RC Car Trend モーター研究室
<その1:ブラシで変わるモーターの特性>
そもそも、このページを公開する直接のきっかけは、去る98年12月に行われたシブヤ・トップサーキットGPでの
ふぇら〜り伊藤の惨敗でした。初めて出場したF1・EXPクラス、しかも練習不足とはいえ、19名中16位、
しかも自分としては結構いいライン取ってたハズなのに・・・。どうもモーターが回らなかったよな、
バッテリーも2週間前からコンディショニングして、アンプも特に問題ないし・・・。
ん、待てよ、モーター? ひょっとして・・・。
(実線はレース後の状態、点線は全く同じモーターで新品時の状態)
やれやれ。こんなことならあらかじめダイノにかけてチェックしておくべきでした。とんだチョンボでしたね。
グラフ下の表をみてください。黄字の「Power」と記されたところの最大値、平均値、いずれをとっても
レース使用時(上段)のスペックは新品時(下段)より1割以上も下がっているではないですか?
まるで、カスタマー仕様のエンジンでバリバリのワークスエンジンを積むライバルに挑むような状況だったわけですね。
しかし、どうしてこんなにひどい状態だったのでしょう?? ブラシは新品に交換してたのに・・・。 え、ブラシ?
(実線はタミヤ純正ブラシ交換後の状態、点線は全く同じモーターで新品時の状態)
そう、ブラシに問題大ありでした。いやなに、HPIのブラシが余っていたので、それを使ったのです。
ローカルレースですし、そのくらいのことには皆、目をつぶっているのです。
しかしながら、タミヤの純正ブラシが結構いいモノであると思っておらず、いくらなんでもHPIの
ほうがベターだろう、なんて勝手に思い込んでいたのがマズかったのですね!
ベンチにかけてりゃ良かったものを、手間を惜しんだがために、ブラシが変わってあんなに
パフォーマンスが落ちていたことに気づかなかったわけです。現場では、単にウデのせいだろうと
思っていました。
タミヤ純正ブラシに換えたら、上のグラフのとおり、あーら元どおり。もちろん、
ほとんどナラシが入っていないので、ナラシ後の新品時のコンディションには及んでいませんが、
ナラシを入れれば、ほとんど同じ状態に回復するでしょう。
(実線は5分程度の軽いナラシ後の状態、点線は全く同じモーターでブラシ交換直後の状態)
ナラシが重要なことは、ベンチテストをすると良く分かります。いやー、テスト回数を重ねるたびに
ブラシが調子良くなって、データがどんどん良くなるのですから(ある程度まで)!
ほんの数分、新品ブラシの入ったモーターを空転させて慣らすだけでも、パワーが5%程度も違ってくる
ことが、上のチャートからも見て取れるはずです。
(実線はアソシ製銀入りブラシ、点線はタミヤ純正ブラシ、いずれも交換後5分程度のナラシ後)
ついでに、いったいタミヤのブラシはどれ程のもんなんだい? と思ったので、
手持ちのアソシ製銀入りブラシ(型番MR−056)と比較してみたのがこのグラフです。
むむむ、ほとんど変わらない! ・・・強いて挙げれば、アソシノ方がrpmは伸びるけど、
効率やパワーの面ではタミヤに分がある。でも、この辺の水準までくれば、実際にはどちらを
使ってもほとんど結果に表れるような差は出ないと思います。
どっちみち、タミヤレースには「M」または「T」マーク入りのブラシしか使えないんですから、
以上の考察はあまりイミないんですけどね!
(注:今回使用したタミヤブラシはMマークです。MとTの違いについては、Tタイプが補修用として
流通していないため(モーター組み込み専用品)、とりあえず今後の研究課題とします)
(12/11/99追加)
その後、ある筋から聞いたところでは、「M」マークのブラシは、
97年前後のJMRCAレースで一世を風靡した、「もともとMAXTECモーター向けとしてOEMされたブラシ」を
流用したものなんだそうで、JMで活躍されている方なら見慣れたモノなんだそうで。
タミヤしかやってない筆者は目からウロコでした。な〜んだ、MAXTECのMだったのか。
当初、Mチューンモーターからこのブラシが入るようになったので、
「MチューンのMか?」と思いきや、
ダイナランストックにもMブラシが入るようになり、
「ははあ、シンナゴヤ製を区別するためのものなのか?」(でも、それならSとかだろ?)
・・・と思っていたので、意外な答えでした。
TとMは材質は同じだそうです。MAXTECが新材料のブラシに移行したのと、
「純正ブラシのみタミヤGP使用可」としたレギュレーション運用の変更で、タミヤ向けの数量が
まとまってきたこともあり、「T」という刻印入りの型を新たに起こしたのが真相のようです。
真の日本一を争う(ワールドチャンプ正美クンがいるので実質、世界一を争っているわけですが)
JMRCAレース用に開発されたブラシですから、性能が悪かろうはずもありません。しかしながら、
今では他のモーターメーカーはさらに洗練された材質のブラシ採用へ動いているわけですから、
このブラシ材質はもう既にやや「古い」わけです。でも、タミヤレースには十分な性能ですよね!
むやみな改良はいらないので、とにかく量産して安く提供して欲しいものです。これがユーザーの本音。
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