、あっていいかも!?(笑)




このページは、タミヤRCカー専門サイト「RC_Car_Trend」が提供しています