6年ぶりのニューモデル発売だけに、キットの内容にはそれなりの改良が加わり、
定価はM-03Mミニクーパーに比べると1200円アップしていますが、フルベア仕様に加え、
従来はカスタマーサービスから定価で取り寄せるしかなかったBb共通の黒シャシー(素材強度が高い)
が標準採用されたこともあり、お買い得感はかなり増しています。 (キット標準タイヤは60Dラジアルですが、作例写真ではファイバーモールドAを装着しています。悪しからず) |
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「スイフト」の注目ポイントは何といってもこの sp.1238「M-03M F部品」。 ホイールベースをM-03標準の210mmからスイフト用の225mm(ちょうどM-03Lの240mmとの中間なので「M」)に延長するための センターシャシーと前後の新型アップライト、さらにフロントアップライトに対応する専用Cハブを 1セットにしたものです。このパーツとsp.1239として新規採用された1050ベアリング8個と TA-04/05用(共通)キングピンを用意するだけで、 既存のM-03系シャシーから簡単にコンバートできてしまいます。・・・とはいえ、 既存のMシャシーオーナーが競って買い求めているので、目下かなり入手困難です。 筆者は仕方がないのでカスタマーから定価で取り寄せましたが、ボディも 入手困難なことが分かり、結局、後でキット丸ごと購入し直すハメに(苦笑)。 スペアパーツ揃えること考えたら、実は量販店でキット丸ごと買ったほうがお買い得なんですよね。 | |
新型アップライトは、確かに軽い<従来比>ということは事実なんですが、 そんなに言うほど軽いか?・・・というと、どうだかな〜、という感じではあります。 もともと素材がポリカですからね。特に重量が気になるパーツではありませんでした。 確かにベアリングサイズも1150→1050に小さくなっているので、1輪分で1gくらい、4輪合わせて4gくらい軽くなるのでしょうか。 ビミョ〜ですよねぇ・・・。 むしろ強度面で不安が増すことのほうがレースでは問題です。 ガシャガシャとぶつかり合うのがミニクラスのお約束みたいなもんなのですから、 ハイエンドのツーリングレースみたいに「クラッシュ即リタイヤ覚悟」というノリのパーツはどうだかなと。 (そこまで極端にヤワいわけでもないでしょうが、気持ちとして)。 | |
クラッシュが心配ならセンターシャシーのみ交換もアリです。お手軽ですしね。
実はこの作例も前に紹介しているM-03にF部品のセンターシャシーを追加しただけ。 逆に、フロントアップライトを強化したいなら、アルミ合金製の (OP-523 アルミフロントアップライト(M03/M04用) )に交換しましょう。ただし、スイフト標準の軽量アップライト用Cハブには適合しないので、スイフトのキット買って アルミアップライト付けたい人は、逆に従来のM-03用(=TL-01用)Cハブの入手が必要になりますので注意。 強度的な不安があるとはいえ、ウデに覚えのあるドライバーなら軽量アップライトのメリットは確かにあります。 上写真のとおり、新型のフロントアップライト(右側)はピロボール位置が2箇所に増えています。 内側のピロ位置を選べば、サーボセーバーにsp.1000のハイトルクセーバーを選んでも舵角不足にならないので、 サーボ搭載位置をメインシャシー上面に両面テープ止めできるまで下げることができ、ロールモーメントを一段と減らせます。 |
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このほか、現時点ではタミヤGPでは禁止ですが、アッパーアーム側のキングピンはTA-04/05共通ということで
ピロボールタイプに交換できるようになりましたから、アッパーアームのロングスパン化も可能になっています。
まぁこのへんは「自由研究」ということで・・・。 新型リヤアップライト(右側)はトーイン2度を標準化してoptのトーインリヤアップライトの購入を不要としました。 ロワサスアームの組み付け位置が若干上寄りっぽく見えますが、写真の撮り方の問題だったようで、 実際に組み付けてみると、車高やアライメントは特に変わらないようです。アッパーアームが樹脂製の固定長なんだし、当たり前か・・・。 |
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最近のタミヤキットの流れを汲み、新型アップライトにはロワサスピンのセンター部分にイモネジを追加 できる穴が設けられています。これを利用すればサスピンの脱落防止とガタ減らしが狙えるはずです。 もっとも、全体的にサスがガタガタなMシャシーでこの部分だけカツカツする意味はないように思いますが・・・。 まぁ、穴がないよりはあったほうがいいと思います(やりたい人はタミグラレギュに則って堂々とできるから)、という感じで。 | |
あ〜そうだもうひとつ、このキットで「発見」したのは、タミヤキット初登場の「亜鉛メッキ缶仕様の540SHモーター」。 最初、てっきりXB用のジョンソンかと思っちゃいましたが、しっかり「マブチ540SH」と打刻されてました。 計測はまだやっていませんが、 性能的には従来の540SHと変わらないはずです。単にカンの仕様をグレードダウンしただけで。ベアリング同梱の代償なのでしょうが、 ココまで原価低減にコダわるとは、なかなかタミヤさんもやりますね〜。 いいぞ〜その調子でお買い得モデルをどんどん出してくださいネ〜!! | |
・・・というわけでM-03Mの内容紹介はこのくらいにして、今回はいきなり「実戦編」に突入します。
実際の走行に即して説明したほうが役立つ内容が多いでしょうし、M-03系シャシーの通りいっぺんの
概要紹介なら、いくらでも探せばあるでしょうからね。 今回の作例は、2006年9月24日に浅草・ROX3で開催されたタミヤGP全日本選手権・東京大会への参加を前提に チューニングしたものです。決勝で3位フィニッシュした状態のまま写真撮影に持ち込んでいます。ちなみに、当日の気温は 25〜29度、湿度65%前後、路面温度22〜25度、という条件でした。スイフトチャレンジクラスは64名が出走。うち10名が タミヤ世界戦代表経験者で、まったりとした中にも予選通過を巡ってはコンマ数秒の熾烈な争いが予想されました。ちなみに、筆者のMシャシーでのタミグラ出走は実に10年ぶり! |
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従来、東京でのタミヤ全日本は10月の終わり頃に開催されていました。
06年は例年より1ヶ月半程度繰り上がった格好で、路面温度も5度程度高くなると予想していました。この状況では、
いくらラジアル系が「溝」でグリップするとはいっても、コンパウンドの関係でファイバーモールドAのほうがグリップするだろうと
予想し、今回は決め打ちでAだけを2セットのみ持ち込んでいました。ラジアル系は溝が磨耗するとグリップが落ちるので、
頻繁に新品を投入する必要があることもイヤでしたし。 ところが、この決断は大失敗! 実際には、ラジアル系のMグリップ/Sグリップほどグリップを得られず、特に予選では苦しい展開を強いられました。 原因は「タイヤ温度」。予想より温まりが悪かったのです。 走りはじめの1コーナーは四輪ドリフト状態(苦笑)。FFなので、「気合」でアクセル開け続けてればスピンはしないんですが、 リヤがグリップしないと絶対的なコーナリング速度が遅く、タイムが上がりません。 |
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タイヤ温度が上がらなかった理由は、「車重の差」と思われます。ツーリングカーより200〜300gも軽いのに、
タイヤ幅は同じで面圧が上がらなかったと。モールドインナーがあればいいんですが、
60Dタイヤのインナーはスポンジタイプしかないので、
バネを固めてもタイヤ面圧が上がりにくく、単に上滑りして縁石にも弱くなるだけ。 仕方がないので、タイヤウォーマーの電圧を上げて予熱を強化し、予選ヒートのスタート前や序盤には積極的に車を振り回して リヤタイヤを暖め、3周目あたりから1コーナーでの挙動が落ち着いたのを見計らってフルアタック。 もらい事故を避けながら、予選は何とか7位に滑りこむことができました。2分走行の予選結果はトップから5秒遅れ。 この程度なら、ワンミスあればひっくり返ってしまう差です。結構な差であることは確かですが、 上位に波乱があればトップを狙えるチャンスはありそう・・・。 |
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そこで、「もう一息」の隠しダマ(でもないですけど)として繰り出したのが、
「パーティングラインの残っているタイヤ」の投入。要するに(ほぼ)新品のタイヤです。 過去のカーペット走行での経験上、パーティングラインは、カーペットに引っ掛かる関係で横方向のグリップを 補強してくれます。ダンパーセッティングをいじらずに、フロントに使えばより曲がる方向に、リヤに使えば 安定感が増す方向に仕上がります。アスファルト等ではあまり効果が分かりませんが、カーペットでは テキメンです。 しかし、パーティングラインには落とし穴があります。磨耗が速いので走行中にコンディションが目まぐるしく変わるのです。 ツーリングカーの場合は、2分の予選中にパーティングラインの磨耗を体感できるほどです。取り扱いの難しさと 毎回新品を投入するコストがバカバカしいので、通常はやる人はあまりいません。 |
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しかしM-03のリヤに使う場合は、荷重が極めて小さいため磨耗も少なく、同じタイヤで数パックはイケます。
パーティングライン付のリヤタイヤに交換し、さらにタイヤウォーマーも高めの電圧で時間をかけて熱を入れて
おいたことが奏効したのか、決勝では予選よりも多少ですが安定したリヤグリップをスタート直後から得ることができ、
ビデオを見返すと、レース終盤の3〜4周はわずかながらトップを上回るラップペースを刻めていたようです。 結果は、トップと3.625秒差の3位でした。2位とは0.706秒差でしたから惜しかったです。スプリントレースだから 仕方ないですが、あと10周、レース時間にして8〜10分の長丁場になっていたら「メイクドラマ」できそうだったんですが。 ・・・といっても最後の5周くらいは、自分のマシンも熱ダレが出始めて加速が鈍ってましたが・・・。 |
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というわけでレースの状況と現場での主な対応点を先にお話しておいて、ここからはいつものとおり、 シャシー側のセットアップの説明をしていきましょう。 | |
前回の作例から今回のレースセッティングに当たっての比較的大きな変更点は、 1)フロントスタビの撤去 2)リヤバンパーとウエイトの撤去 です。軽量化が最大の狙いですが、ダンパーセッティングを容易にすることも目的でした。 「計ってビックリ」なことに、当初、全備重量は1300gを超えていました。規定重量は1200g。重過ぎ!です。 Mシャシーの場合、タイヤ面圧の問題もあるので「軽けりゃいい」というわけではありませんが、規定重量より100gも重くて 加速やコーナリング性能で優れる道理はありません。そこで上記の軽量化を実施しました。 これでレース当日の全備重量は1270gにできました。優勝したしじぃ選手のマシンは1240g前後だったので、 それに比べるとまだまだ重かったですが、とりあえず許容範囲でした。 |
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