やっぱり、作ってみなくっちゃ・・・。
去る6月中旬に遂に待望(でもないが、やっぱり嬉しい)のM−04L「ホンダS2000」がリリースされました。
このボディや7月発売予定のBMWロードスター欲しさにM04−Lの購入を考えている方々も大勢いらっしゃるかと思います。
タミヤとしてもM−03/FF02以来のブランニュー・シャシー。シャシーのコンポーネント化が進んでいる昨今、
こんな機会は滅多にありませんから、ここはひとつ、自分の「RC自粛」は置いといて、
的確かつ忌憚(きたん)のないコメントを取るためにも、まずは自分で組んで走らせてみなきゃぁ・・・
ということで、またまた私の登場とあいなりました。
とりあえず本稿では、キットの組み立てからメカ積みまでをカバーしますので、「組み立てガイド」の決定版としてご活用いただければ幸いです。
今回の作例では、「M−04Lで初めてRCを組む」という初心者の方も念頭に置き、
コスト抑制のため、オプション部品の組み入れはできるだけ抑えてみたつもりです。
(それでもだいぶ最後にはoptの組み込みが増えちゃいましたが、段階を追って組み込んでますので、
必要度の違いとoptパーツのメリットについてはそれなりに感じていただけるかと思います)
最初から純レース仕様を目指した
M−03の製作記とはややアプローチが異なり、より「なごみ指向」で
仕上げています。それでも、押さえるべき所はキチッと押さえていますし、私はこのまんまの状態で
トップサーキットのナイトレースに出て勝ちを取りに行けるレベルを目指していますから、ぜひ参考にしてみてください。
今回、最初から組みこんだオプションパーツは次のとおりです。もちろん、もっと贅沢なパーツはありますが、それは各自の自由研究ということで、ここではパスです。
op.348 M03フルベアリングセット
op.345 トーインリヤーアップライト
op.141 軽量キングピンセット
(optのアルミキングピン<右写真>は軽いですが、これはTA02/03向けで長さが異なりますから、
M−03/04/TL系には使ってはいけません! きちんと締めこむとアップライトが回らなくなりますよ!)
op.236 Mシャーシブッシュセット
op.301 TL01・ステンレスサスシャフトセット(サス周りのネジ脱落トラブルが激減します)
op.284 アルミピロボールセット(一部)
op.12 3*10チタンビスセット(一部)
op.14 3*20チタンビスセット(一部)
op.280 スーパーローフリクションダンパー(リヤ用、CVAミニまたはスーパーミニでもOK)
sp.746 CVAダンパースーパーミニ(フロント用)
軽量キングピン、チタンビスおよびアルミピロボールは、サスアーム取り付け部など、分解するとタッピングビスの
取り付け強度が下がって困る部分や、シャシー上部や前部など、バネ下重量や慣性モーメントを軽減したい部位に重点的に用いています。
比率的には、ネジ全体の6割程度がチタンビスに置換された感じです(右写真はサスアームへのチタンビス組み込み例)。
当初は、チタンビスやアルミピロボールなんて使う予定ではなかったのですが、M−04Lはタイヤ径がデカい(=それだけ重くなる)ですし、サーボもミニサーボ
が使いづらい(取り付け用のサブプレートや馬台を付けると、軽量化のメリットが半減しますし)
ので、かなりの軽量化の必要性を感じた結果です。「伊藤仕様(ミニサーボ搭載)」の
M−03のウェイト無し重量が1180g程度ですので、これに対して同じカテゴリーで走るM−04Lが
いくらなんでも1300g台に乗ってしまうと、ウェイトハンデが大きすぎるので・・・。
結果的には、最も重い1700SCRCを積んで、ジャスト1300gになりました。RC1700ですと、1280gくらいですね。
「上記のパーツリストでもまだ多すぎる!」という方のために、コストパフォーマンスの良い
オプションをあえて選ぶとすれば、上記の太字で示したものになるでしょう。
とにかくベアリングは必須です。同梱の中空シャフトで8g程度の軽量化にもなりますし。
このほか、私はツーリングカーの余り物流用として、
op.163 オンロード仕様スプリングセット のブルーをリヤに、
op.333 ツーリングカーショートタイプスプリングセット のレッドをフロントに
それぞれ使っています。しかし、ノーマルのスプリングも前後のバネレート・バランスを良く考えているので
(特にフロント用の金色バネはM−04L用の新仕様でツーリング用としては最も柔らかい)とりあえず使う分にはOKだと思います。
なお、今後発売予定で、ぜひとも組みこんでおきたいパーツとしては、
(1)M−04ヒートシンク(仮称、既発売品では無改造で適合するものが見当たりません)
(2)M−04スタビライザーセット(op.382<500円>99年7月13日発売済み)
があります。スタビライザーは、リヤに極端な荷重を要し重量配分がアンバランスなM−04には不可欠なアイテムです
(ロールとピッチングを個別に調整するため)。出たら迷わずゲットしましょう。
(7/14/99追加)・・・とか言ってる間に、既にスタビが出てしまいました。基本的に、スタビがなくても
セットは出ますが、リヤサスが比較的柔らかいセットの場合は、あったほうが良いでしょう。フロントは
荷重が少なすぎて、全く不用です。なぜアッセンブリに入っているのか、不思議なくらいです。
スタビのバー自身は、見た目硬そうですが、テコの長さが長めなので、実際に装着してみると、
ほとんど「着けた感じがしない」程度の硬さに過ぎません。意外にヤワいです。
でも、ない場合より確実にロールは減りますから、フワフワサスには都合が良いわけです。逆に、ダンパーの
ストロークを思いっきりに縮めて、バネもガチガチに硬い場合は、縁石に乗った際に「飛び」ますから
ダンパーはむしろ装着しないほうが良いかも知れません。
おおっと、新型ジョンソンをゲットだ〜!
さて、そろそろ組み立てに入りましょうか。ここでいきなり、箱を開け〜て嬉しい花いちもんめ。
新型ジョンソン(第3世代)が入っていました。
ま、自分自身はジョンソンを使うレースには出られないので関係ないのですが、やっぱり何となく嬉しい。
これで、ジョンソン付きキットに当たったのは、都合3回目。うち2回はM−02(アバルトコルサ)、
M−04Lといずれもリヤ駆動車だったのは奇遇でしょうか(残りはフェラーリF189(F-101シャシー))。
(ノウハウ伝授・その1)ギヤデフの味付け
いつもなら、取説を斜め読みして手当たり次第に組んでしまうのですが、今回はできるだけ素直に
取説の手順に従うということで、まずはデフの組み立てから入りました。
さて、このギヤデフ、EXPドライバーなら速攻で見捨ててボールデフに換装してしまうところでしょうが、
私は昔からかなりコダわっています。だって、構造的に「デフが緩む」ということがあり得ません
から、レースでは抜群の信頼性を得られますし、メンテナンスの手間も相当省けるはずなのです。
シャシーをバラすの、大変ですものね。
ただし問題は、普通に組むと「あまりにスルスルなので、バンプに乗り上げた時やタイトコーナーで片輪が浮くと
トルクがすっぽ抜ける」という点にあります。
これさえ克服できれば、ボールデフを超えるスーパーデフになるんじゃないか・・・なんて個人的には思っているのです。
そういうわけで、これまでずっと、「何とか上手に使えないか?」とあれこれ思案して来た結果、、
4年くらい前から採用しているのが次の方法です。
その方法とは、デフ内部に粘度の高いグリスを封入して回転を渋くする、というものです。
方法自体は1980年の1/12オンロードレーシング「AYK・RX-2000」が元祖で、近年では1/8GPバギー等でしか見られませんが、
別に私のオリジナルでも何でもありませんので念のため。
このグリス、ただ塗ればいいとういうものでもありません。京商のキットのように、デフハウジング内にグリスを「充填」することを
想定してデフケースが設計されている場合もなくはないですが、これをタミヤでやると、重くなるばかりか、
グリスが飛び散って大変なことになります。
自分のやり方は、ギヤには極力塗らず、ギヤおよびドライブシャフトカップの軸受け部分といった
「遠心力が最も小さい」うえに、「閉じている」部位に塗るのです。
こうすることによって、デフが回転してもグリスの飛散を抑えることができます。また、グリスに気泡が入って
粘性が変わることによる特性変化も少なくなります。
なお、作例ではタミヤのフリクションダンパー用グリス・ハードを使いました。これしか手元になかったので。
ただ、M−04Lはツーリングカー用の大径タイヤを使うため、60Dタイヤよりも路面からの反動トルクが大きく、結構スルスルです。
本当は京商のデフグリス30000番か、それ以上の硬いものを使いたいところです。
(7/9/99追記)前言撤回。本日、M−04Lの初走行を実施しましたが、やはり、フリクション用グリスでは硬さが全然足りなかったようです。
タイトコーナーではデフがすっぽ抜けて巻くわ、ブレーキをかけると突然ハンドルを取られたようにあらぬ方向に向いて制御不能に陥るわで散々でした。
いずれも、デフの作動が軽すぎるために起きる現象です。
当日の気温(夜)は21℃と、ファイバーモールドBの適温の下限に近かったのと、搭載モーターがダイナランストックという
かなりオーバースペック(トップのローカルレギュを想定)だったせいもあるでしょう。540ならギヤデフのままでもOKかも知れません。
ちなみに、インナーはフロントがモールド・ハード(黒)、リヤがモールド・ソフト(青)でした。
考えてみると、デフを適度に軽くしたほうが良いFFのM−03や4駆シャシーはともかく、リヤ2駆のM−02ではボールデフを使っていたことを忘れていました。
それもガッチガチの。ROXでの3勝を含め、タミヤレースだけでも4勝を挙げた私自慢のM−02は、強いて言えば、デフでアンダー
を出しておいて、フロントにグリップするタイヤを付けて、全速度域でシャープかつ安定したステア特性を得る、というコンセプトでした。
それでも、M−02でトップサーキットのレースに参加した際は、レイアウトによってかなり戦闘力が左右された覚えがあります。比較的単純な高速レイアウトでは、
高速コーナーでどうしてもリヤタイヤのグリップが不安定になりがちで、唐突なテールスライドに見舞われ、危なっかしくてスロットルを握れなかったものです。
「クルッと曲がってドンと出る」ようなテクニカルなレイアウトでは最強だったのですが。
M−04Lでは、タイヤのサイズアップやダンパーの左右独立化などにより、リヤのグリップの安定性はかなり改善されたのでは? と期待していましたが、
試走した限りでは、後述のとおり車高が10〜12mmと「論外」に高い(精一杯下げた状態で)ためでしょうか、基本的にM−02でみられた、
超高速コーナーで唐突にテールスライドする特性は変わっていないようです。もちろん、フロントのグリップを落としてアンダーステアを強調すれば
高速コーナーの問題は解消しますが、それではタイトコーナーで曲がらず、大幅にタイムロスしますから、全く戦闘力のないマシンになってしまいます。
「タイトコーナーで良く曲がり、しかも高速コーナーでも安定、直進性もグー」という状態を得るには、まだまだ研究が必要です。
(7/12/99追記)本日、ボールデフに換装して2回目の試走を敢行。デフの硬さは、片方のタイヤを回すと
反対側のタイヤの代わりにモーターが回るか回らないか、という程度でした。もっと堅くても良いくらいです。
この状態では、タイトコーナーの立ち上がりでラフな曲がり方をすると、イン側のトラクション
抜けが出ることがありましたが、スムーズなラインを取る限りでは、タイトコーナーの入りもマズマズのフィーリングになりました。
ただ、タイトコーナーでの安定感が増したのをいいことに、フロントのインナーを柔らかく(モールドS)してグリップを上げてみると、
直進がおぼつかなくなりました。スタビがなく、モーターがダイナランストックの現況では
モールド黒がフロントインナーの限度のようです。なお、本日はリヤにインナーフォーム仕様に換装してグリップを稼ごうとしましたが、
グリップレベルは先日のモールド・ソフト(青)と大差ありませんでした。
実際、外周路の最もスピードが乗る超高速コーナーでは、リヤのグリップが不足気味で、
テールスライドのコントロールが非常に困難なため全開走行は無理でした。
ただしモーターが540クラスであれば、フロントにはもっと柔らかいインナーを使うことになるでしょう。
F1などDD車でもそうですが、リヤ駆動車では、パワーが上がるとフロントのグリップを
落としてバランスを合わせる傾向がありますから。
ただ、タミヤシャシーで「お約束」のハイサイド(タイヤがつっかかってコケること)については、
17Tピニオンだった前回はもちろんのこと、
スパーを18Tに上げて一段とスピードアップした今回においても、サイドウォールがリムからはがれるまで
特に発生しなかったことを特記しておきます。これは明らかに、まだまだ不充分とはいえ可能な範囲でギリギリまで
車高(重心)を落とした効果です。
また同時に、タイヤの接着状態がいかに重要かも如実に示しています。タイヤについては、
1パック走行ごとにチェックし、わずかでもハガレがあれば直ちに瞬接で補修されることを強く推奨します。
タイヤグリップがスポンジタイヤ並にアップした昨今では、タイヤの接着状態が不安定だと、まともな
セッティングは出せないと言っても過言ではありません。ハイサイドの原因の半分以上は、タイヤの接着状態に
あると思って良いです。残りの3割くらいは重心、あとはキャンバーの設定やダンパーの作動が渋い、といったところにあります。
(7/22/99追記)その後、2回ほど試走を行いましたが、夏場はタイヤグリップが上がるせいもあり、昼間はとにかく転げまくります。
あり余るモーターパワーのせいかと思い、ジョンソンに換装しましたが(ピニオン21T)、やはりコケます。
とにかく、1パックの半分も終わらないうちにコロコロ転げまくるので、下手するとシャシーがボロボロになってしまいます。
転倒はフロントタイヤのヨレが直接のきっかけとなることがほとんどですから、これを防止するには、とにかくインナーを
固くしてみよう、ということで初回走行時のモールド黒に戻しましたが、昼間の炎天下ではまるで効果なし。
根本的にグリップの低いコンパウンドを選んでやらねばならないようです。これって文字通り、本末転倒・・・。
ジョンソンでもコケるならもはや打つ手なし、とガマンも限界を超えてしまったので、とりあえず60Dタイヤに換装して車高を下げたところ、
転倒はピタっと収まりました。これでとりあえず3パックくらいノートラブルで遊べました。
心配していたトラクション不足も思ったほどではなく、540ばかりかダイナランストックの大パワーも十分吸収してくれました。
ただし、この「60D仕様」M−04Lは現行のタミヤGPではレギュレーション違反ですので、注意しましょう。
60Dを使うためには、シャシーのスペーサーを外して「M−04M」仕様とし、ボディをM−02M用の「ユーノス・ロードスター(既に絶版)」
または「アルファロメオ・ジュリアスプリント(みんなM−04M用に買い求めているので、目下、入手困難)」に換装する必要があります。
リアのホイールアクスルも、ノーマルではsp.808「TG10リヤーロングホイールアクスル」ですが、M−03やTA−01などで使われている
通常のツーリング用ホイールアクスルに換装する必要があるかも知れません(sp.632「Mシャーシドライブ
シャフトセット」でも良いのですが、sp.823「TG10ホイールアクスル」だと無駄がありませんのでお徳です)。
なお、直進性については、あれこれ検討した結果、(1)トーインが強すぎ、(2)リヤダンパーの作動が渋過ぎて
コーナリング完了後もロールが直らず、傾いて走っている、という点が大きいと判断し、
(1)についてはトーインをほぼゼロに(フル装備重量で地面に置いた状態で計測すること!)、
(2)についてはOリングを2個から1個に減らす(Oリング1個分より若干薄い3mmアルミシムと交換)、
という改良を実施。結果として、ほぼ問題ない直進性を確保できるようになりました。いや〜、リヤダンパーの
作動が渋いのがテキメンに直進性に影響するなんて、考えもしませんでした。スーパーローフリクションダンパーの
組み立て(詳細はM−03のページにあります)
には気をつけましょうね!
(7/26/99追記)今日はナイトタイムに他の常連とMシャシーでチキチキごっこでした。以前から気になっていたのですが、
その場で、サーボセイバーのガタの問題とサーボステーの弱さを話題にしたところ、言下に
「その通り! サーボセイバーとサーボステーの剛性を上げないと、現状
(まだほんのわずか蛇残りするので手放しでは直進できない)以上の直進性は得られないよ」という結論に
達したので、速攻でop.308アルミサーボステーとsp.473ハイトルクサーボセイバーセットを購入。
「ハイトルクサーボセイバーの銀色のリングスプリングをキットのサーボセイバーのプラスプリングにかぶせるのよ、
金色のリングだとヤワいのでダメよ」との「指導」に従い、近日中の改修を誓うのでした。これで直進性は完璧か?
今週末はタミヤ宇都宮GP、間に合うか・・・?
ギヤボックス
同じリヤ駆動でも、M−02はモーター逆転使用だったため、使えるモーターが限られていましたが、今回のモデルチェンジで、
モーターは晴れて正転使用となりました。めでたしめでたし。
これで、スポーツチュ−ンやダイナランストック、果てはJRM23ターンまで、様々な進角つきストックモーターが使えるようになりました
(進角つきモーターは、正転での使用を前提としており、逆転で使うと消費電流が異様に増えるばかりか、回転も上がりませんから)。
また、今回、何より嬉しかったのは素材の変更。M−03のスチロール系のケチな素材から、M−01/02系の
カーボンブラック着色の軟質ポリカーボネート(推定)に戻りました。
試作品の写真ではメタリックっぽかった(気のせい?)でしたが、黒のほうが渋くていいですよ、やっぱ。
M−03よりは溶けにくそうな感じですし。
でもヒートシンクがないと不安ですから、急いで出してね、タミヤさん! もう夏ですよ・・・。
ピニオン穴は17T、19T、21T(06モジュール)用に空いており、キットには17Tピニオンが入っていますが、
17Tに16T、というようにそれぞれ1枚づつ落としたピニオンを装着する、というウラ技もあります
(ただしタミヤレースではピニオンが指定される場合もあるので注意)。シャシーのスペーサー(右写真)を取っ払って、
60Dタイヤと組み合わせた「M−04M」仕様もOKですから、
実際にはギヤ比設定での問題は少なそうです(あくまで推定、こればかりは走ってみないと)。
なお、ギヤケースを組み上げる際に、カウンターギヤとジョイントカップ軸受け用のベアリングも忘れずに
あらかじめ組み込まなくてはならないのですが、ここでちょっと困ったのは、
ジョイントカップ軸受け用のベアリング装着部のカシメが緩くて、ギヤケースを合わせようとしてひっくり返す度に
ポロポロとベアリングが脱落すること。面倒がって自分ではやりませんでしたが、ベアリング外周に
ゴム系接着剤をちょっと塗ってやったほうが、さっさと組めたのでは?と思います。
シャシーフレーム
ギヤケースには少々手間取りましたが、あとはサクサクですね。
今回は、メカ積みを除くとほぼ2時間で組み立てが終わりました。そのうち20分くらいはギヤケースに使った格好ですが・・・。
M−03のときは組み立てに6時間くらいかかった気がしますが、これはTL系パーツ
(特にサス周り)に不慣れだったのと、軽量化とメカ積みに組み立て前からあれこれ知恵を絞った
せいでもあります。
しかし、M−04の場合、軽量化にしてもメカ積みにしても、ちょっと手の付け所がないですね。
つまり、シャシーフレームには「必要かつ十分」な穴が既に空いていて、補強のリブまで入っていますし、
フレームのちょうど真ん中あたりに入っている隔壁も、ちょうど良い補強になっていて、外すと大変なことになる。
あえて外す部品があるとすれば、リヤバンパーとフロントのスポンジくらいでしょうか。
それでも15g(でも重量オーバー考えると大きい?)くらいしか軽くなりそうにありません。もともと十分に軽いですから。
裏を返すと、それだけ完成度が高いといいますか、スキのない作りになっている、ということで
イコールコンディションでレースする観点からは、喜ばしいことなのですが・・・。
ミニサーボ(写真はJR・NES-3125というちょっと旧式のミニサーボの例ですが、サンワSRM-141HRでも大同小異です)
すら受け付けない融通のなさには閉口しましたが。
(ノウハウ伝授・その2)フロントサスの組み立て
今回、デザイン的に感銘を受けたのがこのフロント・アッパーアームピボットの部分です。
ピボット部を独立した部品にするのはTA系やTL系シャシーでもありましたが、フレーム内部を
「貫通」させて「ネジ止め不要」にしたデザインは秀逸。金型代がかなり浮いたことでしょう。
ただ、組立式となったことで、クラッシュ時の精度の維持は難しくなっていますので、
あまり無茶なクラッシュは避けたいところです。そんなこと言われても無理かぁ!?
さて、ここからがいよいよ本題。
車高下げ対策PART1
60DタイヤのM−03でさえ、車高下げには
あれだけ苦労したわけですから、ツーリング用タイヤを使うM−04Lでは、どうしても車高(最低地上高)が
高くなってしまうのでは・・・ということは当初から想定できました。そこで、サスの組立にあたっては、
いかに縮み側のストロークを稼ぐかが最大のポイントとなります。
まずは、ハブキャリア(Cハブ)とサスアームが干渉する部分の削り落とし。具体的には、ハブキャリア(Cハブ)の
アッパーアーム取り付けネジ周辺の出っ張りを削り落としました(右写真を参照)。
これで、この段の写真左側と中央を比べて分かるとおり、2〜3mmほど余分のストロークを稼ぐことができました。
わずかな違いですが、これは大きな違いです。右端の写真を見ていただければよく分かるでしょう。
右端の写真で、右サイドが加工前、左サイドが加工後の状態です。縮み側のストロークが増えたことにより、
ネガティブキャンバー角もかなり稼げていることが分かるでしょう。
実際、ネガティブキャンバー角については、右下の写真のとおり、現状で十分なレベル
(4〜5度程度)が確保できています。特にオプションとか、社外品パーツを使う必要はありません。
なお、アッパーアームの取りつけネジは緩みやすいので、できればネジロック剤で緩み止めをして
おいたほうが良いでしょう。また、ネジの緩みを避ける意味で、再分解は極力避けるべきです。
どうしても分解が必要な場合は、新品パーツで組み直すことを推奨します。「絶対ダメ」とは言いませんが。
車高下げ対策PART2
次に、M−03でもご紹介した、ダンパーのバネ受けパーツの交換です。
ダンパー本体はCVAスーパーミニ(作例は使い道のなかった限定・透明バージョンをとりあえず使用)
ですが、バネ受けにはスーパーローフリクションダンパー用を転用します。これにより、縮み側のストロークを1mm程度余計に稼ぐことができます。
なお、スーパーローフリのプラパーツ「V部品」はスペアパーツ(op.334)として別売されているので、これを入手するためにわざわざ
スーパーローフリのセットを買う必要はありません。
車高下げ対策PART3
これは裏ネタになりますが、さらに1mm程度ストロークを稼ぐことができる方法を思いついたのでご紹介しておきます。
それは、ダンパーのOリング取りつけ側キャップ部品の表面を削って薄く加工し、さらにバネ受けパーツも同様に
ヤスリがけして薄くする、というもの。強度は若干下がりますが、ダンパーストロークの1mmの差は大きいですから、
どうしてもM−04Lにこだわる向きは兆戦する価値が十分にあるでしょう。
・・・以上(PART1&2)の改良を施した結果、標準タイヤのままで、フロント側は約10mm、リヤ側は約12mmまで車高を
落とすことができました。もちろん、そのためにサスストロークが犠牲になっては意味がなく、下の写真のとおり、
ストロークを十分に(5mm程度)確保したうえでの結果であることをご理解いただきたいと思います。
とはいえ、M−04はとにかくフロントのストロークが厳しい。
ボンネットの低いクルマもモデル化できるようにダンパーを寝かせて設計している
(ただし、サスアーム側のダンパーピボット<取り付け部>をサスアーム上からオフセットしているので、
実際にはTA01/02のフロントサス並の傾斜角しか付いていません)
・・・というのは分かりますが、発売中のダンパーがすべて適合しない、というのはいかがなもんでしょうか
(あくまで、まっとうなレース走行に耐えられるレベルにするためには、ということですが)。
リヤセクション
リヤセクションは、あらかじめオプションのトーイン付きアップライトを組み込んだほかは、特に何もしていません。
フルバンプした時に、アップライト上端とボディマウントが干渉するのは、もはやタミヤ車の「お約束」といったところでしょうか。
しかし、このクルマに関して言えば、特に手を加えるほどのものでもありません。なんてったって、
フロントの車高がこれ以上下がらないのですから(企画・開発の段階でこれでOKが出ている=ここまで開き直るか、と半ばあきれ返っている)。
リヤだけやみくもにストロークを増やしたり、車高を下げても走行中のロールセンター移動量が無意味に増えて
挙動がギクシャクし、かえって走らせにくくなるだけなので、やめておいた方が良いでしょう。
ドライブシャフトも、特にユニバーサル(op.205)に換装する必要はありません。メンテがやりやすくなるのと、若干の軽量化メリットのために
2,000円も投じるのは、よほど余裕のあるor必要に迫られている向きにしかお勧めしません。従来のMシャシー用ですと、
リヤトレッドが標準スパンになってしまいますしね(トレッドを狭めるのはレギュ違反にはなりませんが、不利です)。
なお、バンパーがカッコ悪い!・・・と思われる向きは、TLの「軽量シャーシセット」(op.331)
に同梱されているFRP製補強板に換装されてみてはどうでしょうか。
キット標準のバンパーも十分小さいし、強度もあるので大した効果はないと思いますが・・・。
ついでですがギヤについてひとこと。
M−04のギヤはM−03と共通です。走らせると分かるのですが、最初の1パック目はともかく、
ちょっと磨耗すると、とたんに、けたたましい音を発するようになります。これは、精度の問題もありますが、
それ以上にギヤの材質が大きく影響しています。ナイロン66系の射出成形グレード品のようなのですが
(F1用の04ピッチギヤでははっきりナイロン66と謳っているので)、
これは素材的にみると比較的硬い部類のものなので、鳴りがうるさいのはある程度、当然のことなのです。
同じ射出成形でも、大昔、ポリアセタール(独ヘキスト社製だったので商標の「ジュラコン」を謳っていた)を使っていたときは、
もっと静かでした。80年代の「レーシングマスター」シリーズで初めて硬質ナイロンを採用したときは、その爆音におったまげたものです。
それが、形を変えて今日まで続き、一部では「タミヤサウンド」と冷やかされる独特の世界を創るまでに至って(?)
いるわけですが、生産性を含めたコスト面で他にもっと良いものが見当たらないので、仕方なく使っているのが本音でしょう。
ただ、今では、汎用樹脂と呼ばれるポリエチレンやポリプロピレンにおいても、触媒の改良によりナイロン並の機械的物性を持つ
製品が商品化されつつありますので、将来的には環境にも優しいこれらの素材を使う方向に向かっていくものと思われます。
メカ積み
さて、いよいよメカ積みです。ただ、今回は「誰でもできる範囲で」という制約を課した上での製作で
あるため、あまり突拍子もないことはやっていません。例えば、ステアリングサーボは、ミニサーボの
装着にはやや無理がある(S9602を無理やり取り付けた人も見ましたが)ので、オーバースペック
を承知で、今後、他車への転用も考慮してフタバのデジタルサーボ、S9450を最終的に選択しました。
また、アンプも、今日ではごく標準的なサイズながら、特にハイエンドというわけでもないKO・KSC-1100FRを
使いました。単に、試し買いしたまま使うアテがなかっただけなんですけど。久しぶりにバック付きアンプ
(とは言ってもバック解除の設定もできますから)でレースに出るのも一興かな、と思いましたんで。
ハイエンドアンプと比べてもスペック的にはFETのロスが比較的少なそうですし。
ただし、KSC-1000FR/1100FRは、バッテリーやモーターの配置の自由度を増す意味で、異様にリード線が長いので、必要最小限の長さにカットしてハンダし直すのが
結構面倒です(実はそれが面倒でずーっと使ってなかったりした)。
マウント位置も、配線のレイアウト重視でバッテリー上にしました。本当は、ケースを剥ぐとか、キーエンスの
A-07のようにもっと小さいアンプを使えば、もっと重心を下げるレイアウトも可能なのですが・・・。たかが20g程度の
「重り」がバッテリー上にあっても、それがハイサイドの理由にはならない、との判断もあります。
しかし、間違ってもCPRユニットなんぞをバッテリー上に乗っけないでください!
あれは100gくらいある立派な「重り」です。レース走行では、まず、まともに走らないでしょう。
軽いアンプと受信機を用意するのはM−04Lに限らず、およそレースで走る上での大前提です。
まともなパフォーマンスが得られなければ、結局、本人にもフラストレーションがたまるだけですからね!
というわけで、今回、ちょっとコダわってみたのが受信機。ようやく新発売なったフタバの受信機、R-123Fを試してみました。
実は、これがM−04のシャシーフレームの隙間にジャストフィットするのです。
フレームの内側を左右0.5mm程度、削り込めばフィットします。これでバッテリー上に据え付ける場合に比べて
設置位置を5mm程度は落とすことができます。
当初、受信機は旧型のR-113Fを使う予定だった(写真右上参照)のですが、通常なら十分小さいと感じる113Fでさえも置き場に困ってしまうほど、
M−04Lのフレームは狭いですし、ケースを剥がすといった加工無しに「キレイなメカ積み」をしたかったので、
R-123Fの登場となった次第です。これだと、サーボの真後ろ、バッテリーまでの空間にスッポリ収まります。
受信機のレイアウトに関しては、アンプとセットで、
フレームの左右外側側面に取り付けるのもひとつの方法ですが、
左右の重心の偏りを助長しがちであるのと、側面からのクラッシュや横転した場合のリスクを考慮して、とりあえず
見送りました。クルマがもっと安定してクラッシュやハイサイドが大きく減ってから、再検討したいと思います。
おまけ
(その1)今回も発見! 大チョンボ
組み立て上は特に大きな問題もなく(サスアーム組み立て用のタッピングビスの力の入れ具合に気を遣った程度)、
今回こそは大きな欠陥なしか?・・・と思いきや、いや〜やっぱりあるもんですね。
今回は、初走行早々の大転倒でおかしくなったギヤの交換時に発見されました。リヤセクションをユニットとして
外せるところまでは良いのですが、どっこい、サスアームを外さないと、左右のフレームをバラすことが非常に困難な
位置にネジ穴があるのです!写真では一見するとネジが回せそうですが、できません。
無理するとネジ山がつぶれてそのままサヨウナラです。つまり、デフやギヤ交換など、
本来、比較的頻繁なメンテナンスを要する部分でありながら、その都度ドッグボーンやジョイントカップまで
バラすことを覚悟しないと手を付けられない、という状況にあるわけです。
うっわ〜面倒くさ〜。M−04最大の欠陥ですね、こりゃ。せっかくのユニット化が台無しです。