TA05・ストリートJPN仕様 ここでは、06年4月1日に神奈川・カレスト座間で開催された 「第4回タミヤGPinカレスト」ストリートJPNクラスに 参加した際の車両をご紹介します。 |
05年の「スライドマスター(ドリフト採点と着順で勝負)」に代わり、
06年シーズンより新たに始まったのが「ストリートJPN(ジャパン)」クラスです。
「GTチューンモーターとタイプD(ドリフト用)タイヤ指定でバッテリー、ギヤ比は自由、タイムで勝負」というのがポイントです。 今回のイベントでは、参加69台中予選3位・決勝4位とまずまずの結果を得ることができましたが、 率直なところ、勝負を分けたポイントは、ズバリ「タイヤ」と「ギヤ比」だったと思います。 まずはいかにタイヤをグリップさせるか、というところで基本的な差がついていたように思います。 「タイプDタイヤをいかに使いこなすか」がこのクラス攻略の最大のポイントです。 とはいえ、もちろんタイヤだけで勝敗が決まるわけではありません。 細かなチューニングの積み上げはより良い走りを得るための大前提です。 |
|
まずボディですが、今回は350Zをチョイスしました。別に前回のGTジャパンからのつながり、ってわけじゃありません(笑)。
真面目に考えた結果です。 「グリップしないんだから別に何だっていいじゃん」とは言いますが、 クイックターンやパイロンがあることは他の仮設会場と同じですし、タイムを競うので、 ボディ選択の基本は同じ。ショートノーズで低重心、さらにダウンフォースの大きいボディで、だけども「レース車両モデルじゃない」という条件 を満たそうとすると、350Zかなぁと思った次第です。キット標準でポリカウイングが付属している数少ないボディのひとつ、と いうのも見逃せないポイント。塗装仕上がり重量は135gでした。板厚の関係でGT500の軽量Zより15gくらい不利ですが、 ウイングが軽い分、帳尻が合って、トータル10g重いくらいで済みました。 |
|
Zはキャビンが小さく、ルーフも極めて小さいので重心の点で有利です。特に今回のカテゴリーは「滑らせない」ことが絶対的な要求なので、 ボディ重心は低ければ低いほうが良い、ということになります。もちろんダウンフォースも遅いながらに重要です。 | |
フロントバンパーのカットラインが高いのが350Zの特徴です。コレでもタイヤがフェンダーと干渉しないギリギリまで
メいっぱい下げているんですが、まだまだポッカリと「アゴ下」にすき間が空いています・・・。 エアが大量に入り込むので高速走行には適しませんが、 まぁこういったクラスにならいいでしょう。このアゴの高さは、むしろラリーに最適、という感じなんですけどね・・・。 |
|
リヤに輝くこのウイング、実はItem44016「トヨタアリスト(TG10Mk.1)」から流用されてボディセットに同梱されたものです。
ウイングステーのスパンがEP用のポリカ製ウイングと異なるため、他の電動カー用optのポリカ製ウイングは穴を開け直さないと使えません。
事実上「専用ウイング」状態です。 マーキングはいつもの裏張りですが、今回は特に、GTジャパンで使ったGT500Zのデータをそのまんま流用して「手抜き」しました。 そう、ライトやテールランプの寸法がほぼ同じ(もしかしたらまったく同じかも)だったのです! まさかとは思いましたが「発見」して超ラッキー。おかげでずいぶん短期間に製作できました。 |
|
時間の都合もあり、今回のセットアップは、前回のGTジャパン仕様からほとんど変えていません。
本当はバネを柔らかくしてロール量が増えるのに伴って、アッパーアームを縮めて
キャンバー変化も大きめにしたほうが良さげなんですが、
今回はアッパーアームはサスブロックの変更に伴う微調整のみとし、
ダンパーバネを極限まで柔らかくすることだけで対応してみました。 また、ホイール幅と350Zのボディ幅の関係で、先のGTジャパン仕様のままだとタイヤがフェンダーからはみ出てしまうので、 リヤに側のみサスブロックを詰めて対応しました。具体的には、リヤ前に最も狭いXD(倒立マウント)、リヤ後ろに1X、これに TA04ノーマルの1度のアップライトを組み合わせて(キット標準の04足なので)、トーインは計3度です。事前にテストした 「スタジアム1」では2.5度でいい感じだったのですが、さすがに駐車場では専用サーキットほどのグリップはないので、これは想定内。 |
|
ドリフトタイヤ指定であっても「いつものカラー」にしたいのはコダわりなので、
ホイールはエスコートWRC用のオフセット+2のナローサイズホイールに交換。成型色が白なので、
お約束の蛍光イエローにクリア吹き仕上げ。 付けてから気付きましたが、TA05にはオフセット0のナローホイールは付きそうにありませんので注意しましょう。 オフセット+2でミディアムナローと同等のクリアランス(アッパーアームのピロボールなど)でした。 |
|
ご存知のとおり、sp.1219「ドリフトタイヤタイプD」(1000円)というのは、Item58349「インプレッサ2005」用の
ホイールが組み込まれた状態で販売されています。接着はされていません。
常温では非常に硬くて外すのが困難なくらいなので、通常は「接着不要」ということなのでしょう。 コレはコレでいいんですが、 筆者のように、好みのホイールを使いたい向きには問題です。 ところが、このタイヤ、よく考えてみると、単に「動作温度が70〜80度と極めて高い(だからタイプD?)タイヤ」というだけのことなので、 コンパウンドが通常のゴムの硬さになる動作温度まで上げてやれば、ノーマルスリックみたいに扱えるわけですよね。 温度を80度くらいに上げてやると、ご覧のとおり、簡単に外せてしまいます。変にタイヤが歪むようなこともありません。 |
|
方法はいたって簡単で、鍋にお湯を張って、1分程度ゆでるだけ。
ただし、絶対にグラグラと沸騰させないこと!ホイールの素材であるABS樹脂は95度くらいになると強度が落ちて歪みが
発生します。かといって70度ではタイヤが柔らかくなりません。そのへんは湯気の出方や泡の出方を見ながら、
「沸騰する手前」に火加減を調整しましょう。 実演ビデオをアップしてありますので参考にしてください。 また、ドリフト分会BBS にも解説を掲載していますので併せてお読みいただければ。 |
|
・・・というわけで、タイヤを煮てみると、「動作温度」というのが極めて重要な問題であることを
認識させられてしまいます。とにかく、少しでもタイヤを暖めたほうがタイヤ硬度が下がり、
走行性能にも影響するわけです。 従って、予選ではタイヤウォーマー必携、しかもいつもの「うなぎパイ」式ではなくてカップ式のものを使用、 さらに電圧もいつもの7.2〜8.4Vに満足せず、決勝では14.4V(2パック直列)までやってみたのですが、 期待したほどにはパフォーマンスには結びつきませんでした(やらないよりは最初の2〜3ラップは有利ですが)。 実際にはむしろ「路面温度」の影響のほうが大きく、 路面温度が高いタイミングで予選を走れたかどうか(つまり「運」)のほうが結果に影響したようです。 タイヤが温まりやすくなるようにと、予選1ヒート→2ヒート→決勝と、段階的にタイヤを削って トレッド面のゴム厚を減らしてみたのですが(どうせ走れば減るのですから自然に減ったように削るだけなら 特にとやかく言われません)、 トレッド面の厚みを1mmくらい減らしても、ほとんど目だった効果はなかったです。 決勝レース後のタイヤ表面をみると、最も負担がかかる左フロントのみが摩擦熱でキレイに磨耗していましたが、他のタイヤは 十分に温まっていない減り方をしていました。当日の路面温度は予選開始直後から予選終了時くらいまでは 28〜35度くらいで推移していましたが、Aメイン開始前には日が傾いて25度を切るくらいまで下がっていたはずです。 |
|
今回は春先のレースということで、路面温度的にはまだまだ低めで、タイプDタイヤのトレッド面は「カチコチ」でした。 こういう状況では、何よりもダンパーのストロークを増やし、車高も増やして、タイヤトレッド面への荷重のかかり方を ゆっくりにしてやるのが先決になります。そこで今回投入した「秘密兵器」がコレ。 カスタマーサービス扱いの部品番号9805921「ホンダS2000フロントコイルスプリング(2本)」 (270円)です。タミヤRCカー用バネとして最も柔らかいバネです。TA04/TB-02標準の金バネ (op.440の黄バネとほぼ同じですがちょっと柔らかい)とは違いますので念のため。 今回は前後ともこのバネを使い、あとはリヤトーインをいじるだけでベストバランスが出ました。 筆者を含め、予選2位、3位、9位とこのバネを使った3台全員がAメインに入ったので、 それなりに効果は実証されたのかなと思います(あとはウデの問題)。 | |
ただし、「M04金バネ」をもってしてもTQは取れませんでした。それは予選中の温度上昇が影響していたと分析しています。 つまり、日中はここまで柔らかいバネは不要で、タイヤ面圧を稼げる少し硬めのバネのほうに分があった、ということだったようです。 でも、コレは非常に微妙な問題だったことも確かです。私たち「金バネ組」は、決勝で路面温度が冷えれば勝ち目が出てくると踏み、 そのままのセッティングで決勝に臨みましたが、TQのマシンは、路面温度の低下を考慮せず、op.440の黄というかなり硬いバネの ままだったため、決勝では冷えたタイヤに苦しんだようで、ペースが思うように上がらず、ラップ遅れになってしまいましたから。 |