TA05シリーズの第1弾は「フェラーリF430」(Item 58345)です。定価1万6800円ですが、 意外にお買い得だと思います。 従来ならopt設定されそうなクオリティのグラス繊維強化樹脂シャシー、 フルベアリング(ステアワイパーの850×4除く)、 スチール製ですがロッド類は全部ターンバックル 、アルミモーターマウント 、タミグラ(ユーロスポーツクラスやカーペットコース等)でもストリートでも問題なく使える sp.1023「ミディアムナローレーシングラジアル」 (定価550円×2)、そして、最初から 軽量仕様でバリバリにタミグラで使えるF430ボディ 、そして「フェラーリ税(=版権、推定1000円相当)」が込みでこの値段ですから、悪くはないと筆者は考えます。 モーターもジョンソンが付いてきたし(一応)、開封と同時に捨てることになるプレーンメタル軸受けや使い道のないナローのスリックなどが なくなり、「タミグラ専用」と割り切った商品企画は悪くないと思います。 | |
ただし、そこんところを勘違いして違うことを期待して買ってしまった方には、ちょっと勝手が違うぞ、と
戸惑いを感じられるかも知れませんね。一般的なオープンレースでは間違いなくTRF415のほうがワンランク上の走りを実現
できます。TA05をフルopt化しても、コストばかりかさんで、性能は同じには絶対なりませんからー! ところでTA05シリーズでは、当初からシャシーとボディが完全に分離された取り扱いになりました。 これは2001年暮れに発売の「フェラーリF2001(F201シャシーの第1弾)」から鮮明化したもので、 このItem58345キットでも、取り説は「シャシーだけ」で、ボディはボディパーツセット用の取り説が付属しています。 おまけに、ウイングだけがまた別の取り説に(笑)。確かに、これなら別のウイングを簡単に同梱できて良いですけどね。 |
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さて今回は、Evo3/4などと同様に、目玉になる新規パーツがいくつかあるので、組み立て前のバラパーツもある程度ご紹介していきます。
最大の注目点はまずこのメインシャシーでしょう。入門〜中級キットで一般的なバスタブタイプの樹脂モールド品ですが、
タミヤキットの伝統だったABS樹脂またはポリカーボネート樹脂の代わりに「PA-GF(グラス繊維混入ポリアミド[=ナイロン]樹脂)」
を採用しました。狙いはズバリ、剛性アップです。これによりアッパーデッキを廃止し、メンテが一段と簡単になりました。
ダブルデッキの組み立てにありがちな、ネジの締め方によるシャシーの歪みも起こりません。 実際にヒネってみると、ピッチング方向には補強リブが効いてビクともしないくらい頑丈ですが、ロール方向には適度にヨレていい感じです。 TB-02のフニャフニャなバスタブほどではなく程よくヨレます。 |
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ただ、もっと剛性感が欲しい向きや軽量化ニーズもあろうかと思いますから、カーボン繊維強化樹脂バスタブも欲しいところです。まぁこのへんは
今後のopt展開で2年後くらいに出てくるのかも知れませんね。焦って出して欲しいというほどの必要性はないです
(・・・て言ってたら、1年足らずで出てきちゃいましたネ<汗>)。 モーター回りはTRF415同様のザグり処理で重心を若干下げ、クーリングホールを設けて冷却風を導入しようと考えられています。 ただ、「ガンダム」のプラモデルじゃないんですが、「キット標準状態ではモールドが甘い」ので、このあたりはリューターで加工することにより チューンアップの余地があります。タミヤGPでもバスタブシャシーに関しては穴開けなどの加工OKですのでリューター加工しても 大丈夫です。具体的な加工は後述します。 |
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導風ダクトはモーター部だけでなくバッテリースロットにも設けられています。 GPはともかく、インテレクトではオーバークールを心配するほどなので、この設計は、いまやタミヤGPでしか使い道のない サンヨー製セル以外にはあんまり意味ないような気もするんですが・・・。 まぁこのへんは「ファッション」と割り切ってあまり深く考えないほうがいいかも(苦笑)。 | |
モーターマウント。表面はサンドブラスト処理で、従来のダイキャスト部品とは一味違う、高い品質感を演出。
このまま飾っておきたくなる?くらいの芸術的なパーツです。
先の1/48MMシリーズのダイキャストシャシーの話じゃないですが、設計者の方、きっと社長に「凝り過ぎだ」と
お小言頂戴したんじゃないでしょうか・・・(苦笑)。 なぜ表面処理?と思ったのですが、そういえばこのパーツ、 ダイキャストにありがちな型の継ぎ目の大きなバリが一切ありません。 この複雑な形状から察するに、砂の鋳型で作ったとも思えません。ところでタミヤではM-01/02やTA03で金型を使った 溶融射出成型のアルミパーツの実績があります。そういうことからすると、金型を使って成型したんじゃないかと。 そして、バスタブシャシーとの擦り合わせを良くするため、継ぎ目を消すのにサンドブラスト加工を要したと。そんな推論をしてみました。 |
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後日、06年秋のホビーショーでこのあたりのことを聞く機会がありましたが、概ね当たっていたようです。
当初のコメントで書いてた「焼結合金」じゃなくて溶融射出成型だそうですけど。コストアップ要因でしかない
サンドブラスト処理の意味がようやく判明して安堵。放熱性アップの意図は特にないそうで。 ともあれ、筆者はすご〜くこの造形が気に入りました! ヒマがあれば バフがけすればひと味違う仕上げもクラフトマン的には楽しめそうです。ラップタイムには関係ないんですが(笑) 精度的には問題なく、はめ込みのタイトなバスタブシャシーにも、きちんと合わせればスポッと入ります。人によっては 「はめ込みがキツい」という声も出そうですが、正しく合わせれば自重で入っていくくらいのクリアランスは確保されています。「叩いて挿入」 とかの必要はありません。 |
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軽い力で入っていかない場合は、部品合わせのやり方に問題があると思ったほうが良いです。
筆者も確かに、いい加減に仮組みした際には挿入が難しかったですから。ちゃんと垂直に挿入しましょう。
モーターマウント周辺を安易にガタ増やされると、せっかくのシャシー剛性が台無しになるので、クリアランスはこのくらいがベストだと思います。
肝心な部品に妥協は良くないです。あとは組み立てる側の問題でしょう。 比較的良い材料を使っているようなので、重量はダイキャストとしてはまぁまぁで、過度に重くはないですが、 それでも23gもありますので軽量化の余地はかなりあります。 できればoptでマグネシウム製で重量半分!みたいなマウントを定価3000円未満で出して欲しかったんですが、 06年6月末に出てきたアルミモーターマウント(op.920)は実に税込み5250円! たまげました(苦笑)。まぁアルミ塊から あの形をモロに削り出したら、そのくらいの値段でしょうけど・・・。カツカツモデルじゃないんだから、 作り方考えてコストダウンしたら良かったのに。 |
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キット標準のスパーギヤは06モジュールの70T(sp.1215)です。04モジュールの対応ギヤは近日発売予定のop.857
「04GPスパーギヤ」で、これは105Tです。キット標準では06モジュールの22Tピニオンが付き、これで7.16のギヤ比を得ています。タミヤGPでも
入門クラスのギビナーズ、N1、GTスポーツなどではこのギヤ比が指定になります。上位クラスは70Tスパーに24Tピニオン、
または105Tスパーに36Tピニオンで6.56が指定です。 ちなみにセンタープーリーは16T、デフプーリーは36Tなので2次減速比は2.250です。TRF415と比べると、センタープーリーは同じ16Tですが デフプーリーが35Tでしたので1枚増えてます。TA04/TRF414は15T/32Tでした。TA05は415とベルト歯のサイズは共通ですが、 415用やTA04系よりプーリーサイズがアップしています。デフプレートはTA04/TRF414/415系と共通(sp.880)です。 プーリーサイズのアップでベルトの曲率を減らし、プーリーの駆動ロスをTA04系に対し改善しています。415に対してプーリー歯数を1コマだけ増やして 偶数に変更したのは、「06年のISTCで世界戦仕様415に投入する必殺の隠しダマ」として、 歯数を半分に減らした op.935「ワイドピッチデフプーリー」の企画があったためでしょう。TA05の発売当初にはまったく知る由もなかった話ですが。 |
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このデフプーリー(sp.1212)、ポリアセタール(POM)樹脂製で耐久性は高そうで、ほとんど一生モノとして使えそうな割には安くていいですね。
実は、TA04で採用されていた、コスト高なスライド金型成型ではなく、
TRF415と同じく、通常金型による「組み立て式」で
コストを抑えています。白くて見にくいので、パッと見ると一体成型っぽく見えるんですが、実は片側が超音波融着されています。
実は、415のプーリー(組立式)は、415の設計で技術提携したテックのMY-02のプーリーそのものだったそうです。 「自分で組めよー!」という、タミヤ的にはいかにも不親切な仕様でしたが、仕方がなかったと。 TA05の設計に際しては、プーリーはタミヤ独自で設計したので、当然のように組み立て済み仕様になったと。 その際、将来415へフィードバックすることを狙って、歯数の偶数化やサイズアップによる一層のローフリクション化を 織り込んだわけですね。プーリーに関しては、TA05のほうが415よりも最先端パーツを先に採用した格好になったわけですが、 共通パーツですから、単に発売タイミングのアヤでそうなった、ということなのでしょう。 |
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サスアームはTRF414/TA04を継承しているわけですが、金型はレーシングスタビ対応の2002年型です。ランナーに「2002 TAMIYA」と
刻印されているタイプです。414WCR以降に採用されたもので、414WCR以降の04足の標準となっています。ただし成型用の素材には非常に多くの
バリエーションが存在し、414WCR用のものが最もカーボン繊維の混入率が高く、その後optとして販売されたサスアームはやや少なめの
カーボン繊維量で、その他にもノーマルのナイロン樹脂製や今回のバージョンがあります。
ナニ?今回のバージョン? と思いましたか? そうなんです。どうもこのサスアームの素材、フィラーが入ってるみたいなんです。 たぶんガラス繊維だと思うんですけど、ちょっとだけ。オリジナルのsp.系統の04サスアームにはもちろんフィラーなんて入っていません。 |
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もしかしたら、「予告なき改良」ってヤツかも知れないんですが、気になりますよね。あ、良くなったんなら、気にすることじゃないか!?(笑) 余談ですが、TA04SS用サスアームへの交換もボルトオンで簡単にできますから、 容易にホイールベースを10mm短縮してMR-Sボディを搭載できます。 タミヤGPでも05年7月の追加規定で公式にOKになりました!ただしMR-S/アウディTTボディが条件です。 試してみないと、このモディファイがいいか悪いかは判断付きませんので念のため。 なお、単にサスアーム交換しただけだと、前が-3mm、後ろが-7mm詰まるわけですが、サスアームのスペーサー調整で 別途2〜3mmの前後位置の調整ができるので、TA04の時よりは重心設定には幅があります。 |
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デフジョイント(S部品)は今回TB-02用とは別に新しく起こされた新金型です。デフプレートは TRF414/TA04/TRF415と共通のsp.880です。TB系のデフプレートとはサイズが違うので、新たに型を起こしたのでしょう。 使用素材はTB-02用と同じ、射出成型グレードのPOM樹脂なんですが、デフとしての出来は格段に良くなっています。 素組みのままでも、かなりマトモなデフとして使えますが、下記の「デフプレート磨き」をやれば、もうoptの高精度デフジョイント なんて無理して買う必要ないくらいです。 | |
デフプレート磨きに必要なのは耐水ペーパーだけ。1000番があればコレ1種類でとりあえずOKです。コダわる人は800番から始めて1500番くらいまで 3段研ぎをやって、さらにコンパウンドで仕上げ、みたいなコトをするかも知れませんが、そこまで鏡面仕上げにコダわる必要はありません。 どうせ1回走れば擦れちゃうんですからー! | |
写真はあくまで「イメージ」です。実際にはここに水と石鹸(少々)をつけます。石鹸でなく洗剤でももちろんOKです。
要するに界面活性剤で削りカスを遊離させれば目詰まりしにくいですよ、という話です。逆に言えば「空研ぎ」もアリです。
できる限り水平で平滑な面で研ぎましょう。 ただですね、ここまで説明しといて言うのも何なんですが、このTA05同梱のデフプレートって、やけに表面が鏡面に仕上がって いる素材を使っているんですよね。 ・・・てことは、ぶっちゃけ、特に「磨き」のような面倒なことをやらずに素組みで作ってしまっても 十分イケてるデフに仕上がってしまうんではないかと思います。あんまり神経質にならなくても良さそうですので、 面倒なコトが嫌いな方は、過度に気にしないように!(笑) |
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さて次はアップライトのお話です。 実はTA05キットに同梱のリヤアップライトは、op.472「TA04トーインリアアップライト」の型を使い、 マテリアルをカーボン繊維混入ナイロンから通常のナイロン樹脂にスペックダウンしたモノです。 実はTA05以前に作られたことはない「ニューパーツ」(部品番号0004374、500円)。 ・・・なので、買い換えるとしたら素直に考えるとop.472なんですが、 チョット待て、せっかくならop.428のハードリヤアップライト、ないしsp.869「TA04 E部品(リヤアップライト)」にして リヤアップライトのトーインを1度に減らし、サスブロックでトーインを付けたほうがベターなような気がします。 こちらの議論では「そんなのあり得ない」という ことになってるんですが、TRFも実践してることだし、ん〜、あとはご自身で感じて判断してください。 |
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フロントもややそうなんですが、リヤのアップライトにはかなり目立つバリがありますので前加工が必要です。 さすがにTRF414/TA04用だけでなくEvo3キット標準やTB-02のopt用も含めて3〜4年のうちに3〜5万個(RCT推定)も作れば、 バリも出てこようってもんですよね。ちなみに出たての頃にストックしてあった初期ロットのパーツを持ち出して比較すると、 金型の経年劣化は一目瞭然でした。 ニューパーツとして出たての頃は、金型の合わせもバッチリで場所によっては金型の合わせ目も見えなかったほどでしたが、 いまではクッキリと浮き出ています。まぁこのへんはある程度仕方ないですよね。素直にカッターで削りましょう。 | |
ピンの抜きバリが出ている反対側には外周部にバリが。もちろんカッターで落としておかないとサスの作動が渋くなりますので要注意。
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ジョンソンモーターが付属していました。TA04の時も確かそうだったような・・・。でもってホーネットやSファイターGでは
しっかり540SHでしたし・・・。F1ブームのときのF1キットはランダムな同梱でしたが、やっぱりキットの種類によって「優遇」
されてるんでしょうか・・・。ともあれTA05の初期ロットは「当たり」ということで皆様おめでとうございます(笑) ちなみに筆者のロットは"8E0523-33"でした |
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キット付属の標準工具なんですが、3mmビス用六角レンチ(2.5mm径Lサイズ)が長い長い!もちろんモーターマウントのモーター取り付けビスを バッテリー側のバスタブをまたいで組み付けるために必要な長さなんですが、なくすと代わりがないので大事にしませう。 専用工具を買えばいいんですけどね。標準工具でもこうした特別サイズはバラ売りしてませんからね。最悪、カスタマーから部品袋詰めごと 入手、というテはありますが。 | |
Item58345「フェラーリF430」の場合、キット同梱のタイヤはMナローラジアル(sp.1023)です。タミヤGPのユーロスポーツクラスで使用するヤツです。
カーペット路面ではブロック摩滅で反応が敏感に変わるくらい相性の良いコンパウンドですし、どんな路面にもそこそこの
パフォーマンスを発揮する良いタイヤですので、遊び用としていろいろ使えるはずです。 なお、タミヤGPでは付属インナーは「無改造で使用」が義務付けられ、場合によっては後車検でタイヤを切ってインナーチェックも行われます ので「タミグラ初心者」の方は注意しましょう。「無改造」というのは、スポンジの肩を切り落として成型したりすることを指しています。 タミヤGPでの使用を考慮していないなら、スポンジの肩は3mm程度の幅で切り落としたほうが、タイヤショルダーの張りが適度になって良いでしょう。 |