<その22:スポチュンを極めろ!〜その3> <実際にレースで使ってみると> 「スポチュンを極めろ!」シリーズ第3回は、いよいよ実践編です。 今回は、「その21」で事前に調査した個体の中から、 ごくごく標準的なスペックの「0110C」を、 2002年3月24日に浅草・ROX3で開催されたタミヤGP・ラリークラスに投入し、 レース後に再度ダイノテストして変化を探ってみました。 今回のモーターの使用条件を簡単にメモしておきます。 (コース)ROX3特設カーペット路面(2分の走行で9〜10周=ラップタイムは13秒前後) (参加クラス)ラリークラス<マシン重量とジャンプの関係でやや負荷が大きめ> (シャシー)TB-01バスタブ・長足仕様 (シャシー重量)約1650g(超重いのはTB-01バスタブの宿命のようです) (バッテリー)RC2400SP (タイヤ)ラリーブロック (ギヤ比)6.356=ピニオン36/スパー88(04モジュール) (天気)曇り (気温)18度前後 (その他)アルミモーターマウント、標準装備のヒートシンク装着 ざっとこんな状況で練習走行から予選〜決勝の4パック(計、約12分間)を走行しました。 各ヒート後に温度計測も行いましたが、マーシャル終了後に計測して予選・決勝通じて38〜40度だったので、 恐らく走行直後は最高50度くらいまで上がったと思われますが、思ったより熱くならず、 決勝はともかく、予選ではもう少しピニオンを上げても良かったかなあ、という感じでした。 さて、その「使用後」のブラシとコミュの様子をみたものが、右の写真です。 箱から下ろしてからまだ1度も洗浄をかけていませんが、測定条件が変わらないように、 軸受け用オイルもコミュドロップも一切使用していないので、 コミュ回りは非常に綺麗な状態を維持しています。 スポチュンはブラシが「W」の形になっているので、このような筋が両脇と真ん中に3本入っていると 考えてください。筋の幅は1mmくらいでしょうか。写真では色味が分かりずらいですが、 見たところ、コミュの焼けはほとんどありません。気温が低めだったのが良かったのかも。 また、よく見ると、ブラシの両端(回転方向の)はまだ完全にはコミュと接触していません。 通常のブラシ交換式モーターならば、「まだナラシ不完全」といわれそうな状態です。 (実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照)) <分析と考察> ダイノデータで使用前と使用後を比較すると、「使用後」は最大トルクこそほとんど変わっていませんが (175.3Nmm→173.5Nmm)、ピークパワーは5.1%低下し(96.4W→91.5W)、無負荷回転数が伸び (20,790rpm→21,440rpm)、全体としてフラットな特性になっています。 これはスポチュンだけの傾向ではなくて、ブラシが交換できないタイプのモーターの典型的な傾向です。 ブラシの磨耗でスプリングテンションが下がっていくことと、ブラシの接触面積が広がることからくる 特性変化としては十分理解の範囲内の変化です。 ところで、このダイノデータ、ピークパワーだけを見ると、 なんだか「結局、実際の使用場面では0110Cも9812Aと同水準のパワーじゃん」と 思われそうです。確かにそうなんですが、「常用回転域」としてRCTが便宜的に設定している 「消費電流10〜30Aの平均値(グラフ下の表最下段)」でみると、 「使用前」75.9W→「使用後」75.3Wとほとんど変わっていません。 ピークパワーは、消費電流30A付近の中回転域で得られますが、この近辺は効率低下が顕著です。 しかし逆に、負荷(=消費電流)の低い高回転域では効率はアップしています。この一連の変化も、 コミュが減り、接触面積が変化したことの影響なのではないかと考えられます。 (いちばん下の、消費電流をヨコ軸に取ったグラフを見ると分かりやすいです) なお、 9812Aのトルクは170.8Nmmでしたから、使用後においても0110Cのほうが太いトルクを維持しています。 ま、微々たる違いなので「同じ」といえば同じですけどね。 このへんは今後サンプル数を増やして検証を重ねたいと思います。タミヤF1グランプリでもスポチュンが 標準採用になって、今後もしばらくスポチュンのデータ取りにはこと欠かない状況が 続きそうですから・・・。 (実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照)) (実線は使用後、点線は3.6V電源で無負荷5分間空転ナラシ後=使用前の同一モーターのデータ(その21参照)) (おわり) |