RC Car Trend Vol.13──────────────────── 99/8/31
〜 Contents 〜
1.レースレポート:タミヤGP第8回全日本選手権東京大会(N1クラス)
2.TOPな人々(その6)
3.遂に公開! M−04Lパーフェクト(なわけないじゃん)・ガイド
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1.レースレポート:'99タミヤGP第8回全日本選手権東京大会(N1クラス)
by 松田龍太
(編集長より)みなさんこんにちは。今回、タミヤGP東京大会でN1クラスを制し、
見事に世界戦代表権を獲得されたチームAORcの松田龍太さんのレースレポートを
掲載できる運びとなりました。なお、このレースの模様は
RCT−TV
にてご覧いただけますので、
当日の熱気をぜひともプレイバックしてみてください!
<登場する各種キャラの説明>
予選121人中 3位(レース5回目の僕は予想外の好成績に有頂天)
決勝 10人中10位(デフが緩んでマシンはクルクル回ってた)
ラジコンやっててこれほど惨めな思いをした事はなかった。
この日僕は心に決めた
「来年は絶対勝ってやる」と
既にかなりの数の車が走っていた。小冊子には13:00からと書いてあったが、
僕の予想どうり12:00頃から練習走行は始まっていたそうだ。
前日までに晴海でカーペットに対するセッティングはかなり決まっていたので、
今日のテーマは
まずはコースに馴れる事が優先なので前日の晴海セットのまま走行1パック目
ストレートが長くピニオンは大き目が良さそうだな?
あれれ??立ち上がりが異常に遅いぞ!
ピットに戻ると、しじぃさんが居た。
僕「凄く立ち上がりが遅いんだけどピニオン小さくしようかな?」
しじぃさん「でも松田くんの車ストレート遅いよ、それと挙動がクイック過ぎるから・・・」とアドバイスをうける。
2パック目、挙動はさっきよりマイルドになって扱いやすくなったが相変わらず立ち上がりが異常に遅い!
ストレート後半でやっと加速するぞ。M04Lに立ち上がり負けてる(;_;)
ピットに戻り師匠より
「松田さんの車コーナーの立ち上がりからずーっとホイールスピンしてますよ」
「マジ?そんなばかな?540だぜ!」
しばらく原因を考えて1つ思いついた。
昨日晴海で最近買ったアンプの設定をいじってみた、プリセットを変えながらそれぞれの特性を確かめたのだ。
現在は一番気に入った立ち上がりドッカンパワープリセットにしてある。
そこで立ち上がりモケモケだったプリセットにして3パック目、
おお!やっとまともに立ち上がる!「T-BARタイム計って〜」いよいよテスト開始!
明日のレースはF1やミニも有るのでコース上は速度の違う車が入り乱れてのチキチキモード全開バトルである。
(誰もラインを譲るなんて事はしない)
2分間(3分だっけ?)の練習走行時間に毎回1箇所セッティングを変えて最初の1分はタイムアタックモード、
残りはN1勝ち残りに必須の乱取り稽古を計13回こなす。
ピニオンはベストラップの出た23T、前走車を交わしやすい21T、間の特性の22Tの三択だが明日決めることする。
どのピニオンも11秒台が出せたので2分間の予選で11周回れるハズだ!
帰宅後は放電(13本)しながら新車にメカ&オプションパーツ等を移植、結局2:00までかかった。
8/8(日)タミヤGP本番
4:00に目覚ましをセットしたが結局起きたのは5:00だった。
やばい!充電間に合わないぞ〜(練習用&追充用バッテリーは前夜に充電済み)
家を出る前に2本充電できたが後の1本は車で充電する。
6:00 車にて近所の小学生をピックアップ
6:40 Rox到着、既に長い列が出来ていた。
7:00 開場、テーブルを広げる
まずは車検だ、過去にモーターチェックで落とされたり車重が足りなかったりと当日あたふたした経験から
車検を通らないと安心できない。
練習走行用タイヤを付け早めに車検を済ませる。(余りにあっさり通って拍子抜けした)
練習走行では23Tピニオン+昨夜思いついたセットを1箇所を変更してする事にした。
8:40 N1の練習走行時間
AORcの浦野さんと未明さんと一緒に練習走行をする。
亀の子になってしまった僕の車を起こしてくれた未明さんの車に半周後思い切りブチ当ててしまう。
知らない車に比べ、知り合いの車を抜くのが難しい。
サッと抜けばいいのに当たらないようにと一瞬躊躇してしまいかえってぶつかってしまうのだ。
このピニオンでは他車を交わしにくいので予選一回目は22Tで行くことにした。
予選組み合わせが発表された。
僕は24ヒート目一緒の組に知ってる名前がないのでホッとする。
23ヒート目にはAORcの浦野さんと未明さんがお約束のように揃ってるではないか、
でも僕の前組じゃ見れない。
マシンをチェックしていると左右のダンパーの堅さが随分と違う。
(前夜時間が無かったので1週間前に組んだままだった)
予選までかなり時間があるので4個とも組み直すことにした。
手がヌルヌルなのでT-BARにタイヤを予選用に交換するよう指示する。
ダンパーの空気が抜けるまでの間操縦台の横に立って赤から青にランプが変わるタイミングを体に覚え込ます。
10:30 予選一回目
ゼッケン9の僕は後列スタートである
練習の成果のロケットスタートを決め1コーナーまでに先頭に出る。
マシンの挙動は最高だ!
後は、無理をせずにラップを重ねるつもりがバトル中の2台を交わし損ねて
(1台抜いてその前の車にぶつかってしまった)
コースサイドにスタックしてしまいマーシャルが素早く直してくれたが3秒位ロスしたはずだ。
10周目2分が近づいてきた。
アナウンス「あと5秒、4秒、3秒、2秒・・・」
この間最後のコーナー3つを祈るような思いで駆け抜ける僕のマシン
心の中は「絶対、11周いれてやる」だ。
「1秒!ゼロ!」ゼロの声の0,2秒後コントロールラインを通過、
目の前にマシン回収のオフィシャルが飛び出してきたが、
僕「邪魔!!」叫びながらオフィシャルを避けてもう1周回る。
コントロールラインを通過したとたん、
アナウンス「なんと松田選手11周だ!」
今までの経験上時間ぎりぎりの場合はもう1周回るのが安全だ。
危うく10周で終わってしまう所だった。
予選一回目の結果発表。
暫定ポール、11周回ったのは僕だけだった。
当初2回目の予選のピニオンはベストラップの出た23Tを使う予定だったが、
とりあえず暫定ポールも取ったことだし、決勝に向けてタイムの出方を探るため、
立ち上がり重視の21Tにする事にした。
12:30 予選二回目
今度は前列スタートである。
完璧なスタートを決めそのまま今度は2分の2秒前に11周目に突入。
僕の予想に反して一回目よりもさらに2秒ほどタイムが縮まった。
予選結果発表 ポールポジション獲得。
僕の予想では3台位は11周入ると思ったが結局僕だけだった。
決勝は23Tピニオンを使う予定だったが予選二回目で23Tを使わなかった為不安なので、
予選一回目と同じ22Tを使う事にする。
此処でAORcのみんなにお願いに回る。
「絶対に優勝して静岡に行きたんで専属マーシャルお願いしたいんですけど・・・」
彼らは快く引き受けてくれた。
1週間前に晴海でしじぃさんに言われた
「レース結果はグリッドについた時に決まっている」
その時は漠然としか理解できなかったが今はハッキリと分かる。
マシンの戦闘力、腕、コースに対する理解力、集中力、整備等の多数のパラメーターが
レースで勝つ為には必要なのだ。
今の僕は3回決勝なら絶対に優勝する自信がある。
しかし決勝は1回限りだ、どんなハプニングがあるか分からない。
多数の専属マーシャルまでいる僕は、出来る限りの不安要素を無くして決勝を迎える事ができた・・・ハズだった。
「なんじゃこりゃ〜!」絶叫がROXにこだまする。
決勝用のタイヤに交換しているとき大変な事実が判明する。
何と左前後2mmオフセット、右前後4mmオフセットのタイヤが付いてた。
フロント2mmオフセットでリア4mmオフセットが正しいTA03Rトレッドだ。
T-BARが付けたタイヤを確認しなかった僕の落ち度だが、まさかこんな事が有ろうとは・・・。
さて、どうしよう?
予選はこの組み合わせで良く走っていたのだからこのままの左右オフセット違いで行きたい。
でも決勝前の相互車検でポールのマシンはみんながジロジロ見るから問題になるだろうな〜。
結局フロント2mmオフセット、リア4mmオフセットの新品タイヤを付けて決勝に挑むことにする。
果たして挙動はどうか?不安だ。
15:30 決勝Bメインの頃操縦台裏にて相互車検
Aメイン出場のマシンが床に並べられる。
去年はこれが参った。
ドキドキしながら自分の気に入った場所の後ろに並んでいたらいきなり
「相互車検はじめますのでマシンを並べてくださーい」
何の事やら分からずボディーを外してマシンを並べ沈黙の相互車検約3分、
終わってからボディーピンをはめてる間に場所をとられてオロオロしたが、今年は2回目だ。
T-BARに操縦台の場所取りをしてもらいつつの相互車検、去年と同じく誰も何も言わない。
緊張した空気が張りつめる。
30秒後、僕「いつまでやればいいの?」
オフィシャル「問題なければレース始めまーす」
決勝
いつも思うがポールポジションは気持ちが良い。
自分さえミスらなければ必ずトップで1コーナーを回れるのだから。
スタートをビシッと決める。後ろはガチャガチャやってる。
こうなりゃ全車ラップしちゃる!
インフィールドに入ったところで、
「あれ?曲がらない?予選より初期が全然なくてプッシングアンダーがひどいぞ」
2、3周マシンの挙動に馴れるべく慎重なドライビングを重ねる。
見る見るうちにカーナンバー2番が追いついてきた。
アナウンス「カーナンバー2番、速い!10秒7を叩き出した!」
僕も挙動になれてきたのでペースを上げる。
アナウンス「おっと、松田選手もベストラップ更新!11秒1だ」
おいおいマジかよ!0.4秒も後ろが速えーじゃんか
今のマシンの挙動はインに張り付けないのでバックマーカーをラップしにくい。
幸いにもAメインには知っている人が数名出ていた
僕は「**さんラップするからあけて〜!」と叫びながら1台づつかわしていく
それでもカーナンバー2番との距離が徐々に詰まってきた。
N1名物、激しいバトルの始まり
15周目4コーナー無理矢理インにぶち込まれ僕のマシンが横に転がった!
1位を奪われた!でも一回転して戻ったからラッキー!
S字入り口でオーバーランした2番のインを奪って再びトップに躍り出た。
17周目2コーナー出口で今度はラインをクロスしてかわされた。
「やばいよ、このまま放されたら2度と追いつけない」
18周目3コーナー今度は僕が無理矢理インから仕掛ける。
「ボカン!」まずい、当ててしまった。
僕のマシンはあろうことか横向きに転んで止まっている!
2番は単に後ろ向きになっただけだ。
円を描いて前を向き、僕のマシンの右横をすり抜けて行く2番のはずだったが、
僕のマシンを助けに次のコーナーの方向からマーシャルが飛び出してきた!
慌てて左横を通り抜けようとした2番の目の前に、
「デン!」と僕のマシンが置かれた。
再び「ボカン!」僕のマシンはマリオカートみたいなロケットスタート!
2番はなんと横転して亀の子!
運命の女神は僕に爆笑してくれた。
その後2番はペースが極端に落ちた。
集中力が途切れたか、モーターが熱ダレしたか、マシンが壊れたのだろう。
僕はクールに走りつづけてファイナルラップ。
緊張でプロポを持つ手がガタガタ震える。
そしてチェッカー!
みんながおめでとうと迎えてくれる。
終わってみれば楽勝どころか運に助けられたレースだった。
ともあれ、1年間目指してきた世界戦東京代表権を獲得。
次の目標は世界チャンプだ!
――― 井上 勉(いのうえ つとむ) ―――
渋谷という場所柄なのか、TOPには初心者の方もたくさんいらっしゃいます。
コースの端から端へ、これでもかって言うくらいぶつかりながら走っているのをよく見かけます。
ものぐさな私は傍から見ているだけなのですが、対照的にとても面倒見のよい人がいます。
それがTOPのご意見番“ベンさん”こと井上 勉さんです。
TOPのご意見番(私が勝手に命名)と言うからにはそれなりの理由があります。
まずは走行している時間が一番長いんじゃないかと言うこと。
前回のほんだまんは居る時間が一番長いのですが、走行時間から言えばベンさんに軍配が上がります。
いつも大抵平日の昼間、いつ仕事してるんだと突っ込みたくなりますが、仕事は夜が多いそうです。
昼間ラジコンして夜仕事なんてタフですね。一日中ボーっとしてる自分が情けない!
爪の垢でも煎じて飲もうかな。
平日の昼間って以外と初心者が来るんです。やっぱり空いている時間を狙って走りたいんですかね。
そんな初心者をほうって置けないのか、ベンさんはよくセッティングを見てあげたりしています。
私なんか自分が走るので手いっぱいですから、あんまり人のこと気にかける余裕ないんですが・・・。
(常連失格!でも聞かれたらできる限りお答えしますから、どんどん質問してくださいね)
ある日のこと、TOPにいたのはベンさん、私、初心者の外国人だけ。
ベンさんやっぱり面倒見がよくて外国の方までアドバイスしていたのですが、
時々英語がわからなくなると私のところに聞きにくるんですが、
私だって英語なんて片言ですから二人して身振り手振りの応対です。
そんなこんなでデイタイム終了時間、ベンさん仕事に行くんで荷物まとめて出口に向かいながら
「あとはよろしく」って・・・。残されたのは私と例の外国人、ワタシハドウシタライイノ・・・。
渋谷の空に春の風が吹いていきました。
もうひとつ、べんさんはタミヤから新しいシャシーやパーツが出ると必ずと言って良いほどテストします。
発売日の翌日に走っているなんてのもよくあることですね。
キット標準状態から少しづつに詰めていきますから、ファーストインプレッションは信頼性があります。
ショップのスタッフも参考にしてるんじゃないでしょうかね、私はとても信頼しています。
先日M−03が発売されたとき、私はムキなって早組みしてTOPに持って行きました。
ベンさんより「速かった」あの充実感と言ったら感無量ってやつですね。
そんな速さで勝負してどうする!
さてさてドライビングのほうですが、前述したようにキットは一通り買いますから
割とマルチな楽しみ方をしています、今はM−03とルマンカーあたり。
しかしベンさんと言えばミニクーパーでしょうか。本誌・伊藤もミニに関してはうるさいですが、
ベンさんも負けていません。
97年あたりはベンさんのM−01について行ければ一人前とさえ言われたほどです(誰か言ったか?)。
M−03が発売されてから、しばらくはセットで悩んでいたみたいですが、
このところさすがに好調に走っています。専用スタビライザーが発売になる前に
TL−01のパーツを流用して使っていたり、なかなかアイデアマンな一面も覗かせていましたね。
ちょっとセットを教えてもらおうかな。
全国のサーキット初心者の皆さん!こんな方もいらっしゃいますから
一度TOPに訪れてみてはいかがですか?
最後にオマケのコーナー。
既にご覧になった方も多いと思いますが、
「
ふぇら〜り伊藤のM−04製作記」がホームページにアップされています。
ちなみに、筆者はこのM−04Lを駆り、栃木は本田技術研究所で開催された「タミヤGPイン宇都宮」で
4位スタート、25周レースのうち20周あまりにわたって2位争いを繰り広げたあげく、最後の最後で
周回遅れとの絡みがたたり、3位にとどまりましたが表彰台ゲットしました。
本当は優勝!・・・と言いたかったところですが、エントリーの経緯やらタイヤチョイスなどで
いろいろ事情があり、状況からすると文句ないデキでした。
優勝車ともほぼ半周差ですから5秒程度(ワンミスでひっくり返る)しか差がなかったはずです。
このあたりについては、改めて「製作記」の続編に記すことになるでしょう。
ともあれ、現時点で言えることは、「悪いことは言いませんからM−04Mにコンバートしましょう!」ということ。
とにかく、ツーリング用タイヤを使うM−04Lでは車高が下がりません。
これは致命的な欠陥で、その結果、ストレートでの直進安定性に欠けますし、コーナリング限界も低次元です。
重心が高いのですから当然の帰結です。しかもハイサイドを頻繁に起こします。
これが、単純に60Dタイヤに履き替えるだけで、見違えるように安定しますから、
一度試してしまうと「ノーマルは何だったんだ?」と思うこと請け合いです。
ところが、現行のレギュレーションではタミヤレースへの参加は不可ですし、
もともとLシャシーはホイールベースが長過ぎてタイトターンには無理があります。
ほとんど「ナロートレッドの四駆ツーリング」状態ですから。せっかくのコンパクトさを活かすためにも、
ホイールベースは短いほうが良いので、「M−04M仕様にしましょう」というわけです。
これは取り説にも書いてあるとおり、単純にシャシーのスペーサーを取っ払ってしまえば済みます。
重心も若干リヤ側に移動するので、トラクションが上がり、一石二鳥です。
<5/20/00注>現在では、ツーリングタイヤサイズのファイバーモールドを履いたM−04Lでも
まともに走れるセットが出せることが判明しています。そのカギはサーボセーバー&ナックル回りの
加工による「バンプステアの解消」にあります。要するに、サーボセーバーのボールエンドをネジ込む部分、
およびナックル側のボールエンドネジ込み部の「出っ張り」をそれぞれ削り落としてやり、
サスが沈み込んでもトーインが強くならないようにすれば良いのです。
繰安性を考えると、バンプ時にト−アウトが出ても良いくらいですが、
とりあえずバンプしてトーインが出ないようになっていれば蛇行は収まります。
これさえやっておけば、リヤのアップライトにわざわざoptのトーイン付きを使わなくともちゃんと直進します。
アンダーパワーの540レースが多いMクラスでは、リヤのトーインによる転がり抵抗の影響は
大きいですから、直線スピードを稼ぐ意味でも有利なセットです。お試しあれ!
現在、M−04M(もともとはM−02Mとして発売)にフィットするのは、「ユーノス・ロードスター」と
「フィアットアバルト・ジュリアスプリント」の2種です。うちユーノスは既に絶版扱いですが、
流通在庫が時たま出るようで、まだまだ店頭で見かける機会もあります。あったらぜひゲットしましょう!
<5/20/00注>ユーノスは00年7月中旬にボディが限定再版されます。今度こそ見かけたら迷わずゲット!