RC Car Trend Vol.14──────────────────── 99/9/20
〜 Contents 〜
1.RCT「研究室BBS」Q&A特集
(1) シャシー研究室・F1/ルマン分会<F-103・TRF情報>
(2) シャシー研究室・M分会BBS<M-04のダンパーについて>
(3) アンプ研究室BBS<ノバック・ピットウィザードの効果を検証>
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1. RCT「研究室BBS」Q&A特集
(編集長より)みなさんこんにちは。RC Networkさんのご協力でリニューアルオープン
してからはや1ヶ月経過した「RCT学会BBS」シリーズ。既に「バッテリー研究室」
や「モーター研究室」は4000アクセスを突破するなど、大変好評を博しております。
これもひとえに参加者の方々のレベルの高さによるものと感謝しております。また、
難しいコメントに臆することなく、次々と新しい参加者が様々なレベルで質問や回答の
書き込みをしてくださっている点も大変ありがたく感じております。そこで、今回は
最近の書き込みのなかから、特に印象深く、記録性も高いと思われたQ&Aを厳選して
まだお読みでなかった方の目にも触れるよう、本誌上で特集を組んでみました。
これを機会に、BBSに足を運んでくださる方が一層増えることを期待しております。
<5/25/00 update>その後、BBSはRCTのドメインに移設されています。現在のリンク先は現行の
RCTドメインのものに修正済みです
(お断り)今回、BBSからの転載にあたっては、各執筆者の方々にお断りのご連絡は特に 実施しておりません。これは、「RCT学会BBS」への投稿をなさった段階で、RCT内での 転用をご承認いただいているとの判断によるものです。ただし、RCT本誌および同ホーム ページ以外の媒体への掲載に関して、RCTでは原著作権者以外による無断利用(ただし 直リンクは対象外ですのでご自由にどうぞ)は認めておりませんので、読者におかれまし ては、くれぐれもご留意願います。なお、今回の転載にあたっては、書き込み冒頭のあい さつなど、内容と直接関係ない部分について、一部カットしておりますので、あらかじめ ご了承ください。
はじめまして、HIDEと申します。
静岡タミヤサーキットをホームコースとして活動しています。
ホビーショウをひかえ、各社新製品が目白押しですがF103ユーザー待望?の F103 TRF−SPが12月に発売されるようです。
F103RXをベースにフルオプション化。なんとスプリングイモネジまで付くこだわりよう。
注目すべきはTRF仕様の専用パーツが5点程付加されるという点です。
その内訳は以下の通りです。
(2)のアッパーデッキはこれまで別パーツだったダンパーステーをアッパーデッキに 一体化した形状になっているようで、材質がフルカーボンかサンドイッチカーボン かは不明です。
(3)のワイドトレッド・・・については、メインシャーシの特性がまだ不明なので 言明はできませんが、現在のシャーシに使用した場合、初期反応が上がり後半は アンダー気味になる特性になるパーツなのではないかと思われます。 現状でステアリングをフルにきったときホイールがリンクサスに当たり少し削れる ことを回避するための対策パーツか、もしくはNEWシャーシの特性を考慮しての パーツか?
(4)詳細はおろか形状すら不明です。
(5)従来のカーボンではなく、軽金属製らしいです。
<5/25/00 update>結局、チタン製でしたが、めちゃめちゃ柔らかくて使い物にならず、
さりとて最近のカーボンシャフトは素材が悪くなったのか折れやすいため、
少なくとも関東ではノーマルの鉄製に戻すEXPユーザーが続出のありさまです。
価格は25,800円とのこと。
11月発売のアウディ・ロードスターとのマッチングも気になるところです。
都筑様、伊藤様、丁寧な御回答有難うございます。
お二方のHPを参考に現在組み上げ中です。ひさしぶりに実家に
帰り、昔のRCカーを見てきたのですが、タイヤが思いっきり
削ってあり、車高が3mm程でした。それでも転げ回ってたので、
いかに当時の車が曲がらなかったかが思い出されます。
(中略)
で、M04Lですが、RCワールドの99年10月号を見ると、
「セッティング・アドバイス」のコーナーで取り上げられていました。
で、そこではフロントサスは思いっきり柔らかくするのが良いと書いてあります。
伊藤・都筑両方と同じく著者の(前住)さとしさんはエキスパートなのでしょうが、
正反対の結果に落ち着いています。初心者としては、ダンパーピストンの穴を
大きくするのは、ちょっとリスキーですし(昔使ってた工具はあるには
あるのですが...。)なかなか奥がふかそうですね。
<この質問に対するレスポンス>
M04Lのフロントサス
[1999/09/13 (Mon) 22:17:53] [投稿者: ふぇら〜り伊藤]
実は私もあの記事(RCW99年10月号p.172-3)を基にそういうご質問があるんじゃ
ないかと思っていました。
「フロントサスを柔らかく」と言っていますが、実はあれはダンパーのダンピングを
弱く、と言っているに過ぎません。
使っているバネそのものはノーマルの金で、バネの強さ自体はショートの赤(従来品で 最も柔らかい)と大して変わりません。コーナリングスピードが上がるとフロントを若干 硬くしてやらなければいけないので、「前住チューン」のようにモーターが540なら金が 良いかも知れませんが、ダイナランストックを使う現行「伊藤チューン」ではノーマル金 よりも若干バネレートが高いショート赤がベストセットです。
ここでちょっと説明が必要なのは、「前住チューン」では、フロントダンパーにスーパー
ローフリ(クションダンパー)を使っている、ということです。スーパーローフリは、
Oリングの装着部分がCVAダンパー(プラ製)よりもキツめで(編注:同じアルミ製でも、
旧モデルであるローフリクションダンパーはCVA並にOリングの締め付けが緩い)、
そのまま組むと「フリクションダンパー」になってしまいます。限定オプションの透明O
リングを使うとごくわずかマシになりますが、五十歩百歩です。
自分で組んだ人なら分かると思いますが、Oリング2個仕様では、フリクションが とてつもなく大きいので、オイル番手を替えてもあまり違いを感じることができず、 途方にくれてしまいます。それほど、スーパーローフリではOリングのフリクションが 大きいのです。
そこで、「前住チューン」では、ピストン穴の拡大でオイル番手を落としたのと同じ 効果を得て対応している「つもり」なわけですが、実際のところ、あまり効果的では ありません。そもそもの元凶であるOリングを何とかしないと、セッティングの 方向性がどんどん悪い方へ行ってしまいます。オイルダンパーなら、ゴムの フリクションでなく、ちゃんとオイルでダンピング調整できなきゃ、でしょう?
で、「伊藤チューン」ではどうしているかと言うと、まず、フロントにはOリングの 締め付けが緩いCVAスーパーミニを使っています。そもそも、スーパーローフリでは ケース長が長過ぎて、フロントの車高が12mm程度まで上がってしまいます (伊藤仕様でさえ10mmもある)。とてもダイナランストックなんて着けて走ることは できません。540でもかなりフラフラ(重心が高過ぎて不安定)なはずです。 特に、ダンパーのフリクションが大きいとロールした後に元の姿勢に戻りません から、不安定な傾向が助長されますので気をつけましょう。
なお、リヤにはOリングを1個にしてフリクションを減らしたスーパーローフリを使って
います。詳しくは「製作記」を再度お読みください。
<5/25/00 update>現在では、スーパーローフリの赤いOリング2個の代わりに、
「アフターパーツ・オリジナル」部品として透明Oリング1個+プラスペーサーのセットが発売されています。
これを使えば簡単にOリング1個仕様の「ウルトラローフリ」ができあがります。お試しを。
Re: M04 直結ギア:セッティング
[1999/09/14 (Tue) 09:42:13] [投稿者: ゆーの]
私もRCWの記事は見ました。ダンパーピストンの穴の加工に関してですが、 ご自分での加工に自信がないのでしたら、99年10月発売の 「フォーミュラ・スーパーローフリクションダンパー」についてくる3穴のピストンを 使ってみてはいかがでしょう? アフターサービスで取り寄せ出来るかはまだわからないのですが、ソフト スプリングもついてきますし、フロント用に2本買ってしまってもいいかな? と考えています。ただし、皆さんのおっしゃるように、Oリングはソフトタイプの 1個仕様がいいと思います。私も使ってみようかなと思っています。 田宮レースをお考えでなければ、コーセーの「オイルMIX O−リング」も 効果的ではないでしょうか?
わたしも昨日ピットウィザードを購入し、さっそくいろいろ試しました。
どんな感じセットをすすめたのか、参考までに。
使用ESCはサイクロン(TCの1個前のやつです<編注:サイクロンBKのことか?>)、
シャシーはタミヤF1、
モーターはスポーツチューンを使用しました(ショップレースのレギュ)。
タイヤはスポンジタイヤです。
まず、付属のマニュアルに記載されているF1のプログラムを試してみました。
ドラッグブレーキoffのパターンです。
走行させてみると、前進側の周波数がコースに対して明らかに高すぎました。
インフィールドの立ち上がりもパンチ不足を感じます。
前進側周波数を基準の23.4hzから15.6hzに落としてみます。
(低周波よりにする)
変更前はストレートエンド直前で吹けきっていたモーターが、3/4のちょっと
手前で吹けきる感じ変わりました。
インフィールドの立ちも先ほどよりパワー感がでます。
ベストラップもあがりました。
試しにもう一つ低周波側の、11.7hzにしてみると、案の定モーターの吹け上がりが
先ほどより急で、ストレート中ほど手前で吹けてしまいます。
なんとなく伸びが感じられません。
インフィールドの立ち上がりは更にパワフルになりました。
ベストラップは変わらないタイムが出るのですが、15.6hz時に比べると明らかに神経質なスロットルフィールです。
このコースには15.6hzがベストと判断し、次の設定をします。
テスト時間が限られていたので、設定の効果を体感しやすいと思われるドラッグブレーキのon&offを試してみました。
やはりスロットルoff時はエンジンブレーキのようなフィーリングが感じられ、
コーナーの最適脱出速度までの調整時間が明らかに短くなりました。
違いは特にインフィールドで感じられ、車のキビキビ感が増しました。
最初の数周は慣れないため、イン側のフェンスに何度かヒットしました。
つまり、普段よりもコーナーの奥に突っ込めるということです。
(ちなみに普段は走行中のブレーキは使用しません)
ドラッグブレーキをonにする事によって、燃費も悪化するのかと思いましたが、体感するほどの差は感じられませんでした。
実際のテスト結果は「予想通り」といえる程度のものですが、それでもドラッグブレーキの効果はかなりインパクトがありました。
次の機会に最小駆動開始位置や、ニュートラルゾーンとドラッグブレーキの相関による変化も試して見たいと思います。
<この書き込みに対するレスポンス>
Re: ピットウィザード日記(長文です)
[1999/09/06 (Mon) 00:34:08][投稿者: ふぇら〜り伊藤]
>前進側周波数を基準の23.4hzから15.6hzに落としてみます。(低周波よりにする)
>変更前はストレートエンド直前で吹けきっていたモーターが、3/4のちょっと手前で
>吹けきる感じ変わりました。
そんなに違うんですか!?
「大したコトないんちゃうか?」との思い込みから、自分はまだトライしてなかったので、
これは一大事。サイクロンにカレントリミッタが付いてない理由がようやく理解できました。
もともと推測はしていたのですが、これほどとは・・・。
>ドラッグブレーキのon&offを試してみました。
(中略)
>つまり、普段よりもコーナーの奥に突っ込めるということです。
まあ、そうでしょうね。どう考えても「タイムアップに直結」ですよね。
>ドラッグブレーキをonにする事によって、燃費も悪化するのかと思いましたが、
>体感するほどの差は感じられませんでした。
ドラッグブレーキを使うと燃費面では基本的に不利でしょう。
ブレーキを積極的に使う、ということは、その前後で余計なパワーを使って余計な
スピードを出しているわけですから。最も燃費が良いのは、やはりノーブレーキで
曲がり切れるスピードの範囲内でコーナーへ進入・脱出することに尽きます。
逆に言うと、多少なりとも燃費に余裕があればドラッグブレーキは積極的に使うべきでしょう。
特に、燃費的に余裕があることの多いタミヤレースでは、ドラッグブレーキがないと
今後はAメインに残れなくなっていくことでしょう
(ま、その頃にはどのメーカーでもドラッグブレーキを標準仕様とするでしょうが)。
タミヤ以外のレースでも、ストックモーターによるレースやNI-MH3000セルによるレースなどでは、
燃費悪化が問題とならないケースが出てくることでしょう。
なお、電動RCカーのブレーキについてよく分かっていない方のために念のため説明しておきますが、
ドラッグブレーキというのは「ショートサーキット(短絡)・ブレーキ」の一種です。
「ショートサーキット・ブレーキ」というのはいわゆる電動カーにおけるブレーキのことですが、
エンジンカーや実車が使う「機械式ブレーキ」とは原理的に全く違い、「電磁ブレーキ」の範疇に入ります。
作動原理としては、スロットルoff時にあってもモーターとスピードコントローラーをつないでいる電気回路を
「閉じた(すべての経路が接続されている)」ままにすることによって、回路をショートさせ、ブレーキ効果を得ます。
スロットルoff時には、モーターは常に運動エネルギーを電気エネルギーに変換しようとする
(発電機の状態になる)ので、ここで回路を閉じ、なおかつ回路に抵抗を設けずショートさせてやると、
モーターが運動エネルギーを吸収して変換した電力は瞬間的に回路全体を駆け巡り、
抵抗となっている部分(主にコミュテーターとモーターコイル)で熱に変換され、外部に放出されるわけです。
ブレーキ量をコントロールしたければ、回路のなかに可変抵抗を入れてやれば良いわけです。
昔はサーボ駆動の巻き線抵抗でコントロールしていましたが、
今はアンプ内のスイッチング回路がこれを代替しています。
ちなみに、電動RCカーのコーナリングにおいては、従来、
「スロットルoffでなおかつブレーキもoff」ということが圧倒的に多かったわけですが、この場合、
アンプとモーターをつなぐ電気回路は「開いて(通常の電気回路で言う「スイッチoff」ということ)」おり、
モーターは電力を発生しません。この場合、運動エネルギーは主にタイヤの摩擦熱に変換され捨てられています。
最近は、ツーリングカーを中心にタイヤの性能が向上したため、走行直後のタイヤを触ると
コーナリングに伴うタイヤの発熱がよく分かるようになりましたよね。
Re: ピットウィザード日記(長文です)
[1999/09/14 (Tue) 18:13:02][投稿者: TAM坂井]
下の書き込み(編注:このスレッド以前のBBSでのやりとり)でレスを頂き、
ドラックブレーキの設定修正とドライブ周波数の設定を行ってみました。
マシンはTA03R-TRF,モーターはヨコモJSストック23T、ギヤ比は06モジュール・20枚です。
ドラックブレーキにおいては高速コーナーで適度なブレーキ利く範囲として6〜9%位に設定しました。
本当はニュートラルで十分なコーナーだと思うのですが、その他のコーナーは超テクニカルですので、
この設定でまずまずの突っ込み重視のライン取りを行う。
ドライブ周波数は1/10ツーリング基準の5.86KHzから、一つ下げて3.9KHzに設定。
その効果は絶大で、ギヤ比は20枚ではやや高すぎ、19枚に変更。
立ち上がり、ストレートの速さなど、へったぴな私にはドッカンパワーに感じますが、感動しました。
今回、ラップタイムはポンダーの故障で計測出来ませんでしたが、早くタイムを計測して報告したいです。
(編注)このほかにも、「ドラッグブレーキは確かに効果的だが、効きすぎると結局
コーナリングスピードを殺してしまい、慣れないとその効果をフルに生かし切れない」
「ドラッグブレーキは、5%前後に設定しておくのが望ましいようだ。低速側ではなく、
高速コーナーに最適なセットにしないと、スロットルを戻した際にスピンしやすくなる」
などの指摘がありました。
<おわり>