RC Car Trend モーター研究室 <その8:伝説の白ジョンソンを追え!> <白ジョンソンって何?> 前回、「新型ジョンソン」のお話をした際にも書きましたが、 ジョンソンモーターが1986年10月に初めてタミヤキットに同梱されるように なった際には、単に「特製モーター」としか表記されておらず、同梱対象も、「モンスターピックアップ・シリーズ(2駆)」という、 極めて嗜好性の強いキットで、決して多数のユーザーの目に触れたわけではありません。しかも、当時大人気のバギーキットへの同梱は 「グラスホッパー2」あたりで終わってしまい、90年頃にはRCTで「旧型(第2世代)」と表記しているモデルに 切り替わってしまいました。流通期間が短く、販売量も少なかったことから「初期型ジョンソン」の認知度はかなり低かったと思われます。
既に、キット同梱が終了してから10年近くが経過し、90年代以降にF1やツーリングカーのブームで
RCに入ってきたユーザーは全く目にする機会もなかったため、「白ジョン」の存在は半ば伝説となりつつあります。
果たして「2世代目ジョンソンよりパワフル」という評価は本当なのか?
くだらない懐古趣味、といってしまえばそれまでなのですが、
そう思うと、空恐ろしい気がしたのも確かです。 ところが、幸運は突然やってくるもので、ある日、RCTの読者の方から、「これ、ひょっとしてウワサの白ジョンソン?」という問い合わせがあり、 さらに何とこのモーターを無償でご提供くださることになったのです! しかも新品で! なんという幸せでしょう。ご提供くださった方には本当に感謝しています。自分では到底探せない代物でしたから・・・。 そんなわけで、すぐにでも調査にとりかかりたかったのですが、何せ私は今年から家庭の事情で「RC活動休止」の身、 とてもモーターダイノなんて回せる状況にありませんでした。そもそも、実家から新居へ引越したばかりで、 家族の目を盗んで新居へダイノを運搬するにもひと苦労。12Vバッテリーは運搬をあきらめて近所で買い直しました。 ようやく体制が整った時には既に7月も終わりかけていました。発表が遅くなりました点をこの場を借りてお詫びします。 また、今回ご提供いただいたジョンソンは、それこそ文字通り「貴重品」ですので、おいそれとナラシなんて入れてしまうと 永遠に初期データ(ナラシを入れていない購入直後の状態)を取ることができなくなってしまいます。 慎重を期して、今回はまず初期状態のデータのみを取り、比較してみました。
<まずは外観調査>
注目されるのは、やはりエンドベル。ウワサ通り、白い樹脂製で、ちゃんとジョンソン社のロゴが刻印されています。間違いなく「ジョンソン」です。 (初期型ジョンソン<第1世代>)
(参考:新型ジョンソン<第3世代>)
(参考:従来型ジョンソン<第2世代>)
(参考:マブチRS-540SH)
<ダイノにかけてみよう!> さて、それではお待ちかねのダイノデータを見てみましょう。
まずは、ジョンソンの基準スペックとしていつも使用しているモーター(型式は旧型ジョンソン)のデータとの比較です。
あれれ、「白ジョン」はトルクは1割、回転数も6%低いです。EMF値は逆に大きいので、磁力が強いのかな〜、という気もしますが、
EMFはあくまで他のデータから導かれる相対値なので、あんまり信頼できません。
起動時の消費電力が「白ジョン」では54.8Aしか流れていないのが気になります。
「標準ジョンソン」では67.0Aありますし、普通、ジョンソンなら65〜70Aというのが起動時消費電流の標準的な値です。
性能曲線の出方に見覚えがあったので、念のため・・・と思って540SHのナラシ前の標準データと比較しました。
その辺をさらにクリアーにしようと、今度は第3世代「新型ジョンソン」基準モーターのナラシ前データと比較しました。
そうすると、回転数や消費電流は大きく変わらないことを再確認したのですが、トルクが15〜6%も違うことを発見。
もちろん、テストしている「白ジョン」は、製造後10年以上経っていると思われますから、 その間の磁力低下といったファクターを無視するわけにはいきません。しかし、入手の経緯からして、入手直前まで 何かのキットのブリスターケース内に眠りつづけていた、とされるモーターですので、そんなに簡単に 目に見えるレベルの磁力を失っているとは考えられません。実際、自分が購入後5年以上経過しているような モーターでも、未使用である限り、はっきりそれと分かるような磁力低下現象は発見されていませんし。
<結 論> (この項おわり)
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