posted on 10/11/2001
last updated on 10/12/2001
タミヤRC製品・即買いカタログ
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RC Car Trend モーター研究室

<その19:最新23ターンモーター・ハードチェック2001>



(この内容は、2001年9月現在の状況に基づくものです)
<2001年モデルを徹底チェック!>
タミヤ23Tをレポートして早くも3ヵ月。ようやく、オープンクラスでよく使用されそうな主要23ターン・ストック2001年モデルの コメントを執筆できる時間が取れましたので早速公表していきます(情報をなるべく早く提供したいので、 とりあえずグラフの掲示を先行させます。コメントは後からです。どうぞご了承ください)。


とりあえず店頭で即、入手可能だったものだけをとりあげています。 また、予算の都合上、サンプルは1個ずつですので、タミヤ以外の23Tを初めて取り扱った「その17」同様、 データとしての信頼性はある程度のブレがある点をあらかじめ考慮に入れてくださいね。 特に、HPIの「スーパーストック23タイプE」とオリオンの「スピードデーモン23T」は基本的に同仕様の商品のはずなので 計測値のバラつきが思ったより大きく出たのは意外でした。 逆に言うと、この商品にはこの程度のバラつきはあり得る、ということです。
ただ、時間不足で慌てて計測したので、計測結果の妥当性について十分吟味できていません。 後日、計測をやり直してもっと確からしいデータが出てくれば、 公表データを予告なく改訂するかも知れません。あらかじめご了承願います。

今回、取り上げたのは、以下の4メーカー6モデルです。
(1)エコー「アルティメイト・ストックモーターSタイプ」(品番E-8723S、2500円)
(2)エコー「アルティメイト・ストックモーターTSタイプ」(品番E-8723TS、2500円)
(3)ヨコモ「T−MAX」(品番、2300円)
(4)ヨコモ「T−MAX R」(品番、2500円)
(5)HPI「スーパーストック23・タイプE」(品番、2500円)
(6)オリオン「スピードデーモン23T」(品番、2500円)

<エコー・アルティメイトS>

<ご注意>アルティメイトは1999年以来の商品ですが、今でも現役で発売中なのでこの調査に含めています。
JRMに加盟していないのでJSTCには使えないのですが、オープンレースで人気が高いので、 かねてから計測したいモーターではありました。今回、ようやくそのチャンスが巡ってきたわけです。 なお、アルティメイトにはこのほかトルクタイプの「タイプT」もありますが、あまり人気がないようなので今回は あえて購入を見送りました。


(実線はエコー・アルティメイトS、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ(その18の計測データを使用))



(実線はエコー・アルティメイトS、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ(その18の計測データを使用))


回転数ベースで見ると、タイプTと非常にプロファイルの似たモーターのように見えましたが、 消費電流ベースでみると、アルティメイトSのほうが25A以上の「消費電流大きい」=「低回転」域での効率が高く、 同じ消費電流でより多くの回転数を得ている=パワーが出ている、ことが分かります。
反面、消費電力の少ない、高回転域での効率は相対的に落ちるので、タイプTと比べると ギヤ比を下げてやることで適正負荷(レース用の、ですヨ)を得られそうです。
ただし、どちらのモーターも、「同じ消費電流を与えた時のトルク」はほとんど同じ(EMF値もほぼ一致)ですから、 低回転域での効率の良さを積極的に生かせるという意味において、 アルティメイトSはストップ&ゴーの多いコースに向いていると言えます。あくまでタイプTとの比較ですが。

<エコー・アルティメイトTS>


(実線はエコー・アルティメイトTS、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)



(実線はエコー・アルティメイトTS、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)


同じ23T、同じ部品(とはいってもTSはレイダウンブラシ)、同じメーカーでありながら、かなりプロファイルを 作り分けてきているところは、さすが専業メーカーさんです。

TSでは、Sに比べて、トップエンドの回転数が落ちていますので、回転数をヨコ軸にして みた限りだと、Sよりも「トルク重視」で作られているように見えます。
しかし、消費電流をヨコ軸にしてみると評価はガラリと変わります。
同じ消費電流では、実はSよりもトルクが「細い」のです。
特に、50A以下の消費電流領域でこの傾向が顕著です。 しかし、考えてみると、23Tモーターで50A以下の領域なんて、スタート時しか使わないんですよね、普通。 しかも、JMRCAの予選はスタッガースタートなので、ゆっくり加速できます。切り捨てて考えてもいい部分なんですね、きっと。


トルクに関して、エコーさんのモーターで面白いのは、トルクが回転数に応じてリニアになっていなくて、 「低回転域でより厚く、高回転域ではより細く」というふうに、トルクカーブが「波打っている」点です。 アルティメイトSでもその傾向がややありましたが、TSではその傾向が一段と強調されています。 どうやってこんなトルクカーブを「作って」るんでしょうね。すごいです。 実際の走行場面を考えれば、立ち上がりのピックアップが鋭くなるので「握りすぎ」が減って結果的に燃費が良くなるでしょうし、 中〜高回転域を使う高速コーナーでは、入力電流の変化に対するトルク変化が少ないことがマイルドなスロットル反応を生み、どちらをみても「運転しやすい」 モーターになっているのではないかと想像がつきます。

<ヨコモT−MAX>


(実線はヨコモT−MAX、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)



(実線はヨコモT−MAX、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)


<ヨコモT−MAX R>

T-Max Rはレイダウンブラシを採用しています。価格も200円高いのでその分、性能に期待しちゃうのですが、どうなんでしょう?


(実線はヨコモT−MAX R、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)



(実線はヨコモT−MAX R、点線は
タミヤ・スーパーストック・タイプT基準データ)


<HPI・スーパーストック23タイプE>
<オリオン・スピードデーモン23T>



(実線はHPI・スーパーストック23タイプE、点線はタミヤ・タイプT基準データ)


昨年計測した、2000年型の「HPIスーパーストック23T」との違いがどの程度あるのか?というのも興味あるところです。 比べてみましたので見てください。

(実線はHPI・スーパーストック23タイプE、点線は同・2000年タイプ(その17のデータ))



(実線はHPI・スーパーストック23タイプE、点線は同・2000年タイプ(その17のデータ))

ひと目見て、回転数の伸びが段違いなのが分かります。が、下段の消費電流のグラフを見ると、 全域でタイプEのほうが効率が高い反面、トルクは細っていることに気がつきます。 恐らく、進角やブラシテンションで回転数を上げる方向にチューニングし直した結果と思われます。 (進角については後日現物で確認します)。ただ、ブラシやマグネットが改良された結果として、 総合的な性能は新しいタイプEのほうが圧倒的に良くなっています。タイプ「E」なんて、いかにも 燃費よさそうなネーミングではありますが、実際にも、タイプEは「その17〜19」で調査した すべての23Tのなかで、最高効率では最も良い「75.6%」というデータをたたき出しています。 ちなみに、次に示す「スピードデーモン」の最高効率もタイプEと同じ「75.6%」でした。 モノが同じなんだから当たり前といえばそうなんですが、回転数などにかなり差異があっただけに、意外でした。

さて今度は、タイプEと兄弟商品にあたる「スピードデーモン」を見てみましょう。
基本的には同等のスペックを示すはずなんですが・・・。


(実線はオリオン・スピードデーモン23T、点線はタミヤ・タイプT基準データ)



(実線はオリオン・スピードデーモン23T、点線はHPI・スーパーストック23タイプE)


ちなみに、ヨコ軸を電流値で表したグラフでは、こうなります。


(実線はHPI・スーパーストック23タイプE、点線はタミヤ・タイプT基準データ)



(実線はオリオン・スピードデーモン23T、点線はタミヤ・タイプT基準データ)



(実線はオリオン・スピードデーモン23T、点線はHPI・スーパーストック23タイプE)

こうしてみると、トルクは同等ながら、回転数やトルクに同等品にしては割と幅があるなあ、 という印象をもちます。これが、製品のバラつきなのか、計即時の誤差なのか、これだけでは分かりません。 計測の時間が十分に持てなかったので、後日、改めてテストを行い、そこでの計測のバラツキも考慮に入れながら 結論を導きたいと思います。今はまだなんとも言えませんね。

<おわりに>



(おわり)

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