チューニングTips(3) |
<16>サスアーム取り付け角の変更 もともとロールが少ない設定ですが、それでも最近はタイヤのハイグリップ化のせいで、黄バネや青バネで車高5mmでは路面にシャシーが擦ってアンダーが出てしまうくらい、ロールモーメントが強いですよね。サーキットで操縦台から降りて他の人のクルマの動きを観察していると、すごくダンパー固めているはずなのに、めちゃめちゃロールしています。 そういった場合、単にダンパーを固くしていくと、メカニカルグリップの面で不利なので、サスジオメトリでロール剛性をもっとアップできないか? という考え方も合わせて検討していきたいところです。 |
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Evo4のサスアームはかなりシャシーと並行なところまでサスアームのシャシー側支点が持ち上げられているのであまり大きな変更はできませんが、サスブロックとアッパーアームの取り付け部に1mm厚程度のスペーサーを入れて、もっとアームを水平にしてみましょう。残念ながら本稿アップ時点では筆者はまだ試せませんが、恐らくバネ1段階柔らかくしてもロール量は従来並みで収まるはずです。シャシーの擦りが減リ、挙動がより安定するようなら成功です。足を柔らかくしてメカニカルグリップを稼げるので、冬場でも有効だと思います。 ただし、限界を超えた時の挙動が急激になるかも知れませんのでやみくもにロール剛性を上げればいいってもんじゃないかも知れません。その場合は逆にサスアームを「バンザイ」させる方向にしてやれば良いでしょう。タミヤGPではNGでしょうがオープンレースならEvo2用やTRF415用のサスブロックが使えますね。 |
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<17>モールドインナーの硬度チェック これも意外にネット上では誰も紹介していないようで、RCTでもBBSで過去に1回出たかなかったかというくらい稀な話題ですが、やっている人はモールドインナーが登場した当初からやっている、という話です。 柔らかいゴムを発泡させるモールドインナーは硬いウレタンを発泡させるスポンジよりも同じ硬度を得るにしても発泡密度が粗く、発泡剤の混ぜ込みが雑だと発泡が偏ってしまいます。つまり、硬度表記はあくまで便宜上(ある意味「気持ち」の問題)であって、実際には製造誤差や測定位置による偏差が大きいのです。厳密には同じものはひとつもありません。通常はメーカーもユーザーも「だいたい同じ」で納得(ゴリ押し?)しているわけですが。 |
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TA-04が出た当初(PROシャシーキット同梱)のモールドインナー黒(ハード)が、後でバラパーツとして出てきた同等品よりも柔らかく、ミディアム(緑)よりは硬め、というのは知る人ぞ知る話ですが、そういうことが往々にして起こるわけです。後日、タミヤのモールドインナーも製造管理が厳しくなったようで、いまはこういったバラツキは少なくなっているようですけどね。それでも発泡度の高いソフトインナーでは、やはり均一な発泡が難しくバラつきは大きめです。まぁ回転するモノなので、多少のムラがあっても救われる部分はあるのですが、やはり一部が特異的に硬かったり柔らかかったりすると、その部分のタイヤ表面にフラットスポットができたり、唐突にグリップ抜けが起きたりする原因になりますから、限界に近い走行になればなるほど、安定したグリップを求めて発泡の均一性要求も厳しくなるわけです。 | |
かくいう筆者も、GT-1クラスのときはそこまで気に留めていませんでしたが、さすがにTRFチャレンジクラスだと、GT-1でTQ取るくらいの勢いで走らないとおちおち予選も通りませんから、このへんもキッチリやっておかないと。 そこでまず登場するのが、主に1/8GPカーで使われているMAXMOD製スポンジタイヤ用硬度計。工業用スポンジ硬度計と同じモノですがやや精度を犠牲にしてコストダウンしています。残念ながら絶版ですが、昨年、FASTLAPさんから精度を工業用並みに改善した同等品が出ましたから、これから買うならそちらの方が良いでしょう。 筆者の使い方としては、ホイールに装着したインナーのトレッド中央部をホイールのリブを目印として5ヵ所計測しています(上写真参照)。 |
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計測点に硬度を記入しておき、タイヤを組むときにさらにホイール内側にも転記しておきます。これで、常にインナー硬度とそのバラつきを確認でき、同じコンパウンド、同じインナーのタイヤを一段とキメ細かく選択し使いこなすことができます。 例えば、クルマをほんのちょっとマイルドにしたいとき、同じインナーで硬度48のものを前に、硬度50のものを後ろに、とか。微妙な差が生きてきます。これを目くら打ちで装着していたら挙動変化がタイヤ(インナー)のせいなのか、他のセッティングのせいなのか分からなくなってしまう原因にもなりかねません。 |
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ここまで書いておいて言うのも何ですが、タイヤ硬度計は1万円以上するモノなので(工業用は3万円程度)、誰でもおいそれと買えるものではありません。そこで、どこでも誰でも実践可能な簡便法をご紹介しておきます。 話は単純で、左写真のように、ペアのインナーを手で左右から押して、変形具合を比較するのです。もちろん、柔らかい方がよくつぶれます。インナーを回しながら複数ポイントで比較するのがキモです。たくさんのインナーを入念に比較すればかなりの精度でマッチング可能です。実際、選別結果は硬度計の計測結果の序列とほとんど変わりません。ただ、いかんせん、非常にアナログ的な作業で、インナーの硬さの差異を数値化することは不可能ですし、「その場限り」でしか意味のない行き当たりばったりの方法です。とはいえ、この程度の作業でかなりの部分、用が足りてしまうことも事実です。 |
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<18>アップライト回りのガタ取り アップライト回りは、ハイエンドカーにしては前後ともちょっとガタが多過ぎるので、シムを入れて極力ガタ取りしましよう。ただし動作を渋くしないように。 ステアリングワイパーには0.2mm、アップライトのサスシャフト部には0.1mm、フロントアップライトのキングピン部分には0.3mm厚がちょうど良かったですからご参考まで。 |
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<19>ショートホイールベース化 タミヤGPの仮設コースではタイトコーナーでのクイックターンが求められるので、舵角増加のほか、ホイールベースも短い方が有利です。前後のグリップバランスが重要なのでホイールベースは絶対条件ではありませんが。 TA-04ほどの劇的な変化はないのですが、一応、サスシャフトに入れるスペーサーの位置を変更してキット標準よりも前後2mmずつホイールベースが詰められるので、計4mmのショートホイールベース化を図ってみました。公称データではキット標準ホイールベースはTA-04やEvo3、TT-01などと同じ「257mm」ですから、この仕様で253mmということになります。ちなみにTRF415はちょっと長くて259mm、TA-04SS(MR-S)は247mmです。 |
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<20>ベベルギヤの欠けに注意! 素材がカーボン混入、しかも硬質ナイロンに強度アップされたのはいいんですが、かえって衝撃に弱くなって、大き目のクラッシュをしてしまうとご覧のとおり、歯が欠ける、というか、もげてしまいます。バルクカバー撤去でギヤボックスを開けたところ、センターベベルの歯が2枚もそっくりボロリと落ちていたのにはさすがに苦笑。全然気付かず、こんな状態で直前まで問題なく走っていたのには参りました(良い意味で)。 というわけでギヤの欠けはマメにチェックしましょうネ、特にフロント側。 一瞬、optのアルミギヤに交換しようかと思いましたが、いや待てよ、どっちみち壊れるのはセンターベベルなのに、センターベベルだけのバラ売りがないんだから、わざわざ多少でも重いアルミリングギヤを使う意味ないじゃん、ということでとりあえずキット標準ギヤのままです。消耗の激しいセンターベベルこそ、アルミ物を出して欲しいですよね。 |
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<21>Fセンターベベルの止めネジ廃止 センターベベルは2×5mmキャップスクリューで止めるのですが、ベベルを割ったりシャフトの雌ネジが切れたりするのが怖いので、あまりキツくネジを締められません。そうすると、ネジの向きの関係で1パックも走らないうちにフロント側のキャップスクリューが緩んでしまいます。キャップスクリュー長の関係で、緩んでもワンウェイハウジングにはギリギリ干渉しないのが幸いなんですが、実に簡単に緩むので悩ましい。ホントは逆ネジにすべきなんです。ベベル交換を考えるとあまりネジロック剤を使いたくありません。構造上、キャップスクリューがなくても駆動が抜けることはないので、思い切ってキャップスクリューを廃止しました。ベベルのガタは若干増えるのでモディファイド仕様では不具合が出るかも知れませんが、23Tストックでは特に問題ないのでタミヤGPではお奨めかな。 |
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<22>ステア回りのガタ取り いや〜、それにしてもEvo4のステアリング回りのガタは結構ヒドいです。何が、というのでなくて全体的にガタガタなのでちょっと大変です。これが直進性やステアリングの応答性にも響いています。アップライトやステアワイパーの上下のガタなど、シムでどうにかなる部分を対策しても、ピロボール部分とサーボセーバーはどうしようもないです。optのローフリクションボールジョイントに交換すれば少しはガタ減るかな? サーボセーバーは以前からロットによるガタの差が激しいようなので、まずは買い換えで対応ですが、いっそサーボセーバーを廃止して通常のサーボホーンでダイレクト接続、というのも必要かも。運転手のレベルによりますけど・・・。 |