(posted on Aug 17, 2005)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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デザートゲイター
チューニングTips





<1>オンロード向け:重量配分の変更

タミヤGPでは、現状、オフロードのイベントは静岡タミヤサーキットと横浜こどもの国しかありません。 それ以外ではすべてバギーと言っても走るのは「オンロード」です。そうなると、考え方としてはツーリングカーに通じる配慮が 必要になってきます。その代表的なポイントが「車高」と「重心」です。ここではまず、ステアリング特性に決定的な影響を及ぼす 「重心」について考えてみました。

DT-02シャシーは、キット標準でも適度な重量配分を実現していますが、やはり、オフロードと入門者の操縦を前提とした キット標準のセッティングでオンロードを走ると、強いアンダーステアに見舞われてしまいます。 アスファルト路面でリヤのスパイクが長ければ、スパイクがヨレてオーバーステア気味になることはありますが、それは邪道ですし、 リヤタイヤが適切なら必ずアンダーが出ます。
オンロードでツーリングカー並みのハンドリングが欲しければ、重量配分もそれ相応にしたいものです。 そこで、作例ではバスタブのリブをニッパーでカットし、サーボにぴったりバッテリーが接するまで搭載位置を前進(後ろ側の空間はスポンジで埋め合わせ)。 合わせてアンプと受信機の位置も前よりに移動してみました。アンプの配線が伸びて電気抵抗ではわずかに不利になりますが、 ハンドリング改善によるラップタイム向上のほうがはるかに影響が大きいので、目をつぶっています。


<2>シャシーの前傾

次は、サスペンションジオメトリ(アライメント)についての検討です。オンロードということで、タイヤグリップが高い
ことを前提に、 クイックな初期反応と前後タイヤの均等なグリップが求められるわけです。そこでまず、シャシーを前傾姿勢にし、 リヤサスのストロークを稼ぎつつ、重心下げとキャスター/スキッド角の減少、さらにはロール軸の前傾によるステア特性の改善を 狙いました。これはレース後に導入したモディファイなので「結果」は出ていませんが、晴海オートウェーブ・カーペット路面での テスト走行では好感触を得ています。

いずれも、ハンドリングの改善に寄与する要因であり、「全部でワンセット」の変更なので、切り分けて影響を判断するのは難しいんですが、 さすがにこれだけ前傾させると、キャスター角の変化はかなりのものがあります。TA-04のノーマルCハブ(10度)とレーシングCハブ(4度) の差みたいなものです。


<3>アップライト

アップライトは、前ページでも紹介したとおり、SFGのTipsで紹介した改造を放棄し、ノーマルに戻しています。ステアリング切り返しの応答スピードや舵角の面では不利に なりますが、アップライトがレース中に破損しても再現性の高い修復が容易ですし、何よりも、先の05年7月のタミヤGP@ROX3で 上位選手の誰一人としてアップライトに手を付けている人がいなかったようなので、「そこまで必要ないか」と判断しました。



<4>DF-02にはトーアウトを
フロントのトー角設定については、トーアウト気味に設定したほうが総じて好結果を得られます。ただし程度問題で、ヤリ過ぎは いけません。また好みの問題もあります。筆者もこの部分についてはまだまだ模索中です。

写真では控えめなトーアウトの例を示しました。レース現場ではもっと極端なトーアウトをつけて好走していた選手もいました。 トーアウトというと、一般的には「初期反応が上がる=後半曲がりが悪化」という話ですが、DT-02ではそういう「教科書通りの 理屈」は通用しません。リンケージとサスペンションジオメトリの関係で「バンプステア」が生じるからです。 つまり、シャシーがロールしてアウト側のサスアームがスイングすると、タイヤがより多く内側に切れ込む(バンプイン)ので、 ある程度トーアウトを付けておかないと、コーナリング時に本来欲しいアッカーマンが得られなくなってしまうのです。
実際にやってみましょう。
左の写真は、シャシーのロールがない状態でステアしたときの左右タイヤの切れ角です。トレッドが広いので内輪差が大きく、 アッカーマンはツーリングカーより大きめに欲しいところなので、教科書どおりに行くと、この程度ではアッカーマンが足りないくらいですが、 レース走行ではコーナリング中のタイヤは常に滑っている状態なので、マァ、これくらいの設定でいいのかなという感じです。
ところが実際にはコーナリング時にはロールしますから、外側のタイヤがバンプインによって余計に切れてしまいます。 そうすると、せっかくのアッカーマンが消えてしまうばかりか、場合によっては逆アッカーマンになってしまう場合すらあるわけです。

写真では極端な例を見せるため、片側サスをほぼフルバンプさせています。通常はここまでバンプインすることはないわけですが、 バンプインがアッカーマンに影響することはお分かりいただけると思います。これは当然、Rのキツいコーナーでのターンイン時の 舵角にも影響するわけです。つまり、バンプインを積極的に狙うなら、トーアウトを強めに設定しておいても特に問題はない、 ということです。レースで大きなトーアウトを付けて良く走っていた選手の例では、フロントにDT-02用optの赤(ソフト)バネを使用していました。 これがベストかどうかは別問題としても、「強いトーアウトとソフトバネ」という組み合わせ自体は、理にかなっているわけです。
<5>optバネの選択

そのバネなんですが、DT-02用のoptとしては、op.832 DT-02スプリングセット(53832)(定価1100円)というのが出ています。 コレが意外によく吟味されている優れモノで超お薦めの一品です。路面にもよりますが、カーペットなどのハイグリップ路面なら 90点くらいは付けられそうなバランスが得られます。ポイントはフロントに赤(ソフト)、リヤに青(ハード)を使う、という点です。 騙されたと思って素直に使ってみてください。劇的に走りが変わりますよ!!
オンロードなら、普通はバネだけで十分に満足なセッティングが可能ですが、オフロードでは、スタビがあると一層キメ細かい チューニングができるかも知れません。想定されるケースとしては、低グリップ路面でトラクションを稼ぎたくて リヤのバネを柔らかくした際に、コーナリング時にはリヤの踏ん張りを利かせてフロントタイヤをしっかりグリップさせたい、 というようなケースです。ただし中途半端に使うとセッティングが迷宮入りする原因になりますので「ご利用は計画的に」と いうことで。筆者は基本的に使いませんけど・・・。

op.829 DT-02スタビライザーセット(53829)(定価1300円)として販売されていますのでとりあえず持っておくといいかも。 余裕がなければ不要です。
さてそれでは具体的な実例です。
ここでは浅草・ROX3での実走結果と、同コースの仮想テストに最適な晴海・東京レジャーランドでのテストランを踏まえて カーペット路面でのセッティング例を示します。

まずリヤです。リヤグリップあってこそのコーナリングですから。2駆バギーの場合、圧倒的にリヤ荷重で、しかも 加速時に一段とリヤに加重が移動するようオーバーハングにモーターを積んでいるので、「これでもかー」というくらいに リヤのバネを固めないと、アクセルオンで簡単にフロントが浮いて綺麗にロールしません。結果、フロントグリップが抜けて アンダーステアが出てしまいます。そこで、カーペット路面のハイグリップに対応してバネはDF-02用optのハードを使います。
「え? DT-02用じゃないの??」と思いましたか?
そうなんです。DT-02用だとカーペットではまだ不足でもっと硬いバネが必要でした。 単にバネを強くするだけならアウタースペーサーでプリロード、という手もあるんですが、むやみにアウタースペーサーを追加して リバウンドストロークがなくなってしまうと、グリップダウンの原因になってしまいます。「バネそのものを硬くする」必要があるわけです。 ダート路面ならキット標準の、ないしDT-02用の赤なんですが。グリップが上がると横Gも大きくなるので、 硬いバネが必要になる、というわけです。このあたりはオンロードカーとまったく同じ理屈です。
次にフロントですが、ダンパーオイル・ピストンはSFGのときのまま、2穴ピストン+400番オイルですが、 ダンパーエンドは長いタイプに戻し、さらに下側の取り付けピボットを外側に変更して車高とストロークを調整しています。 重要なのはバネで、これまでの説明より一歩踏み込んだ形で「DT-02用optの青」を使っています。これはリヤにDF-02用を使うことで ここまでバネを上げられるようになった、ということです。もちろん初期反応が良すぎるようならキット標準ないしDT-02optの赤に 落とせばアンダーを得られます。曲がらなくなるだけですけど・・・。

また、バネを固めるのはビッグジャンプへの対策、という側面もあります。車高を下げるためダンパーストロークが短めなので、 バネが柔らかすぎると着地のショックでシャシーを壊してしまう可能性があるので。
<6>タイヤ

先ほども触れたとおり、リヤタイヤはピンがヨレるのを嫌ってSFGに同梱のop.59「スタッドスパイクタイヤ(ワイド)」 (700円)を使用しています。新品ではなく、ピンが磨り減って短くなったものを使うのがポイントです。 写真よりもっと短いほうがいいくらいですが、走行中の磨耗が早いので、 最初から詰めてしまうとすぐ無くなってしまいます。

ちなみにタミヤGPでは意図的なピンカットは禁止です。つまり、 「ピンの数を減らす」といった「自然には起こり得ない」「見たらすぐ分かる」カットはNGです。裏返せば、自然磨耗で当然に起こる 「全体的にピンの長さが減る」というのはカットしても判断つきませんから、特にとやかく言われません。が、一応、事前に走行で ちゃんと摩滅させておいたほうが「納得度」は高いでしょうからお好みで。
<7>モーターブラシ脱落に注意

さて次に、テーブルトップ型の新しいビッグジャンプ台を使った05年7月のバギーチャレンジ@ROX3で頻発した 「モーターブラシの脱落」について解説しておきます。
GTチューンのようなブラシ交換式モーターの場合、着地のショックでモーターブラシがバネを押し返して飛び出してしまうんです。 そのような状態になったモーターは、当然に停止してしまいます。RCメカは生きているのにジャンプの後、駆動もブレーキもなくなったら 「ブラシ」が犯人です。

ただ、このトラブルが出るのはブラシ位置が下を向いてしまう19Tピニオンの時だけです。17Tの場合は、写真のとおり、ブラシ位置がやや 寝るので、大丈夫です。また、着地のショックが特に大きいオンロードで発生する話で、オフロードでは若干ショックが緩らぐので、さほど 発生しないでしょう。
そこで対策としては「キット標準の17Tピニオンを使う」というのが最も簡単です。そもそも19Tだと加速がダルく、 ジャンプが難しくなるので、20m以上のストレートがあるコースでなければお薦めではありません。

なお上の写真に写っていたブラシのストラップはタミヤGPの「車検合格証」で、特に機能はありませんので念のため。
<8>モーターヒートシンク

ハードな走行はモーターの加熱も招きます。op.831 DT-02アルミモーターヒートシンク(53831)(定価1400円)が出ていますのでしっかり 対策しておきたいものです。特にDT-02はモーターマウント周辺が樹脂製なので、夏場に大容量バッテリーとハイパワーモーターを使うと 取り付けネジ周辺が溶けてしまう恐れがあります。

ただし、ちょっとマヌケな話ですが、このフィン状のヒートシンクは事実上「540缶専用」となっています。 GTチューンや23Tストック、モディファイドモーターなどの場合、モーターカンがギヤケース内に隠れてしまい、そのままでは 装着できない状態です。もちろんギヤケースをカットすればいいんですが・・・。
というわけで作例では、同梱のモータープレートを装着するだけでお茶を濁しています。このプレートを装着すると、 モーター位置が最適化される効果もありますのでお薦めです。もちろんモーターマウント周辺の温度分布が平準化されて部分的な温度上昇が 避けられ、モーターマウント溶融のリスクも下がります。

<8>ギヤボックス破損に注意

ジャンプ後の着地でモーターブラシが飛び出すほどのハードな衝撃を受けた場合、「当たり所」が悪いとギヤボックスのサスシャフト支持部が ポッキリと折れてしまうことがあるそうです。SFGの透明タイプのほうが材質的に弱いので、強度的にはデザートゲイター用の黒いタイプ のほうが無難です。幸い、筆者はまだ壊していないので、壊れるまでは透明タイプで通そうと思ってますけど。

また、筆者は未確認ですが、SFGの樹脂製ドライブシャフトのほうがジャンプの衝撃で壊れにくい(曲がらない)、というレポートが BBSのほうに上がっていましたので念のため。
<9>クリスタル破損にも注意

このほか、ハードジャンプ時の衝撃対策としては、RCメカへの配慮も必要になってきます。SFGの作例で、「砂対策」として受信機を 立てて搭載する例を示しましたが、耐衝撃性の点では不利です。通常のカー用受信機では、クリスタルが路面に対して寝そべる形で 搭載されることになるからです。クリスタルの水晶板はコネクター側から片持ちで支持される構造なので、クリスタルが寝かされている 状態で上下方向に強い衝撃が加わると、内部で激しく振動して割れてしまうわけです。今回のバギーチャレンジでは 筆者自身、この問題を身を持って体験しました。ビッグジャンプで腹打ち着地後、RCメカを含めて「全機能停止」し、レース続行が 不可能になりました。クリスタルは電子部品の中でも特に衝撃に弱いので、もっと注意すべきでした。対策としては、両面テープを 何重かに重ねて「フカフカ」にしてやると同時に、クリスタルが垂直方向に立つように受信機を設置することに尽きます。

<10>トランスポンダー搭載位置

オンロードの場合、重心位置を前寄りにしたいこと、ボディサイズの関係でトランスポンダ搭載スペースに制約があること、などから、 事実上、この場所以外にあまり「候補地」は見当たりません。フロントウインドシールド手前の部分です。

路面がオフロードで、重心位置に不満がなければ、サイドポンツーンに装着という選択もあり得ます。





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